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告白
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しおりを挟む「フラれたらしいじゃない、慰めてあげようか子猫ちゃん? 」
項垂れている彼を見つけた私は足取りも軽く彼の元へ近づくとそう声を掛けた。
「うるせえよ、ゲロ女」
そして返って来た返事は何の捻りもないそんな悪口。レディに対してそんな対応
をしているからフラれたのだよ? って教えてあげようかとも思ったが止める。
「そう言いなさんな。こういう時は何かしら吐き出せばいいという世界で最も
薄っぺらくて有難い教訓がある事を知らないの? さあさあ言ってみなさいな、
ゲロってみなさいよ、恥ずかしげもなく恥部を晒してしまえば何も怖い事なんて
無くなるって寸法なのよ? 」
「そんな言い回しで誰が話すって言うんだ? お前は馬鹿なのか? 」
またこれもつまらない返事である。
ありきたりな返事しか出来ないのならロボットに人権でも与えればいいのでは?
「まあ仕方がないわよね、高嶺の花過ぎたのよ。ロゼリーナだったけ? アンタ
には不釣り合いよねどう考えても。だいたい彼女はお貴族様でアンタはただの
一般ピーポーな訳でそれだけでも十二分にお断り案件だったのに、何を勘違い
したのか、少しばかりやさしくされたぐらいで好きなるとかさ、チョロすぎる
でしょ? そんなに愛情に飢えているのならいつも朝に寄っているパン屋の
おばさんにでも頼めばいいのに、同年代らしいよ? 」
「嘘だろ? そんな事ある訳がないよ。どう見たって……」
私は首を振りながら外見でしか判断できない可哀想な人に教えてあげるのだ。
「私はどう考えたってパン屋のおばさんの方がいいと思うけど? 今まで生きて
来た実感のこもった顔は能面のような顔よりもよっぽどいいと思うし、そういう
所が分からないとかやっぱりまだまだよね」
本当、お前の目は節穴かと言ってやりたい気分だ。
「そうは言うけどさ、実際にどちらかになるのだとしらお前はどうするよ?
その理論なら当然選ぶんだよな? 」
「そんな馬鹿な質問をしないでくれる? 」
そして私は彼の質問を切り捨てる。
そんな過程の話など無意味過ぎて質問する意味が分からないレベルだ。
そもそも私の今までの話を碌に聞いていなかったのだろうか? 折角、私が
親切に教えてあげたというのに、何の意味もなかった。
ロゼリーナだ。
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「ていうか、お前はどうしてそんなに詳しいだよ」
そんな事、調べたからに決まっているだろ! と言い返すことはしないといけな
いのだろうか私は……
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