恋愛倉庫

告白

３

「そう言えばアンタのカレシがさ、店の店員を口説いていたのを見たんだけどさ」


　何だそのホラ話はって思った。
　だって私にはカレシなんて居ないのだから。
　存在しないカレシの話を当たり前のように話す彼女には一体どんな世界が見えて
　いるというのだろうか？　この話はホラではなくてホラーなのかと昼間から私は
　背筋が寒くなった。
　
　
「まあ言うか言わないか迷ったんだけどね、やっぱり教えておいた方がいいと思っ
　たからさ」
　
　
　迷ったらやってみた方が後悔しなくていいとでも思っているのか？
　聞かされている私の方に何の確認もなくホラー話は止めて欲しい。
　聞かなくてもいい話なら聞かない方がいいに決まっているし、私は今、そんな話
　を聞きたい気分ではないのだ。
　
　
「ほら、噂をすれば本人が来た」


　彼女の目線の先に居たのは子猫ちゃんであり、あれはどう考えても私のカレシで
　はないのだが、彼女の世界では私の彼氏として認識されているらしい。今すぐそ
　んな世界は破壊しないといけないなと私は決めた。
　
　
「いや、あれはカレシなんかじゃないから」


　私は全力で破壊をしにいくが、


「え？　別れたの？　」


　どうやら彼女は根本からして間違っているようだった。
　一体どうやったらそんな間違いが起こるのだろうか？　もしかして彼女は宇宙人
　に頭を弄られでもしたのかもしれないと心配になってくるレベルだ。


　私はただあの子猫ちゃんに言いたい事があるだけなのだ。