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それが答えだった
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しおりを挟むこんな場所には似つかわしくない女が通りを歩いていた。
身形がちゃんとしているだけでここでは目立ってしまう、そんな荒れ果てた
場所へ女は一体何をしに来たのだろうか? 目的は何だろうか?
なんて事を考えたりはしない、いいカモが来たと思うだけだ。
そして俺はいつもの様にするだけだった。
ただ近づいてバックを奪う、そするのが俺のここでの仕事である。
いつも通り何食わぬ顔をして後ろから近付いた俺に何もミスはなかったはずだ、
でも俺の伸ばした手は空を切り代わりに女が俺の腕を掴んでいた。
「痛い痛い痛い。何するんだ! 」
「何ってそれはこっちの台詞よ? で、次は誰が出て来るの? 」
女は俺の腕を捻り上げながら言った。
「誰も出て来ねえよ! 俺だけだ、俺一人でやってるんだ! 」
「そう、なかなかいい心がけね」
俺は周りに聞こえるような大きな声でそう返事をする。
この女がヤバい奴だという事が分かった時点でもう誰も居なくなっているだろう。
「どうかしましたか? 」
そして最高のタイミングで警察がパトカーに乗って現れた。
仕方ない、この後は警察に突き出されるのだろうが、ここの警察がただの警察
ではない事をここに住む誰もが知っていた。今回の出費は痛いが背に腹はかえら
れない。俺が居ないと仕事が成り立たない訳だし、みんなも許してくれるだろう。
もうこれで何度目だろうか警察署へ来るのは。
いつもと変わらない手続き、そして俺は彼らにお金を渡して無事終了するはず
だったのに、今回は違った。
「おい、足りないぞ! 」
「いつもと同じ額だろ」
「ああん? 値上げしたんだよ。別にこっちはどっちでもいいんだぜ? 」
そう言わてしまってはもう出すしかない。
この金が一体何処へ消えて行くのかなんて俺はよく知らないが、ここでごねたっ
て何も良い事がないのは知っているのだ。
まったく今日はツイていないと思いながら警察署を出ればそこにはあの女が居り
俺の顔を見ると手を上げた。
「よ! 」
俺にはこの女の目的が全く分からなかったから、取り敢えず無視する事にした。
よく分からないものには関わらいというのがここで生きて行くのに必要なスキル
だった。
「何? 怒ってるの? でもそれは自分の腕の無さを嘆くべきなんじゃないの?
あんな事ですら上手く出来ない自分をさ」
だったら何だというのだろうか? 俺はこれ以上この女と関わり合いになりたく
無かった。こいつの所為でいつもよりも多く金を払う事になってしまったのだ。
そんな疫病神とは関わらないに限る。
「ねえ、仕事しない? 何も難しい事はないの、ちょっとばかし私の言う通りに
してくれればそれだけで警官に渡した額ぐらいは簡単に取り戻せるよ? 」
俺は立ち止まり考える。
ここまでの一連がすべてこの女が仕組んだんだとして、そんな女の言う通りに
するだけの仕事がそんなに簡単なものだとも思えない。思えないが俺が断れない
事をこの女は分かっているのだ。
結局俺はこの女の話に乗る事にした。
どんな事をやらされるのか? 不安よりも好奇心が勝ったというのもあるが、
何よりも俺の懐事情がそうする事を選ばせた。
女は俺をそのまま大通りまで引っ張って行くとタクシーを止め、そのまま中に
俺を押し込むと行き先を告げた。
「ミランコネス通りまで行って」
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