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お金の話
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しおりを挟む私には婚約者が居る。
とても素晴らしい相手である事は間違いがないのだ。
だって私の言う事なら何だって聞いてくれるのだ、そんな相手はそうそういないし
だからこそ彼を婚約者にしたのだ。
私の家は大金持ちである。
有り余る富が家にはあった。
そしてそれに群がるモノ達を私は子供のころからずっと見て来た。
どんな人だって金の前では正直である。
私が子供ながらに学んだ事はそれであった。
みんな従順になるその姿が人の本質であると私は思っていた。
だから「お金じゃない」なんていう奴の事を見下してきたのだ。
私に、家に近づいて来る人はいつもそういうのだ。
「私はお金とか関係ないから」そう言っていた人達が金をチラつかせただけで
みるみる変わっていく姿を一体何度見ただろうか? 見飽きるぐらい見たその
光景に私はいい加減うんざりしていた。
そんな中で出会ったのだ、彼と。
「お金を下さい」と彼は私に出会ってすぐにそう口にした。
お金の為なら全てを差しだすとまで言った彼に私は驚いた。
こんなにも正直な人を見た事がないと。
それでも最初は半信半疑ではあったのだ。
そうは言っても口だけではないのかと、新手の奴ではないのかといろいろ試して
みた結果、彼は本当に正直な人だった。ただ純粋にお金を欲しており、お金に
執着しているそんな人物であった。
「私、貴方の事気に入っちゃったわ」
だからこその婚約である。
当然のように私は彼にお金を出し、彼はそれを受け取った。
それが私達の関係であった。
こうして私は何にも得難いものを手にいれたのだ、お金で。
何と素晴らしい事だろうか?
私はこれからも彼にお金を渡すのだろう、そして彼も受け取る。
きっとこれ以上に分かりやすい関係なんて無いのではないかと私は思い、満足
していた。
何かしら言って来る奴らなんて所詮は持たざるもので、言いたいように言わして
おけばいいのだ。所詮はただのやっかみにすぎない。そもそも持たざるものに
私の一体何が分かるというのか? 私が貴方達の事が分かるなんていったら
貴方達は一体どんな顔をするのか見てみたい気は最近している。
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