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お金の話
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しおりを挟む俺にはお金が必要であった。
それは当然のように家が貧乏であったという事もあるし、
当然のようにその根源である親であった者が失踪したからである。
「はは」
だから笑ってみた。
でも何の意味もなくて余計に空しくなるだけで、寧ろ下のチビなんかは泣き喚く
のだ、俺とは正反対の行動をとるとかさ、これから仲良く力を合わせてやって
いかないといけないのにさ、泣きたいのはこっちの方だった。
泣き言は寝て起きたら忘れた。
忘れる事にした、そもそもそんな事に頭を使う余裕なんてものが俺には無いって
事に気付いてしまったら後はもうどうにかするしかないのだ。我が家は俺の稼ぎ
だけが頼りなのだから。
そしてバイト先に向かった俺を絶望が待っていた。
「おはようございます」
「何だ? えらく元気がいいな。何かいい事でもあったのか? 」
「そういう訳じゃないですけど、頑張らないといけないので」
「そうか。まあ頑張ってくれるのはいいんだが、昨日お前所の親が来て前借して
行ったからな、その分もしっかり頼むぞ」
その後はミスばっかりして社長に思いっきり殴られた。
それでもやるしかないのだ。どうやったってもう無理だけど、それでも俺が
どうにかしないと、みんなが路頭に迷う事になる。それだけが俺が泣かない理由
だった。
捨てる神あれば拾う神あり
あの時の俺は彼女が神様に見えたんだ。
神々しかった、後光が刺していたね。
だからこそ俺は何の迷いもなく彼女に言えたんだ。
だってそれは純粋な願いだったから。
「お金をください」
碌に話した事もない彼女に俺はそう言った。
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