258 / 425
年代物
1
しおりを挟む「爺ちゃん、まだなの? 」
「もう少しだ、がんばれ」
そんな会話を俺は何度しただろうか?
爺ちゃんに連れられてここまで登ってきたものの、目的地へはまだ辿り着かない
でいる。そろそろ限界が近い俺とは違って爺ちゃんは平気な顔して登って行くの
はきっと敬老パス的なものがあるからなのだろう。
「最近の若いのはそんなにダメかね? 」
ブツブツとつぶやきながら進む爺ちゃんの後を俺は何も言わずに登るのは全部
俺の為だからである。俺が憧れているロビルリアに会わせてくれると爺ちゃんが
言い出したのは昨日の事だった。
*****
それはいつもと変わらない日常だった。
学校から帰って来た俺は居間で雑誌をペラペラとめくっていた。
「ん? 何だ、ベジャルワに興味があるのか? 」
たまたま通りかかった爺ちゃんが俺にそう聞いて来た時はちょっと驚いた。
普段はそんなに話をする事のない爺ちゃんから声を掛けて来る事が珍しいという
のもあったが、何よりもベジャルワを爺ちゃんが知っている事に驚いたのだ。
だってこんなマイナーなものを知っているとは思わなかったから。
「うん。爺ちゃん知ってるの、ベジャルワ? 」
「まあな。ちょっとだけだ。そんなには知らんよ、昔の知り合いが作っていたから
しっているだけだ。だから聞かれても何も答えられんよ」
俺の食いつきに爺ちゃんが驚いているのを察して、俺はそれ以上聞くのを止めた。
本当に少しだけなのだろうし、そんなに聞いてそれ程でも無かった時の事を考え
ればそんなに悲しい事はないのだ。まあ年代的に知っているって事なのだろう、
この伝説のロビルリアと同年代ぐらいだろうから。
「そっか。爺ちゃんはこの人と同じぐらいの歳だろ、もしかして知ってたりする?」
そうして見せた雑誌の一ページ。
別に知らなくてもよかった。それは会話の流れで、意味なんてなくて、ただ終わ
り方が分からなかっただけなのだ。
「ん? 嗚呼、ロビルリアか。歳を取ったな、まあ儂もだが」
だからその反応に俺は淡泊だった。
「知ってるんだ。同い年ぐらいだもんね」
「嗚呼、同い年だ。アイツも雑誌に載るくらいには有名になったんだな」
でもその言い方が気になった。
「もしかして知り合いなの? 」
「嗚呼、そうだが。ん? なんだ、会いたいのか? 」
「会えるの! 会いたい会いたい! 会えるんだったら会いたいよ! 」
「おおう。ちょっと待て、聞いてみるから」
そう言って居間を出て行った爺ちゃん。少し驚かせてしまっただろうか?
でも会えるのであれば会いたいと思うのは当然の事だろう。
だってあのロビルリアに会えるのだ、伝説の。そこで躊躇なんてする訳がない。
爺ちゃんが出て行って一時間、俺はもうクールダウンしていた。
流石にもう無理だろう、それは分かっている。だから爺ちゃんに大丈夫だと
伝えよう。俺の為に頑張ってくれているのだろうが、無理をさせるのも悪い。
有名人と知り合いっていうだけで十分だ。
「あ、爺ちゃん」
だから戻ってきた爺ちゃんにすぐに言おうとした。
「明日、会いに行くぞ」
突然決まった明日の予定に俺は碌な準備が出来なかった。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる