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その恋は危険です
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しおりを挟む「あー緊張する」
彼女は今にもゲロを吐きそうなくらいに緊張していた。
それは今日が初日であるからだった。
どうにかこうにかコネで教師になれた訳ではあるが、いざ夢が叶うとなると
手の震えが止まらないのだ。
教師になるのは彼女が子供の頃から抱いていた夢である。
それが叶うのであればどんな形であっても問題はない、たまたま人員に空きが
出来たという事で私がそこへ入れた。
まあどうして空きが出来たのかと言えばそれは碌でもない大人の事情だった
訳である。教師が生徒に手を出すなんて事があるなんて私には信じがたい事では
あったけれど、実際起こったのだから事実なのだろう。
正直そんな奴の頭はどうかしているに違いないのだが、その頭のイカレた奴の
おかげで私が教師になれたというのだから、何ともまあ、ねえ?
よって私に求められるのは生徒に真摯に対応する事である。
「皆さん、初めまして。私が今日から担任に成りました……」
私が緊張しながらもどうにか自己紹介をしようとした時だった。
「すいません遅れました」
教室へ入って来た男子生徒? に私の目は釘付けになった。
「あ、シルバが来たぞ! 」
「遅いぞ、シルバ! 何してたんだよ」
「ちょっとお婆さんを助けたら上がって行けってうるさくてさ、断るのに時間が
かかったんだ」
「シルバは爺臭いもんなジルバ」
「そんな事はないよ。みんなよりちょっと背が高いだけじゃないか」
そんな会話をしているのを見て生徒である事は間違いないようだった。
でもその子はこの教室では異質だった。この初等部において彼は子供の中に
混じった大人だった。
「み、みんな静かにしてね。えっとシルバ君でいいのかな、遅刻って事になるけど
いいかな? 」
「それで大丈夫です先生。すみません、話の途中でしたよね? みんなも先生の話
をちゃんと聞かないと駄目だろ? 」
「何だよ、優等生かよ! 」
「でたでた、委員長気質」
「遅刻の奴が言う事か? 」
「はいはーい! みんな授業を始めるから静かにしてね」
何という事だろうか?
私はどうかしてしまったのだろうか?
彼は本当に生徒なのか?
気が付けば彼を目で追っている。
目が合えば高鳴る鼓動、向けられた笑顔にもう鷲掴みされた私のハート。
私は巡り逢ってしまったのだ、運命の相手に……
この夢の場で最高の男を見つけてしまった。
ここで躊躇する必要があるだろうか?
これは彼女が教師人生を終わらせる三日前の話である。
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