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旅の行方
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しおりを挟むその日が私にとって初めての日であった。
それが何なのかというよりはただただ嫌な気分だった事だけは覚えている。
私はスージーがもしかしたやって来てくれるんじゃないかと待っていたけど、
スージーは現れてくれなくて、私はその時間をどう過ごせばいいのかが分からな
かった。
でも何にだって始まりがあれば終わりがあって、終わった私を母は部屋の外で
待っていてくれた。「おいで」そう言った母を私は初めて無視をした。そのまま
一人で歩いた、歩いていたら母が私の手を握った。「ごめんね」と言ったその声
が今でも頭から消えない。
*****
「へえ、噂通りだな」
その男は私の顔を見てそう言ったが、それがどういう意味なのかは知らないし、
そんな事はどうでもいい。私はさっさと済ませてしまおうとしか考えていなかっ
たからだ。結局私の生業はこれしかなかったし、これしか知らなかった。
母は私に何を教える事もなく死んでしまったから。
それでも私はどうにか生きていた。
男は既に上半身は裸である。
身体は歳相応のだらしなさで、浅黒い。
髪は黒と緑のまだらで気持ち悪い色をしていた。
「はよ脱ぎゃあ」
男は煙草に火をつけのを見ながら私は服を脱ぐが臭いが付くのは嫌だった。
「煙草、止めてくれませんか? 」
「何だよ、うるせえな」
文句は言いながらも煙草をもみ消した男の右の脇腹には星型の黒子があり、
目が止まった。
「あれ~、あれあれ~? これはもしかして? そうなんじゃないの?
当たってんじゃないの? ねえねえ、きっとそうだよ。聞いてみなよ」
スージーが私に囁く。
「もういいよ、俺あが脱がしてやりぃ」
ベットに押し倒され、服を剥ぎ取らる。乱暴に扱われる事に腹が立つがそんな
事よりも気になっている事を聞いた。
「名前は、名前は何っていうの? 」
「あ? ロダレーズニーだが? ってお前、男かよ! 」
「決まりだね! 」
そして私は初めて人を殺した。
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