恋愛倉庫

キャッツ

２

「まあ否定はしないよ。過去、数々の浮名を流して来た俺の事をそう言う風に
　言ってしまうのは仕方がない。通る道さ、恋愛初心者が」
　
　
　こんなにも馬鹿にされないといけないものなのだろうか？
　少しばかり私よりも恋愛経験が多いと言うだけで？
　あまりにも調子に乗り過ぎでは無いだろうか？
　何だこのエロ猫は？　化け猫は？　
　
　
「おいおい、そんな二択は止めて欲しいんですが？　
　せめて三択ぐらいにはして貰わないと困るんですけどね？　」
　
　
　そんなどうでもいい事に拘る意味が私にはまったく分からない訳ではあるが、
　それはそれとしてもう一つ何かいいのが無いか考えてみる事にした。
　これは私のボキャブラリーの問題である。
　
　
「じゃあキャッツって事にしよう、うん、それがいい」


　私の問題はそっちのけで勝手に三つ目が決まる。
　
　
「これから俺の事をキャッツと呼んでくれていいんだよ？　」


　何故か自分で自分の名前を決めたこの猫は、全ての猫の代表のような顔して
　私にそう言ったが、私がコイツの事をキャッツなんて呼ぶことはない。
　だってそれは私が決めることであって、コイツが決める事じゃあないからだ。
　決して私がまだ三つ目を考えられないでいるからではない。
　
　
「まあいいさ。気がむいたら呼んでくれ。まったく、困ったツンデレ娘だ」


　おい、ツンデレ娘と言うのは止めろ！
　私はアンタにデレた事なんて一度もないんだからな！
　何を勘違いしているのかはしらないが、私は絶対にデレたりなんかしない！
　いいか？　絶対だぞ！
　
　
「ああ、そうだな。そうだ、そう言う事にしておこう」


　何か引っかかる言い方だな。
　でもこれ以上何かを言ってもきっといい方向には進まないという事ぐらいは
　私にだって分かる。そのくらいを弁えるくらいには大人だった。