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それもまた理
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しおりを挟む『だって死にたくなかったんだもの』
彼女のその言葉はきっと正しい。
たとえ世界と自分を天秤に乗せたら自分の方が重いのだ。
綺麗事なんかで自分の命を差しだせるほど強くなんてないし、そんな事が出来る
のはきっと人間ではないのだろう。
でもそんな当たり前の事を理解出来ない者が居るのも事実で、
そんな奴に説明をしてやる事ほど無駄な事もない。
説明すれば分かる程度の頭がある奴が気付かない事なんてないからだ。
誰もが既に気付いているのだ、その大いなる無駄に。
誰もが既に疲れていた、愚か者に。
そして愚か者に世界は壊されて行く。
それもまた理
*****
「やあやあよく来たね、遠かっただろ? 」
「そんな事もないさ、何せ僕は勇者だったからね」
わざわざこんな山奥の我が家まで来てくれた勇者を私は労うが、まあ当然この
程度の山道などは彼にとっては朝飯前みたいなものなのだろう。その強靭な肉体
は相変わらず健在である。
私は彼を椅子に座らせると、さっそくキッチンへと行き火を起こしお茶の準備を
始める。こうして勇者と話すのはいつぶりだっただろうか? パーティーを解散
したあの日以来だっただろうか?
「それにしてもどうしたんだい急に? 」
そう彼の訪問は突然だったのだ。
だから碌に出すものがなく、私は何かないか探す羽目になった。
こんな山奥に住んでいると小洒落たものなどあるはずもなく、困ってしまう。
「いや、そのなんだ。どうしているのか気になってな。
結局お前には一番迷惑を掛けたんじゃないかと思うし、その事をだな」
相変わらず馬鹿が付くほど真面目な奴だと思った。
そんな事など気にしなくてもいいのに、あの日に確かに私は言ったはずだ。
「気にするなと言っただろ? 何も問題なんてないさ、こうやってちゃんと生活
出来ているんだ。火だってつけれるようになったんだぞ、凄いだろ? 」
私は彼に自慢するのだ。
こうやって自力で何だって出来ると。
「嗚呼、凄いよ。お前がそんな事が出来るようになっているなんて俺は驚いている
んだ魔法使い」
そう、私は元魔法使いである。
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