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ヴぁんぱいあ
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しおりを挟む本当の恋だと思った。
真実の愛だと思った。
これが運命なんだと思っていた。
だから、
「お前との婚約は破棄する事にした」
そんな言葉が彼から出て来るなんて理解出来なかったし、
何かの間違いじゃないのかとさえ思った。
でも寝て度暮らせどその結果が変わる事はなかった。
突きつけられた現実に私は絶望した。
今まで私が信じて来たモノは一体何だったというのだろうか?
こんな事になるのなら……
「いいのかい? 」
「お願いします。私はもう決めたんです」
そして私はヴぁんぱいあになった。
もう誰とも恋なんてしないと決めたのだ。
これからはそんなもの振り回される事はない。
嗚呼あああああああああああ
自分の中で何かが壊れて、何かが生まれていくのが分かる。
熱い、身体が熱い、血液が熱い、まるで燃えるように熱い。
このまま本当に燃えて死んでしまうんじゃないかというくらいの熱に
それもいいかもしれないと薄れていく意識の中で考えていた。
*****
「目覚めたね、少し心配してたんだ。気分はどうだい? 」
目覚めた私のすぐ側にいた同族に問われて、私は言う。
「最高の気分よ! なにこれ、こんな感じなのね。はははははは」
私は今までに感じた事のない感覚を味わっていた。
きっとヴぁんぱいあにならないと感じる事が出来なかったであろうこの感覚に
私は歓喜を上げる。
でも、そんな私を近くで見ていた同族はただ見ているだけで何も言わない。
そんな彼の視線が痛くて私ははしゃぐのをやめた。
「どうしたんだい? もっと喜んでいいんだよ? 」
「いや、何かもういいわ。そんな気分じゃなくなったから」
「そうかい。じゃあ行こうか」
「何処へ? 」
「もちろん親の所へさ」
こうして私は一族に迎え入れられた。
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