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神様なんて死んでしまえばいい
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しおりを挟む今日もいつも通りに太陽が昇ってから目を覚ました私が、起きて早々発見した
のはテーブルに置いてあったチョコレートが見事に太陽の熱でとけている現場で
あった。何とも無残である。
昨夜まではあんなに堂々とその存在を示していたというのに、たかが太陽に
照らされたぐらいでこんな醜態を晒す事になるとは……チョコレートにはほんと
ガッカリである。
私は悲しみに震えながら、そのチョコレートをパレットの上に流し込んだ。
せめてものお悔やみに有効活用をしてあげようという私なりの愛情表現である
その行動に反対する者はこの部屋には居ない。
この絵の具の匂いで満たされた空間には私一人だけである。
主の居ない鳥かごと水を未だにあげた事がない小さなサボテンが唯一の同居人
と言っていいだろう、婚約者だった男は出て行ってしまったから。
あの汚くて不細工な鳥を私が自由にさせてあげたら、婚約者も私から自由に
なりたかったのか婚約破棄を一方的に告げて出て行ってしまった。
まったくもって理解に苦しむ行動をとる人だとは思っていたけど、やっと私にも
理解出来そうな行動を取ってくれた事に人安心だった。
婚約者もいっちょ前に人間だったのだ。
だからこれはきっと喜ぶべき事なのだ、祝福すべき事柄なのだろう。
今頃、あの可愛がっていた汚い鳥の羽をもいで泣きながら空腹から自由になって
いる事だろうと思いを馳せていたらお湯が沸いた。
ゆっくりとお湯を注いでドリップされたコーヒーに砂糖とミルクをゴージャスに
入れるのは、この飲み物が砂糖を如何に摂取するかという運命を背負った飲み物
だったからである。だから今日も甘ったるいコーヒーをしっかりと味わい尽くす
のが私の大切な役割だった。
「うん。甘いな」
そう一口飲んだ私から自然に出た言葉はきっとコーヒーにとっての最高の
誉め言葉であったであろう事は予想できるし、自信を持って欲しいのだ私は。
私からその言葉を引き出せた事を誇りにしてこれからも頑張って欲しい。
この私、エルデリランスーに言わせるなんて大したものだ。
そうして私は朝の一服を終えた私はメリメリと椅子にへばり着いたおしりを取り
はずしてキャンパスの前に立つ。さて今日はどんな絵を描く事が出来るのだろう
かとまだ真っ白なそれを睨みつける。
10分後
何も思いつかなかった。
20分後
椅子で舟を漕いでいた。
30分後
諦めて外へ行く事を決めた。
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