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忘れられない夏が来る
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しおりを挟む「お、俺と付き合って下さい! 」
「こちらこそよろしくお願いします! 」
そんな初々しい恋が実った瞬間を私は見ていた。
まさに実りの季節、たわわに実ったものを収穫する季節。
私もこの恋を今すぐにでも収穫してやろうか? なんて考える季節、秋。
流石にそれは職権乱用だなと思いとどまった風紀委員である私、ルノルビアは
二人を置いて歩き出した。
この学園に入学してからというもの、毎日規則正しい生活をモットーとして
過ごして来た私にはこの風紀委員という役職はピッタリとフィットした。
毎朝、校門前で挨拶をして生徒を迎え入れながらの制服チェック。
その人を見れば違反箇所がすぐに分るようになった私の目は一級品だろう。
「はい、ちょっと待って。スカート丈が1ミリ短いですよ? 」
「ひぃっ! 」
そうして今日も淡々と役割を果たすのだ。
「相変わらず凄いわね、アンタのその目」
スカート丈を計っていた先輩が私に言う。
「このくらい当たり前ですよ先輩。だって私、先輩の後釜狙ってますからね! 」
私の憧れであり目標であるジルビアルド先輩は風紀委員長である。
そんな先輩から褒められて私はうれしくなってしまう。
だからついつい心も口も緩んでしまったのだ。
「そう言えば先程ルチア通りで恋が実るのを見てしまいました。ああいうのは
周りの方が恥ずかしくなるので止めて欲しいものですよね、先輩」
「え? ええそうね」
引きつった笑顔。
そして私は思い出す、先輩が婚約破棄された場所がルチア通りであった事を。
あの恋が叶うと言われているルチア通りでの婚約破棄は当然のように尾ひれの
ついた噂となって知れ渡った。
風紀委員長のスキャンダルである。
当然のように学園には彼女をよく思っていない人達が居るのだ。
そんな人達にとってそれはあまりにも甘い甘い蜜の味がするものだった。
「ごめんなさい、私、無神経でした」
やっと元気になって来た先輩に余計な事を思い出させてしまった。
「いいのよ。気にしていないわ。それよりも授業に遅れないようにしないと」
その後、私からは何も言う事が出来ないまま先輩は行ってしまった。
時間が経てば全てを解決してくれるのだろうか? 私は考えてしまうのだ。
どうにかして先輩を元気づけたいと思うものの私にはその術がない。
実りの季節だというのに何の成果も得られない、そんな秋だった。
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