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忘れられない夏が来る
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しおりを挟む「姉からいろいろと聞いていますよルノルビアさん」
弟君からそんな事を言われて私は彼と距離を取る事にした。
彼は親しくなろうとしてくれたのかもしれないが、
私にはそんな事が出来そうに無かったのだ。
彼を見ているとついつい先輩の事を思い出してしまう私。
だから距離を置きたかったというのに……
彼はそんな事はお構いなしに私に近づいてくる。
話しているとまるで、先輩と話しているような感覚が確かにあった。
そんな事があるはずもないのに、どうしても胸がざわつくのである。
私は今、何を考えているのだろうか?
私は彼を先輩の代わりにしようとしているのだろうか?
それとは違うような気がする。
もっと違う感情を私は彼に抱いてはいないか?
まさか本気なの?
この胸の高鳴りはそういう事だというの?
「お疲れ様です先輩。今日も凄かったですね」
そう言って来た彼。
私はもう限界だった。
「ねえ、何なの? 貴方は一体何なのよ! どうしてそんなに私に近づいて来て、
私が距離を取ろうとしている事なんて分かっているでしょ? それなのにこんな
私、もうどうしていいか分からないのよ! 先輩が急に居なくなったと思ったら
今度は貴方が現れて、私は自分がどんな気持ちでいればいいのか分からない!
貴方と居るとザワつくのよ! 先輩の事を思い出すのよ! もう嫌なのよこんな
のは……」
私は先輩が居なくなってから初めて泣いた。
毎日がただただ苦しかったのだ。
「そうだったの、ごめんね。ついつい楽しくなっちゃって。私、先輩とはうまく
行かなかったし周りからもそんなに好かれていなかったからさ。でももう十分
楽しんだし、いいかもね。私、ジルビアルドよ」
彼は一体何を言っているのだろうか?
私を馬鹿にしている? 気でも触れたか?
「他人の人生って結構楽しいものよ、アンタも経験してみるといいわ。
すごいのよ、私の知らなかった事が沢山あったんだから! 」
嬉しそうに、楽しそうに、興奮気味にそういう彼の姿が先輩と重なった。
「本当に先輩なんですか? 」
「ええ、だからそう言っているじゃない? まだ信じてくれないの? 」
その仕草は確かに先輩で、こうして私は春の終わりに再会する事となった。
「でもどうしてその、弟さんの中に先輩が? 」
他にも聞きたい事が沢山ある。
「そうね、それを説明しないといけないのよね。何から話せばいいんだろう?
嗚呼、そうか! ねえ、学園の七不思議って知ってる? 」
先輩はそんな感じで私を巻き込んでいった。
そして忘れなない夏が来る。
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