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婚約破棄を宣言した私が一年後どうなるかなんて知らない

１

「そんな理由でお前は俺に別れろというのか？　」


　私が今婚約破棄を宣言した結果、彼はそんな問いを私へ向けた。
　その疑問は確かに間違ってなんかいなくって、この婚約破棄は全て私の我が儘
　が理由だった。
　
　
「ええ、そうよ」


　だからこれ以上の言葉を私は持ち合わせてはいないのだ。
　これ以上の我が儘なんて言えるはずもないのだから、彼からどんな非難をされ
　ようとも私は受け入れようと思っていた。
　
　
「そうか、分かった」


　だから彼がすんなりと受け入れた事に私は驚いてしまう。
　こちらはどんな事を言われてもいいように準備万端で、折角準備したそれを
　披露出来ない事に私の方から文句を言いたいくらいだ。
　
　
　でもそれは駄目なのだ。分かている、分かっていますとも。
　そんな事をしたって何の意味もない事は。
　だから私が今すべき事はすぐにここから立ち去る事だった。
　
　
　私にはもったいない人だった。
　他の女に言い寄られている事だって知っている。
　そんな彼だ、きっとすぐにいい人が見つかるに違いない。
　
　
　そう思うえば、彼に対して何の未練もなく別れる事が出来るというものだ、
　清々する。
　もう彼の事で頭を悩ます事がなくなるのだ、
　清々する。
　もうこれ以上彼の事を好きにならなくて済むのだから、
　
　
　清々する。


　こんな雨降りでも心はこんなにも晴れやかだった、
　今の天気のように。