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君が居るという事
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しおりを挟む「じゃあね、また明日」
「ええ、さようなら」
なんて会話が行われている中を私は何も言わずに通り抜けた。
私のそんな行動に誰も何も言ったりはしないし、そもそも私の事など誰も興味が
ないのだろう事は知っている。
クラスの中での私のヒエラルキーは最下層である。
そもそも見た目からして地味な私がみんなからの注目を浴びるなんて事がある
はずもない訳で、そこが私の立ち位置だった。
でもそれが嫌だとか言う訳ではない。
だって私なんてその程度だと思っているから。
私は自分の事が嫌いだった。
何をするにしたってとろい私が、彼女達のようになれるとは到底思えない訳で
生憎、今までの人生でそれが不可能だという事はもう痛い程知ってしまって
いるから……
だからそんな私には不釣り合いだった。
彼は私になんかにはもったいないくらいの人だった。
親が勝手に決めて連れて来た婚約者。
当然私には断るなんて事が許されるはずもなく、選択肢などイエスしかなくて
そんな事だからずるずると今日まで来てしまったけれど、それでも私は決めた
のだ。こんなのはいけないと思ったから。
散々考えた。大したスペックでもない私の頭をフル回転して考えた末に導き出し
た答えだった。たった数回会っただけだったけど、彼が素敵な人だという事は
よく分かったし、分かったからこそだった。
「婚約を破棄させて下さい、お願いします」
それは私の人生の中で一番輝いていた瞬間だったのではないだろうか?
そう言い切れる程、私は上手に言えたと思う。
これで彼も私の様な奴と結婚しなくて済むし、彼ならきっと私何かよりもいい人
を見つけられる事だろう。
私はとても晴れやかな気持ちでその場を後にしたつもりだった。
笑顔で、颯爽と歩く事が出来ていたと思う。
ただ少しばかりの痛みがあったが、そんなものは気にする必要はなかった。
だってそれは私にとっての日常だったから。
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