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菫川ヒイロ

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恋をするには不十分

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 私には婚約者がいます。
 ボリノデース卿。
 私よりも年上のとても紳士なお方です。
 
 
「おはよう、ビルドアヌ。準備は出来たかな? 」


 今日はデートの日です。
 
 
「迎えに来てくれてありがとうございます。準備は出来ていますわ」


 私はボリノデース卿に手を引かれて馬車に乗り、庭園へと向かいました。
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
「よ、よう! ビルドアヌ。偶然だな」


 庭園に着くと幼馴染のドワースが居ました。
 
 
「ドワースも来ていたのね。私は卿と一緒に来ているのよ」


 私はドワースにボリノデース卿も来ている事を教えてあげました。


「やあドワース君、偶然だね。僕達は今日、デートで来たのだが、君は何をしに
 来たのかな? 」
 
 
「うっ。俺は、そのなんだ、庭園をだな……」


 言い淀むドワースを見ていると昔を思い出しました。


「ドワースも一緒に見て回りましょうよ! 折角会ったのだから。
 ね、いいでわよねドワース? 」
 
 
 だから誘う事にしたのです。
 
 
「ああ。ビルドアヌがそう言うのであればそうしてもいい」


「そうしましょう! みんなで回った方が楽しいわ! 」


「オホン。ビルドアヌ、今日はデートなのですが? 」


「ええそうね。駄目なの? 」


 私がボリノデース卿の方を見れば


「駄目ではありませんよ。ビルドアヌが望むのなら私は構いません」


 賛成してくれました。
 

「ありがとう、卿! きっと楽しい日になるわ! 」


 私はそう確信したのです。
 
 
 

 *****
 
 
 
 
「あれ? ビトルーじゃない、何をしているの? 」


「おや、ビルドアヌではありませんか。偶然ですね。僕は、あれドワース。
 どうしてここに? 今日は親戚のパーティーへ行くと言っていませんでしたか?」
 
 
「何を言っているんだビトルー。そんな事は言っていないよ。君こそ用事があると
 か言っていなかったかい? 」
 
 
「ええ、ですからこうして庭園にいるのですよ」


「そうかそうか。邪魔をして悪いから行こうビルドアヌ。彼はどうやら忙しいみた
 いだ」
 
 
「そうなの? 折角だからご一緒しようと思ったのだけど、邪魔はしたくないわ」


「邪魔だなんて、そんな。僕は大丈夫さ」


「そうなの? 」


 ブンブン頷くビトルーを見ていると犬っぽいなと思ってしまいました。
 こんな事を思っては秀才の彼に失礼ですね。
 
 
「じゃあご一緒しましょう」


 こうして私はまた新しい仲間をみつけたのでした。
 
 
 
 





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