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菫川ヒイロ

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はじまりとおわり

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 私はあまり人付き合いというものが得意ではない。
 でも、そんな私にも少なからず友達が居た。
 友達というか、腐れ縁なのだけどノワールという近所に住む男の子だ。
 
 
 彼はあまり周りの目を気にする事がない。
 だから私なんかに話しかけてくるのだ。
 
 
「なあ、ミリア。それって楽しいの? 」


 私が本を読んでいてもお構いなしに話かけて来て、どうでもいい話をさんざん
 していくと満足して帰って行く。
 
 
 そんな彼が私は嫌で仕方がなかった。
 私は一人、静かに過ごしたかったのに、それを邪魔する奴がやって来る
 それが私のノワールに対する印象だった。
 
 
 でも、それも少しずつ変わって行った。
 
 
 ぼっちな私はいつもあぶれるのは仕方がない事だ。
 そういう時はいつだってノワールが私の相手をしてくれるのだ。
 「腐れ縁だから仕方がねえ」それが彼の口癖だった。
 
 
 そんな彼に恋心を抱いたのはいつの頃からだっただろうか?
 私の片思いが始まった。
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
 私もついに親友と呼べる友が出来た。
 彼女は私なんかとは比べ物にはならないくらいとても美人で、
 みんなのアイドルで、そんな彼女と私が何故が親友になってしまった。
 
 
 それは、私の人生において重大事項。
 私は彼女の事が大好きで、彼女の為ならば何でも出来ると言いきれるくらいだ!
 
 
 でも、そんな彼女が婚約破棄をされたと私に教えてくれた。
 そんな不届き者がこの世に存在するとは、何という事だろうか!
 私は落ち込むエリーゼを励ました。
 
 
「何よそいつは! そんな奴とは別れてよかったのよ。エリーゼならきっとすぐに
 新しい相手が見つかるわ! 」
 
 
「ありがとう、ミリア。私なんだか元気になって来たわ! 」
 
 
 エリーゼがそう言ってくれるだけで私は嬉しかった。
 私はこの親友の笑顔をみれるなら何だてしよう!


「よう、ミリア。こんな所で何してるんだ? 」


 それは突然だった。ノワールが何故か居た。
 

「何ってお茶よ。何か文句あるの? 」


 私はつい、いつもの感じで彼に返事をしてしまった。
 
 
「お前がお茶をするお友達が居るとは知らなかったな。
 初めまして、俺はノワール。ミリアとは昔からの腐れ縁って奴でして」
 
 
「もう何よ! 早くどっか行きなさいよ! 」


 私は何故か早くこの場からノワールを追い出したかった。
 
 
「こいつこんな奴で、なかなか友達とか出来ないんですけど、仲良くしてやって
 下さい。えーと」
 
 
「あ、エリーゼです」


 二人の目が合った時にその理由が分かった。


「エリーゼさん、とてもお綺麗ですね。痛っ、何するんだミリア」


 それでも私はノワールの足を蹴って、どうにかその不安を打ち消そうとした。
 
 
「余計な事は言わなくていいから。さっさと行きなない。しっしっ」


 ようやくノワールが居なくなる
 
 
「ごめんね、エリーゼ。変な奴だったでしょ? 」

 
 私の小さな抵抗だった。


「ええ、そうね。ミリア、ノワールさんには彼女が居るのかしら? 」


 私はこれからどうすればいいのだろうか?




 *****
 
 
 
 
「本気なのエリーゼ? あの、ノワールよ」


 私はまだどっちつかずだった。
 

「ええ、本気も本気。これが運命ってやつなのね。
 私、こんな気持ちは初めてなの! 」
 
 
 でも、この時に決めたのだ。
 
 
「分かったわ、私が段取りするから。何かあったらすぐに言ってね? 
 あいつガサツだから、変な事したら私がすぐにつれて帰るから! 」
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
 こうしてエリーゼはノワールが付き合う事となり、そして結婚した。
 
 
 私は二人を祝福する。
 
 
 だってどっちも大好きだったから。
 そんな二人が結婚するのだ、祝わない理由なんてある訳がない!
 二人の幸せそうな笑顔を見て私は泣いた。
 
 
 これはきっと嬉し泣き、
 
 
 私の片思いは終わったのだ。
 
 
 
 
 
 



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