364 / 425
お前しかいない
15
しおりを挟むその台詞は、幼馴染の加恋が通りすがりのサラリーマン相手に
放った言葉である。この台詞は序盤でもっとも重要な台詞であり
後々にとても重要な意味をもつ台詞だったりするのだ。
台詞を言い終えた渡辺さんは、堂々と自慢げに見せつけてきたが
そこに、当然のように栄ちゃんが出て来た。
「いやいや、そういう事じゃないんだよ渡辺さん。
そんなのじゃ全然伝わらないよ。
そもそも強調する所は「言った」の部分なんだよ!
そこを流して言ったらダメだよ、だからもう一回お願いします」
栄ちゃんは問答無用で2回目を要求する。
そしてそれにつられて渡辺さんはまた台詞を言うが、
また栄ちゃんのダメ出しが入り、台詞を言ってはダメ出しが入る
それから何度もその繰り返しを私は見る事になったのだが
それは一体何度目だっただろうか? 二桁を回ったくらいでとうとう
彼女の方に限界が来たのだ。
「何よさっきから、全然わかんないのよ! 私は言われた通りにやってるでしょ!
それを何回も何回も、どれだけすれば満足するのよあんたは!
もういい、帰る! 」
渡辺さんはドアを力いっぱい閉めて出て行った。
*****
「俺、間違ってたかな? 」
帰り道、そう私に聞いて来た栄ちゃんはどうやらまだ気にしているらしく、
トーンは暗い。
「まあね、いきなりあんなにいったら驚く人の方が多いかもね」
「嗚呼、せっかくいい演者を見つけたと思ったんだけどな」
部員集めに失敗して、栄ちゃんは落ち込んでいるが、私が発破かけた結果、
彼女を連れて来たのは凄い事だし、なによりも私は、あんなに栄ちゃんが
ぐいぐい行くとは思っていなかったので驚きだった。
あれだけ出来れば上出来、これからも問題ないだろう。
まあ部員の方はじっくりやればいいだろう。
「あの人は諦めて、次を探そうよ栄ちゃん」
「嗚呼、やっちまった」
落ち込む栄ちゃんを見ながら、私は思う。
栄ちゃんの監督としての能力が、ちゃんとある事が分かっただけでも
本日の収穫とするとしよう。
*****
次の日、またいつもの様に三人で居ると
「待たせたわね、リベンジマッチと行こうじゃないの!
さあ、さっさと準備しなさい。本当の私を見せてあげるわ! 」
何故か渡辺さんがやって来た。
何でも昨日は本調子ではなかったらしく、今日は整えて来たらしい。
「回しまーす」
そしてカメラが回り始める。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる