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お前しかいない
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しおりを挟む私はその日、イライラしていた。
「何なのよあいつ! 何回やらすのよ! この私を誰だと思っているの!
素人風情が分かった風に言ってんじゃないわよ! 」
私はイライラしながら家に帰る。
こんなに気分が悪いのはいつぶりだろうか?
そうだ、あの日以来だ、私が役者の仕事をもうしないと決めたあの日以来。
私はその時の事を思い出してまたイライラした。
「もう! 」
突然声を上げた私に驚いて猫が逃げていき、
そんな猫に私も驚いてビクッとなってしまう。
「私、何してるんだろう」
なんだかどっと疲れが押し寄せて来た。
*****
高校生になったら、今まで出来なかった学生生活を満喫しようと
決めたはずだったのに……
そんな私の決意など知った事ではないと、周りの私を見る目は芸能人だった。
演劇部の部長が勧誘に来たのが何より最悪だった。
いくら断ってもしつこく勧誘してくるので私もつい口が滑ってしまったのだ。
「しつこいわね! 私があんた達みたいなヘタクソとやる訳ないでしょ!
分をわきまえなさい! 」
自分でも結構いい出来だったと思うくらいに台詞が決まり、
ちょっと嬉しくなったが、それを言った場所が教室だったのが悪かった。
クラスメイトが居る前で言ったものだから、
私のイメージが糞野郎になってしまい
それからの学校生活のしにくい事といったらまぁ、嫌になる。
すぐにそんな私の話は広がるのが学校というものである。
でも、そんな中で私を部活に勧誘して来た奴がいた。
私は前回の反省を生かし、とりあえず教室で断ることはせずに
部室にまで出向いたら、いきなり演技をさせられるわ、
しかもダメ出しされるわで最悪だった。
*****
ベットに入り、さっさと眠ろうとしてふと思う。
『なんかあれって私が負けたみたいじゃない? 』
そう思うと負けず嫌いの私は、自分を許せなくなった。
だから私は次の日、早く起きて入念に準備をした。
「見てろよ映像部! 私の本気がどれだけ凄いか教えてやる! 」
そう息巻いて再び部室を訪れた私は宣戦布告するが、
「昨日よりはいいけど、やっぱり違うんだよな」
そう言われた瞬間に私はブチギレた。
「どこの誰だか知らねえが、男だろうが何だろうが関係あるか!
私が演技ってもんをしっかり教えてやるから食いしばれ! 」
私は拳でその何某君に演技を教えてやる事にしたのだ。
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