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お前しかいない
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しおりを挟む「おおおお! 」
予想通りの立花さんの行動に私は「やっぱりな」と思う。
彼女は栄ちゃんが殴られているのを止める事は一切せずに、
ただカメラを回し続ける。
そうそう撮れるような光景ではないので、撮り続ける事に私も
否定的ではないし、私も同じ立ち位置ならきっとそうするのだろう。
でも私と栄ちゃんの関係上そこは止めに入るのである。
「もういいでしょ、止めなよ」
私は栄ちゃんから渡辺さんを引きはがすが、
「そう、それだよ! その感情で言うんだよ! ほら早く! 」
栄ちゃんも栄ちゃんでスイッチが入っているようで、そんな事を言って
しまうものだから収集がつかなくなる。
「はぁ? よし、分かった。まだ足りないならやってやるよ! 」
また殴ろうとする渡辺さんの腕が私の顔に当たる。
「痛ッ」
「あっ、ごめん」
我に返り渡辺さんが謝って来るが、私にはそんなものはどうでもよくて
「いいから、早く言って! 」
「え? 」
そう言うとキョトンとする彼女に私はもう一度言う。
「早く言って、台詞! カメラはそこ! 」
彼女はもう訳が分からない状態で台詞を言う。
「だから言ったでしょ、イチジクは痔に効くって」
「栄ちゃんどう? 」
「完璧」
「カメラは? 」
「ちゃんと撮れてまーす」
やっと終わった。
こうして私達、映像部はスタートしたのだった。
*****
家に帰ってから、制服も着替えずに私はずっと呆けていた。
一体何だったのだろうかあれは?
頭は未だに追いついておらず、何も考える事が出来ずに居たが
頭の中はとてもクリアだった。
どうして私が映像部に入る事になってしまったとかは、
よく覚えてはいないのだが……何故か入部届に名前を書いていた。
あのイカれた連中がいる部活に私は所属する事になってしまったのだが、
私はこれからどうなるのだろうか?
あの連中の中で私はやって行けるのかは謎ではあるのだが、
それでも今日の出来事はきっと一生忘れる事は出来ないだろう。
だって私が初めて役を演じられた記念日となったのだから
あの感覚は今までに感じた事がなく、
自分であって自分でない、そんな不思議な感覚だった。
私は今、あの感覚がまた味わいたくて仕方がなかった。
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