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お前しかいない
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しおりを挟む「ねえ、私言ったよね。編集の時間をちょうだいって」
「はい、言いました」
俺は彼女の隣で膝に両手を置いて頷く。
沈黙が続く中で俺はこの空気に堪えないといけないのだ。
こんな状態になったのは、全て俺が悪いのだから……
立てた計画も順調に崩れていき、当然の様に崩壊した。
努力はした、したつもりだったけど……
どんどん良くなる千里の演技に俺はさらに先を見てみたくなってしまって
鈴がストップをかけてどうにか形になるように修正し、
編集パワーでどうにかしてもらっている最中だった。
「チッ」
彼女の舌打ちが部屋に響き、俺はゴクリと生唾を飲み込む。
『虹子、超怖いんですけど~ 』
*****
まったくもって時間がない! 時間が無さ過ぎる問題が発生している!
はっきり言って栄ちゃんがここに居る事に何も意味はないのだ。
むしろ邪魔だった、集中できないではないか!
彼は彼なりに必死なのは分かるが、空回りしている事を分かっていないし
鈴もそんな栄ちゃんを止めたりはしないのだ。
まったくあいつには困ったものだ……
「ごめん、ちょっと休憩いれます」
あの空気に耐えられそうになかった私は外の空気を吸いに出る。
硬くなった身体を軽く伸びをしてほぐしながら、大分力が入っていた事に
気づいてうんざりして、時計を見た、もう限界だった。
「もしもし、どうしたの虹子、もう終わったの? 」
そんな事があるはずがないのは分かっているのだろうに、鈴の奴め。
「終わらないから電話してんのよ!
私は集中したいの、鈴になら分かるでしょ? 」
「はは、よっぽどなのね。なるほどなるほど、でもいいんじゃないの?
そういう経験も必要でしょうに。もっと励みなさい! 」
この女、確信犯である。
「時間がないのよ! いいからさっさと引き取りに来なさいよ、栄ちゃんを!」
私はそう言ってすぐに電話を切った。
鈴の奴、こういう時なのに面白がって、本当嫌になる。
分かっていた事だった。
初めて会った時から私は鈴から漂う臭いにちゃんと反応していた。
だから、鈴が何を考えているのかなんて大体分かっていたし、
向こうが気づいている事も知っていた。
それでも私、否、私達はそうせずにはいられない、そういう人種なのだ。
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