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お前しかいない
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しおりを挟む「おもしろい! 」鈴の脚本を読んでいて思ったのはそれが第一で
次に「大変な事になるな」とすぐに頭の中でいろいろと巡らす俺は
なんだかんだと悩んだあげく、重要な事にやっと気づいた。
「うちには役者、一人しかいないじゃん! 」
そう、今回の話は役者が二人必要なのだ。
それも男の役者が必要だという事に俺は固まってしまう。
「これって今から見つけないといけないんだよな? 」
今から映像部に入ってくれるような人が居るのだろうか?
そもそも、演技ができないと話にならないし……
大体、千里と張り合える人じゃないと話にならないのだ。
そうでないと話が成り立たなくなってしまう、これは困った。
鈴はどうしてこんな話にしたのだろうか?
今の映像部の人員だけでは出来ないこのお話は、撮影場所も
何か所も用意しないといけないし、このままでは無理だ。
やることが多すぎて死ねる。
*****
なんだかんだで私達三人は集まってお茶をする事がある。
基本的には千里が集合をかける事が多いのだが、今回は虹子が主催である。
別にこの集まりが嫌いな訳でもないし、時間を潰すのには
ちょうどいいと思っているのだが、ただ今回は虹子が主催なので
何かあるのだろうと構えて出てきた私である。
「鈴、今回のもおもしろかったわ。
いいよねやっぱり、女はああじゃないと、うんうん。
私はもう、準備万端よ。今回もみんなが私を褒め称える事は決定ね」
千里はお茶をすすりながら感想を言うのは毎度の事で、
三人でいる時はよくしゃべるのだ。
こういう所はちょっと可愛いなと思ってしまう。
「そう、それはよかったね」
だから私は相槌をうつが、虹子は興味なさげにしている。
自分で集めておきながらこれである。
必要の無いものには全く興味を示さないその姿勢は、人しては
ダメな部類に入るのだろうが、私にとってはうらやましく思う部分だ。
虹子はもう振り切ってしまっている、だから私にも平気で言うのだ。
「ねえ、鈴。鈴は栄ちゃんをどうしたいのよ? 」
なんの建前もオブラートすらなく、そのまま私に投げつけて来るから
私もそのまま答えるのだ。
「ねぇ、私はどうしたらいいと思う? 」
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