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お前しかいない
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しおりを挟む撮影は順調に進んでいた。
千里の調子が良かったのが大きいが、一発で決まる事が多く
そのおかげで、遅れいていたスケジュールも大分取り戻す事に成功していた。
「千里、調子いいね。何かコツみたいなの掴んだの? 」
と休憩中に聞いてみれば
「うーん? そうかもね」
と意外とそっけない返事である。
集中出来ているのだろう、話しかけるのは止めておこうと私が
その場から離れようとすると
「コツってどんな事っすか? 」
小暮が話に入ってこようとする。
まったくこのポンコツはどうしようもないなと思い、止めようと
したら、意外な事に千里は会話を始めた。
「何あれ、どうしたの? もしかして気でも狂った? 」
相変わらず虹子は酷い事を言うが、正直私にも理解不能の状態である。
一応、栄ちゃんにも報告しておこうかと思って振り返れば、
三田村と話す栄ちゃんの姿。
最近このパターンが多い。
休憩時間はだいたい三田村と話しているのだ。
場所とかの確認らしいが三田村がこんなに頻繁に顔を出すなんて事
今まで無かったのに、どういうつもりなのだろうか?
「また、三田村が来てるね。そうだ、私も聞きたい事があったんだった。
ちょっと行ってくるわ」
虹子も三田村の元へと行ってしまった。
*****
「最近千里、小暮と仲いいね」
「はぁぁぁぁ? 」
鈴に突然そんな事を言われて私は思わず大きな声を上げてしまった。
私が? あのポンコツと? 一体鈴は何を言っているのかが理解できず
虹子みたいに口が悪くなってしまったのかと疑ったがそうではないようだ。
「どうしたのよ鈴、私があのポンコツと会話なんてするはずないじゃない! 」
きっぱりと否定する、私の沽券にかかわる話だからだ。
「あれ、でも最近よく話してるよね? 」
「そんな訳…… 」
鈴に指摘されて思い返してみれば、確かにポンコツと話したような記憶が
ちらほらと思い浮かんできて私はゾッとした。
「どうしよう私、おかしくなったのかな? 」
私は謎の記憶がある事が嫌で、鈴に否定して欲しくて助けを求めたが
「心配するな、元からだ」
何故か虹子から悪口を言われただけで、救いなど存在せずにただただ傷ついた。
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