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菫川ヒイロ

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お前しかいない

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「ばーか、ばーか」


 虹子が千里を挑発する。


「あによ! 」


 千里が虹子を牽制


「ばーか、ばーか」


 そして別方向から私が千里を挑発。
 ケーキをモシャモシャ食べながら、私達はそんな低レベルな
 会話を楽しんでいた。
 
 
「知ってますぅ。自分が馬鹿だって事ぐらい、分かってるから」


 いい加減千里がまた落ち込みそうなので、
 これ以上は止めておくが、本当、役者って生き物は面倒くさい。
 ちょっと失恋したぐらいでなんだというのか、
 そもそもこの部活をやっていれば一緒に居れるというのに……
 
 
「それで、どれにするか決めたの? 」


「まだ、帰ってじっくり読んでからにする」


 千里は紅茶を啜る。


「そう、ならそれでいいけど。千里の好きな奴でいいからね、
 今回はあんたの我が儘聞いてあげるわ」
 
 
 そんな私の言葉に虹子が反応した。
 
 
「何それ、結局それって苦労するの私じゃないの? 」


「さあ? それは千里の匙加減で決まるんじゃない。
 だから私には関係ありません。楽したいなら千里に頼むことね」
 
 
 虹子が苦労する事なんて、私にはご褒美みたいなものだ。
 だから虹子の苦情は受け付けません。
 
 
「ちょっと千里、あんた分かってるんでしょうね。変なの選ぶんじゃないわよ」
 
 
「えー、分かんない。私、馬鹿だから変なの選んじゃうからも
 しーらなーい」
 
 
 千里が虹子に仕返しを始めたのを見ながら私はコーヒーを啜る。
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
「今回は千里に選んでもらうから、絶対だから! 」


 鈴に強く念押しされ、俺は頷くしかなかった。
 だから今回はどうなるのかはまったく分からない、分からないけど
 また映像を取れる事に俺は安堵していた。
 
 
 このまま千里が戻って来なかったら、きっと映像部は終わっていた事だろう。
 それくらい今のメンバーは尊いのだ。
 他に代わりなどいないこのメンバーが集まった事は、本当に奇跡だと思う。
 
 
 だから今回は千里に選んでもらう事に関しては納得している。
 何よりも原作者のお言葉なのだから、それは絶対だし、逆らうなんて
 馬鹿な事はしないのだ。
 
 
 はっきり言ってこのメンバーの中では俺が一番どうしようない、
 そんな俺でもみんなが喜んでくれる映像が作れるのは、ひとえに
 あの三人が居てくれるからだ。
 






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