ゲエムタワー

ゆう猫

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魔獣の下層

36人のプレイヤー

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 ようやく目が暗いところに慣れてきて周囲が良く見えるようになった。
特に変わったものは無い床や壁は石造り、そしてひとつ扉があるだけ。
 「入れってことか?」
見るからに怪しいが扉以外何も無い。手をドアノブに近づけたとき自分の手が震えてることに気がついた。この震えは武者震いなのか、怯えてる震えなのか分からない。
俺は手の震えを無理やり抑え改めてドアノブに手を当て扉を開けた。
その時眩しい光が差し込んできて思わず目をつぶってしまった。
恐る恐るつぶった目を開き最初に入ってきた光景は噴水の周辺に集まっている無数の人影だった。




 「ん、おい。また来たぞ。」
一番近くにいた男性が自分の存在に気づき近づいてきた。
 「よお。あんたもどうせ知らぬ間にここに来たってやつだろ?」
男は一定の距離まで近づくとそう尋ねてきた。
見たところ武器らしきもの持ってない
こいつも被害者なのだろうか…。
 「ああ。ここどこなんだ?」
何となくこの男も知らぬ間にここに付いた被害者だろうからここがどこだかなんて分かるはずないと思うが、何となくゲームだったらお決まりのイベントだと思って聞いてみた。
 「さあな俺も気づいたら暗い部屋の中にいたからな。」
男は腕を組み難しい顔をしながら答えた。
予想通り過ぎる答えでつまらないなと思いながら周囲を見渡した。

かなり広い空間になっており中心には噴水が流れていてヨーロッパ風の街灯が綺麗に並んでいる。床は赤レンガで出来ており、壁は噴水を中心に円形でどこかへ繋がってる道が二つと俺が部屋から出てきた扉と同じものがずらりと並んでいるが一つだけとても大きな扉がある。天井は高く奥は暗くてよく見えない。
まあ、こんなものだろうか。
 「そういえばあそこの噴水に集まってるヤツら全員ここに来た記憶がないまま来たらしい」
 「そうか」
噴水の周りにはうろうろと落ち着きのない男女が集まっている。大体噴水周辺と俺とこいつを合わせて30ぐらいはいるな。
だが本題はこんなに人を集めて何をするのか、いやさせられるのか…。殺し合い?それとも生き残りの脱出ゲーム?まあ何であれ普通じゃ味わえないアソビをするはずだ。

 そんな非常な妄想をしてると、何やら噴水周辺が騒がしくなってきた。
近づいてみると一人の男が少し大きな本を持っていた。
 「おい、それどっから持ってきたんだ?」
 「わ、わかんね…。空から降ってきたんだよ」
 「ねえ中に何が書いてあるの?早く開いてみてよ」
 「ちょっと待ってくれよ。俺怖くて開けねえよ…
代わりにだれか開けてくれないか?」
 「俺は…遠慮しとく」
 「私も…」
 「こういうことは男がやることでしょ!
早く開けなさいよ!」
 「はあ?なんだよそれ意味わかんね
そんなに中身気になるんだったらお前が開けろよ!」
やはり人が多すぎて誰が何言ってるか分かず、本の擦り付け合いで状況はスクランブル状態だ。
だがいつまでもこんなことやってたら物語は進まらない。あまりやりたくはないが、俺が本を開いてやろうと思った時、
 「ボクがその本開けるよ」
メガネをかけた細身の男が皆に聞こえる声で言った
するとざわつきが一瞬で止まり本を開けると発言した男の方に全員の視線がいった。
メガネ男は本を手にするとためらいもなく開いた。





本を開くと白紙のページが何枚もあるだけで何か文字が書いてあるわけでもなかった。
 「なにも…かいてないのか、」
何も無いと皆、ふぅ…と息を吐いて緊張がほぐれた時メガネの男が本の異変に気づき慌ててそれを見せた。
 何も書いてなかった白紙の紙に文字が浮き出てきたのだ。
 「も、文字が…な、なんで…?」
みんなさっきからビビってばっかで全然次に進めず少しイラついて、
 「おい、メガネ。なんて書いてあるんだ?
早く読んでくれ」
 「わ、分かった」
         【選ばれた36人の皆様へ】
  初めまして私はとあるゲーム会社を経営している者です。
  今回新作のゲームを開発しまして皆様方にはゲームのテストプレイをしていただくためにお集まりなさってもらいました。
  なおここにお集まりの皆様は世界のトップのレベルにおける優秀なゲーマーをご招待させて頂いています。
  ゲームのクリア目的はこの塔の最上階を目指すこと。
  道中モンスターが出てくるため奥の部屋で装備をしっかり備えておくことをお勧めします。
  なおモンスターは現在皆様方のいるホーム拠点にはモンスターが接近してきます。噴水が破壊された時点でゲームオーバーとなります。
  食料の方は装備とは別のもう一つの道が食堂につかながっており、お一人様一日三食まで提供しております。
  このゲームはLv.制になっており自身のステータスは後ほど見えるようになります。
 なお途中離脱、リタイアは受け付けておりません
 ゲームクリア者には賞金が送られます。

  以上。皆様のご武運をお祈りしております


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皆、唖然としていた。
謎のゲームに勝手に参加させられて、普通なら帰りたいとか助けてくれとかそう言うかもしれない。
だが俺達は普通じゃない。
ここにいるのは全員腕に自身のあるゲーマー
こんな面白そうなゲーム参加できるなんて、逆に有難いと思う。
皆の目つきが変わっていた。
さっきまでのなよなよしていた空気が嘘のように変わって鋭いトゲが張り巡らせているような空気にかわった。ここにいる全員がライバル
それを感じさせるプレッシャー
これがトップゲーマー。

 だがこの後、俺達は知ることになる

 これがゲームではない事に

 そして俺達がここにいる本当の意味を

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