異世界騒動記。「さて、一丁やる気だしますかね‥。」

プロローグ

 ブォォォオ！！！

  ドガァァァ！！！

 そこからの記憶は無い。

 ただ、今はフワフワと宙に浮いている心地だ。

 死んだのだろうか？

 恐らく俺は大型トラックに跳ねられた。

 生きていたとしても無残な姿だろう。

 「‥」

 ん？

「‥よ」

 誰かが俺を呼んでいる？

 生きているのか？

 俺はゆっくりと瞼を開いていく。

 ずっと目を瞑っていた所為か視界がボヤけるが徐々に鮮明になっていくと、俺は大きく発狂する。

「なぁぁぁぉぁぁぁ！！！」

 なんと自分は満月が浮かぶ雲海の上、感覚通り宙に浮いていたのだ。

 そんな驚きの中、不意に後ろから「やっと目覚めおったか」と声がかかり振り返るとスキンヘッドで長い白髭を生やした着物姿の老人が浮いてた。

 手には杖を持っている。

「って誰だハゲェ！！！」

ガコン！！

 老人が持つ杖で、頭をど突かれた。

「ぬぅお！」

「会って早々に失礼な奴じゃな。」

「会って早々に杖で叩くのもどうかと思うけどぉ！」

「騒がしい奴じゃ。兎も角じゃがワシはお主に誤らねばならん。」

 老人は踏ん反り返った。

「は？何の事だ？」

「ちょいと次元の狭間を調整しとる時にトラックの前で弾けてしもうてな。運転手がパニックになってお主と衝突してしまったんじゃ。それでお主を殺してしもうた。すまん。テヘ。」

 頬を染め恥ずかしそうにする。

‥‥。

「ってアホかぁ！！！何してくれてんだ馬鹿野郎ぉ！！俺の人生を返せぇ！！」

 俺は老人の胸ぐらを掴みグイグイした。

ガコン！！「ぐえ！！」

 またもや老人の杖が俺の頭に炸裂する。

「はなさんが馬鹿者！揺さぶり症候群になるじゃろが！」

「テメェは謝る気があるのか？」

「なってもうたもんをクドクド言うでない。お主はチンチン付いておろうが！それにワシに殺されたんじゃ。悔いはなかろう。」

 は？何で俺が此奴にこんな事言われなきゃならんのだ？

 ‥

「っつか何様だぁ！！？」

「神様じゃ！！」

「えぇぇぇ！！！！！？って信じれるかぁ！！」

「今の自分の状況でも？」

 月の浮かぶ雲海上、宙に浮いて喋る俺と老人。

 俺は神なんて信じた事は一切無い。

 だがこの状況。そして先程の老人の一撃の痛覚は確かな物だった。

「どうやら納得したようじゃな。して、これからの事じゃが、お主を元の世界に戻す訳にいかんでな。詫びとして他の神の管轄世界に移動してもらい、そこで新しい人生を歩んでほしい。」

 老人がそう告げると、俺の体は光だす。

「ちよ、ちょっと待て！！こんないきなり！？」

 「さらばじゃ少年よ。大志を抱け！」

 そのまま俺は光に包まれ視界が消えた。