異世界騒動記。「さて、一丁やる気だしますかね‥。」

桂木 鏡夜

文字の大きさ
14 / 15
二章

五話「勝手な奴ら」

しおりを挟む
 目を開くと俺は再び白い空間に戻っていて、俺の前には重蔵爺さんとラルフが立っていた。

「よく頑張ったの。」

 重蔵が髭を触りながら笑顔でそう言うと、ラルフは俺の肩に手を回して俺の頭を撫でた。

「おう。まさか子供とはいえ神獣ザメを倒しちまうたぁ、てぇしたもんだ。あの時はもう死んだと思ったんだかなぁ。」

 アレで子供だったのかよ!?

「っつかアレが試練だったのか?」

 疑問に思った事を投げかけてみると重蔵が答えた。

「うむ。じゃがまさかあの神獣のいる場所に落ちるとは思わなんだ。予定ではトラップを回避した先にもう一つのクリスタルがある場所に行ける予定じゃったのだが、お主はバカがつく程悉く罠にハマるで、予定がくるったわい。」

「悪かったな!バカでよ!」

「じゃがその反面。戦いをさせれば知恵や手に持つ道具、環境を利用し少しでも自分の生にしがみつこうとするお主の健闘は誠、見事であった。これで晴れてお主には魔力が授けられた。」

 俺は手や体を見てみるが特に変わった様子はない。

 それを見たラルフが「ガハハ」と笑う。

「見て分かるもんじゃねえよ。そんな事より早速俺の加護をくれてやる。これで晴れてお前は立派な芸術家だ。世に芸術を広めてくれ。」

 ラルフは俺の額に手の甲を押し付けると、俺の脳に直接色々な情報が流れ込んでくる。

 余りの量に吐き気を催し、嘔吐すると、ラルフはまた笑いだし、それに吊られるように重蔵も笑った。

 「いったいお前達は何が面白いんだよ!?全然面白くないんですけど!!いきなり訳の分からん所に飛ばされて死にかけての繰り返しにいい加減俺も怒るぞ!」

 俺は若干怒り口調で言うと、2人は急に真顔に戻る。

 「な、なんだよ急に?」

 たじろぎながら尋ねた。

「いや。確かに悪かったと、思ってなってのはウソで‥」「ウソかよ!!」

 重蔵に思わず本気で突っ込む俺をラルフが「まぁ、まぁ」と宥めると重蔵がまた話だす。

「そらそろ時間じゃ、お主を元の場所に戻す。」

「これもなかなか急だなオイ!色々聞きたい事があるんだけどね!」

「まぁそれは、おいおいじゃな。」

「勝手だな!」

 突っ込む所が多すぎて、怒る気にもなれんぞ。

「あ、戻す前に忠告しておくが、お主が得たのは魔法を使う魔力を得ただけで魔力量は凡人と変わらん。それを忘れぬ様にな。」

「え?どういう‥」

 俺が言葉を発しようとすると同時に俺は光に包まれた。

 目を開けると、また美しい絵が天井に描かれるテントの中だった。

 まさかと思い、腕元を見ると案の定ルナが裸で俺に寄り添う様寝息を立てていた。

 戻ってきたのか?

 俺はゆっくりと体を起こそうとするとルナがそれに気づく。

「レンジュ。」

 呼びかけられたのでルナに振り返るとルナは涙を零し俺に抱きついてきて、ルナが俺の上に跨る形になる。

「うおっと、な、なんだいきなり?」と慌て口調で尋ねると、いきなりルナの目から涙がポロポロと溢れ出した。

「え?な、なんで泣いてんの?」

「だって、だって死んじゃったかなって思ったもん。いくら神のお告げでもやり過ぎだよねやっぱり。‥けど私、女王だから‥断れなくって。だから‥うぇーん」

 えぇ~!?思わぬ展開なんですけど!?

 っつか何?正直泣きたいのこっちだよね?なんで泣いてんの?

 むしろこうなったら何か許さないとか言いづらいよ?

 セコくない?セコいよね女性の涙!

「私の事、嫌いになっちゃった?」

 泣きながら俺に問うルナの表情はなんとも守ってあげたいと思えてしまう程可愛いかった。

 むぅ~。ずるい。

 俺は迷わず首を横に振り、笑顔を返しルナの頭を撫でた。

「こんな事で嫌いになったりなんかしないよ。心配してくれてありがとう。」

 そう言うとルナの表情は花が咲く様に明るくなり満面の笑みで俺の唇に唇を合わせた。

 そしてその先は言わずもがな‥。


合体。

 





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!

克全
ファンタジー
東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。 アルファポリスオンリー

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...