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二章
五話「勝手な奴ら」
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目を開くと俺は再び白い空間に戻っていて、俺の前には重蔵爺さんとラルフが立っていた。
「よく頑張ったの。」
重蔵が髭を触りながら笑顔でそう言うと、ラルフは俺の肩に手を回して俺の頭を撫でた。
「おう。まさか子供とはいえ神獣ザメを倒しちまうたぁ、てぇしたもんだ。あの時はもう死んだと思ったんだかなぁ。」
アレで子供だったのかよ!?
「っつかアレが試練だったのか?」
疑問に思った事を投げかけてみると重蔵が答えた。
「うむ。じゃがまさかあの神獣のいる場所に落ちるとは思わなんだ。予定ではトラップを回避した先にもう一つのクリスタルがある場所に行ける予定じゃったのだが、お主はバカがつく程悉く罠にハマるで、予定がくるったわい。」
「悪かったな!バカでよ!」
「じゃがその反面。戦いをさせれば知恵や手に持つ道具、環境を利用し少しでも自分の生にしがみつこうとするお主の健闘は誠、見事であった。これで晴れてお主には魔力が授けられた。」
俺は手や体を見てみるが特に変わった様子はない。
それを見たラルフが「ガハハ」と笑う。
「見て分かるもんじゃねえよ。そんな事より早速俺の加護をくれてやる。これで晴れてお前は立派な芸術家だ。世に芸術を広めてくれ。」
ラルフは俺の額に手の甲を押し付けると、俺の脳に直接色々な情報が流れ込んでくる。
余りの量に吐き気を催し、嘔吐すると、ラルフはまた笑いだし、それに吊られるように重蔵も笑った。
「いったいお前達は何が面白いんだよ!?全然面白くないんですけど!!いきなり訳の分からん所に飛ばされて死にかけての繰り返しにいい加減俺も怒るぞ!」
俺は若干怒り口調で言うと、2人は急に真顔に戻る。
「な、なんだよ急に?」
たじろぎながら尋ねた。
「いや。確かに悪かったと、思ってなってのはウソで‥」「ウソかよ!!」
重蔵に思わず本気で突っ込む俺をラルフが「まぁ、まぁ」と宥めると重蔵がまた話だす。
「そらそろ時間じゃ、お主を元の場所に戻す。」
「これもなかなか急だなオイ!色々聞きたい事があるんだけどね!」
「まぁそれは、おいおいじゃな。」
「勝手だな!」
突っ込む所が多すぎて、怒る気にもなれんぞ。
「あ、戻す前に忠告しておくが、お主が得たのは魔法を使う魔力を得ただけで魔力量は凡人と変わらん。それを忘れぬ様にな。」
「え?どういう‥」
俺が言葉を発しようとすると同時に俺は光に包まれた。
目を開けると、また美しい絵が天井に描かれるテントの中だった。
まさかと思い、腕元を見ると案の定ルナが裸で俺に寄り添う様寝息を立てていた。
戻ってきたのか?
俺はゆっくりと体を起こそうとするとルナがそれに気づく。
「レンジュ。」
呼びかけられたのでルナに振り返るとルナは涙を零し俺に抱きついてきて、ルナが俺の上に跨る形になる。
「うおっと、な、なんだいきなり?」と慌て口調で尋ねると、いきなりルナの目から涙がポロポロと溢れ出した。
「え?な、なんで泣いてんの?」
「だって、だって死んじゃったかなって思ったもん。いくら神のお告げでもやり過ぎだよねやっぱり。‥けど私、女王だから‥断れなくって。だから‥うぇーん」
えぇ~!?思わぬ展開なんですけど!?
っつか何?正直泣きたいのこっちだよね?なんで泣いてんの?
むしろこうなったら何か許さないとか言いづらいよ?
セコくない?セコいよね女性の涙!
「私の事、嫌いになっちゃった?」
泣きながら俺に問うルナの表情はなんとも守ってあげたいと思えてしまう程可愛いかった。
むぅ~。ずるい。
俺は迷わず首を横に振り、笑顔を返しルナの頭を撫でた。
「こんな事で嫌いになったりなんかしないよ。心配してくれてありがとう。」
そう言うとルナの表情は花が咲く様に明るくなり満面の笑みで俺の唇に唇を合わせた。
そしてその先は言わずもがな‥。
合体。
「よく頑張ったの。」
重蔵が髭を触りながら笑顔でそう言うと、ラルフは俺の肩に手を回して俺の頭を撫でた。
「おう。まさか子供とはいえ神獣ザメを倒しちまうたぁ、てぇしたもんだ。あの時はもう死んだと思ったんだかなぁ。」
アレで子供だったのかよ!?
「っつかアレが試練だったのか?」
疑問に思った事を投げかけてみると重蔵が答えた。
「うむ。じゃがまさかあの神獣のいる場所に落ちるとは思わなんだ。予定ではトラップを回避した先にもう一つのクリスタルがある場所に行ける予定じゃったのだが、お主はバカがつく程悉く罠にハマるで、予定がくるったわい。」
「悪かったな!バカでよ!」
「じゃがその反面。戦いをさせれば知恵や手に持つ道具、環境を利用し少しでも自分の生にしがみつこうとするお主の健闘は誠、見事であった。これで晴れてお主には魔力が授けられた。」
俺は手や体を見てみるが特に変わった様子はない。
それを見たラルフが「ガハハ」と笑う。
「見て分かるもんじゃねえよ。そんな事より早速俺の加護をくれてやる。これで晴れてお前は立派な芸術家だ。世に芸術を広めてくれ。」
ラルフは俺の額に手の甲を押し付けると、俺の脳に直接色々な情報が流れ込んでくる。
余りの量に吐き気を催し、嘔吐すると、ラルフはまた笑いだし、それに吊られるように重蔵も笑った。
「いったいお前達は何が面白いんだよ!?全然面白くないんですけど!!いきなり訳の分からん所に飛ばされて死にかけての繰り返しにいい加減俺も怒るぞ!」
俺は若干怒り口調で言うと、2人は急に真顔に戻る。
「な、なんだよ急に?」
たじろぎながら尋ねた。
「いや。確かに悪かったと、思ってなってのはウソで‥」「ウソかよ!!」
重蔵に思わず本気で突っ込む俺をラルフが「まぁ、まぁ」と宥めると重蔵がまた話だす。
「そらそろ時間じゃ、お主を元の場所に戻す。」
「これもなかなか急だなオイ!色々聞きたい事があるんだけどね!」
「まぁそれは、おいおいじゃな。」
「勝手だな!」
突っ込む所が多すぎて、怒る気にもなれんぞ。
「あ、戻す前に忠告しておくが、お主が得たのは魔法を使う魔力を得ただけで魔力量は凡人と変わらん。それを忘れぬ様にな。」
「え?どういう‥」
俺が言葉を発しようとすると同時に俺は光に包まれた。
目を開けると、また美しい絵が天井に描かれるテントの中だった。
まさかと思い、腕元を見ると案の定ルナが裸で俺に寄り添う様寝息を立てていた。
戻ってきたのか?
俺はゆっくりと体を起こそうとするとルナがそれに気づく。
「レンジュ。」
呼びかけられたのでルナに振り返るとルナは涙を零し俺に抱きついてきて、ルナが俺の上に跨る形になる。
「うおっと、な、なんだいきなり?」と慌て口調で尋ねると、いきなりルナの目から涙がポロポロと溢れ出した。
「え?な、なんで泣いてんの?」
「だって、だって死んじゃったかなって思ったもん。いくら神のお告げでもやり過ぎだよねやっぱり。‥けど私、女王だから‥断れなくって。だから‥うぇーん」
えぇ~!?思わぬ展開なんですけど!?
っつか何?正直泣きたいのこっちだよね?なんで泣いてんの?
むしろこうなったら何か許さないとか言いづらいよ?
セコくない?セコいよね女性の涙!
「私の事、嫌いになっちゃった?」
泣きながら俺に問うルナの表情はなんとも守ってあげたいと思えてしまう程可愛いかった。
むぅ~。ずるい。
俺は迷わず首を横に振り、笑顔を返しルナの頭を撫でた。
「こんな事で嫌いになったりなんかしないよ。心配してくれてありがとう。」
そう言うとルナの表情は花が咲く様に明るくなり満面の笑みで俺の唇に唇を合わせた。
そしてその先は言わずもがな‥。
合体。
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