本編完結:淫魔の好きな人

加速・D・歩

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・本編完結

22 [亜人協会]のイベント2

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 人魚種族の人がステージに上がると、美声が会場内に響く。歌ってる内容は有名な人魚のお姫様が人間の王子様に恋して~……みたいな、切ないし涙がポロポロと流れる。慌ててハンカチで拭いてると緒方さんや他のお客さんも号泣してた。

「凄い、心に響いたよね」
「人魚種族はみんな歌がうまいからな」
「うんうん、羨ましいな~」

 次に訪れた場所では武人みたいな獣人達が模擬戦みたいなのしてて、会場には猫耳、うさ耳以外の獣人がわんさか居た。

「あのパンダのおっさん強そ」
「狼の人も体出来てるなぁ」

 模擬戦だけど賭け事も出来るみたいで出場者は電光掲示板に出てる。それを観ながら歩いてるとドンと誰かにぶつかった。

「いたたぁ~……ちょっと! どこ見て歩いてるのよノロマッ!!」
「ごめん、大丈夫?」
「ふん! 男なんて激弱なクセしてさ!」

 ぶつかった彼女は俺に吠えてから行ってしまった。

「なにあれ、感じ悪」
「えー、俺は結構好み。可愛かったし」

 さっきぶつかった獣人ってハイエナだよね。顔が犬みたいな? でも猫みたいな、どっちなんだろう。

「そういや、ハイエナって一部の種類がふたなりなんだよな。」
「え、そうなの?」
「そうそう。動物のブチハイエナだろ」
「獣人だから完全にツンデレふたなりって、事……?」

 なんか会話が盛り上がってる。出産もそのちんこかららしい……想像すると痛い、尿管結石のやばいヤツってこと? どっちにしろ想像……あわわ。

 獣人の試合はネズミの獣人が活躍してて話題になったとか。


「あっ!!」
「フミフミどうし……あ。」
「「どうした?」」

 色々と回ってたらフミフミが走り出すからついていくとお化け屋敷が出現した。中からは絶叫が聴こえて……

「フミフミが行くのは良いけど、俺は……怖い」
「俺は好きだけどなぁ」
「冬馬好きなの?! どどうしよう」

 お化け屋敷苦手なんだよね。冬美さんに歓迎するって言われたけど、え、これの事かな。
 他のメンバーも乗り気だったから、冬馬にしがみつきながらお化け屋敷の中に入ってた。


「うう、暗いよ。怖いよ」
「大丈夫、ほらこっちに来な」
「冬馬ドクドク言ってる、もしかして怖い……?」
「あ~うん、まぁ」

「相変わらずイチャついてるなあの2人」
「もう置いていこう!」
「待ってよ~!」

 俺達を置いて先に行く3人。すると姿が見えなくなった途端3人の絶叫が聴こえた──




「うっ、……あれ?」
「気がついたのか! 遥が起きたぞ!」
「ハル! 気絶したって言うからビックリしたぞ!」
「ぐえ、苦しい……! え、き、ぜつ?」

 簡易的なベッドの上にいて俺の他にもヴンヴンうなされてる人達がいた。なんでもお化け屋敷が強すぎて俺みたいになる人が増えたそうだ。

「コンセプトはカオスだったけどめっちゃ面白かったよな!」
「フミ1人元気だな、確かにコンセプト謎だったけど」
「洋風なのか和風なのか分からなかったけどさぁ」

 話に聞くところ有名なオバケ、ゾンビ的なのがわんさか驚かしに来てたみたいで。倒れたせいか全く記憶にない。とりあえず立って出歩いても大丈夫そなので医務室から出ることになった。

「ごめん、迷惑かけて」
「いや、大丈夫。入る前から怖がってたのに無理に参加させてごめんな」
「ううん。でも会いたい人が居たから入ったら会えるかな~って思って」
「会いたい人……?」


 冬馬が申し訳無さそうに謝るから手を振って気にしなくても大丈夫だよ、と言ってると後ろから「ハル~っ!」と声がして抱きしめられた。

「ハル、来てたのね!」
「あ、冬美さん!」
「さっきお化け屋敷に入って気絶しちゃいました……!」
「あらそうなの? 私も脅かす役やってたのよ?」

 入って10分もしない所で……と伝えると冬美さんはかなり後半の方だったらしい。

「えー、っとそちらさんは?」
「ごめんごめん。佐々木ささき冬美ふゆみさんって言ってデュラハン種族なんだ」
「「デュラハン種族……?」」

 冬馬達が首を傾げながらそういう。まぁ、あんまり聞かないからしょうがないよね。って思ったら冬美さんはおもむろに自分の頭を掲げて自己紹介をし始めた。

「皆、こんにちは! デュラハン族の冬美よ。普段は遊園地のお化け役で仕事をしてるわ! フミとハルとは昔からの知り合いなの!」
「「! おお、すげぇ!」」

 驚きはしたものの、頭が外れた冬美さんに興味津々な3人。冬美さんもニコニコしながら説明してる。

「頭と首の間ってどうなってんるですか?」
「ココね。人によって様々だけど仕事中はマナを漂わせて……こんな風にね。仕事以外は閉じてることが多いわ」

 マナを漂わせると人魂? 青白い火の様なモノが首の部分からふよふよと漂ってる。暗がりに見ると怖いらしくて、人魂みたいってことで。普段のオフでは断面はまたマナで閉じちゃってるみたいだった。


 カフェテリアでまた雑談しながら夕方になったのでお開きになった。
 フミフミと遠野さん、尾形さんは同じ方向で帰るって事で俺も冬馬と一緒に帰るために駅で分かれた。

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