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1章 出会い
箱の中身
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「あ…。はいっ、た…」
カチャリ、そんな軽い音がしてすーっとフォークが奥まで入っていった。
「おぉ!兄ちゃん!!やった!!」
ニゲルは奥まで入ったフォークを右に左にひねってみるけれど、それ以上どうにもならない。
「これ、フォークをさしただけで開くのかな?」
試しに箱のふたに手を添え、上に押し上げてみる。
しかし、びくともしない。
今度は力ずくで開けようとする。
「ふんッ…ぐぅぅぅぅぅ!!あ、開かない…!」
はぁはぁと息が上がった。
本当にびくともしない。どうなっているのか。
力を精一杯こめたが、少しもフタは持ち上がらないのだ。
「ねぇねぇ、おにいちゃん!ここ、なんか書いてあるよ?」
突然アーラが箱の横を指差した。
「え?どこ??」
ニゲルがのぞこうとすると、マリウスが先に顔を出して覗き込んだ。
「あ!本当だ……ん?」
「ちょっと、マリウス見えないよ、退いて!」
「うわぁぁ!!」
マリウスの叫び声に何事かとおどろいた。ドシンと尻もちをついて床にへたり込んで、アワアワと何かを喋ろうとしている。慌ててニゲルもアーラが指差していた場所をのぞきこんだ。
「うぁぁ!な、なにこれ!?何!?」
そこにはなんと、次々刻まれていく金色の文字が、あたかも亡霊が今ここにいて、筆を持って字を描き込んでいるかのように、生々しく箱の側面に浮かび上がっていた。
ニゲルは後ずさって箱から離れた。
薄暗がりの中、文字がぼんやり光っている。
アーラだけが、興味津々で字を指でなぞっている。
「兄ちゃん!なんなのこの箱!!」
マリウスはパニックになっていて、ニゲルの後ろに隠れて背中のシャツを掴んだまま、固まっている。そして何が起きても良いようにニゲルを盾にしているようだ。
「こっちにきて!アーラ!文字に触らないで!」
ニゲルはアーラを掴んで自分のそばに引き寄せた。
何が起こるかわからない。危険だ。
アーラとマリウスと密着して、ニゲルは一度台所に戻った。
「ちょっとねぇ、マリウス!!…あれ、なんなの!?」
思わず小声になるニゲルに、マリウスはどもりながら口をなんとか動かした。
「に、ににいちゃん、こ、怖いんだけど僕!この家にお、おぉ、お化けいるの!?字が!字を!書いてる!多分誰か!」
「アーラはこわくないよ!」
もう頭がこんがらがってきた。
オイルランプを手に持ち、おそるおそる箱の方に近づく。
遠目ではまだ字が浮かび上がっているのがわかる。ぼんやり光っているからだ。
「やめようよ…怖いよ!」
マリウスはまたしてもニゲルの背中から、シャツを掴んで後ろに引っ張ってくる。
「でも、なんて書いてあるのか見なきゃ…」
しばしの間悩んでゴクンと唾を飲み込むと、ニゲルは再び寝床にある箱に近づき、文字にランプをかざした。
すると、光っていた文字は金色ではなく、黒いことがわかった。黒い文字が光って金色に見えていたのだ。ランプの明かりに吸い込まれるように光が消えると、ただの黒い文字が現れた。
それも、お母さんから学んだ字だ。目で追うとすぐに読めた。
「…中を出したら、箱は炉に入れて燃やしなさい…3人でよく考えなさい、ね。お母さんより。…え?」
これはお母さんが書いたのか。
ニゲルはハッとして、フォークが突き刺さったままの箱のふたに手をかけた。
「あっ」
フタは、あの苦労は何だったのかというくらい、あっけなく開いた。
と同時に、背中にいたマリウスとアーラが中身を覗きこんできた。
「すごい…」
箱の中。
そこには、溢れんばかりのお金が入っていた。開けた途端に、紙幣が10枚くらいはらりと落ちた。そのくらいパンパンに押し込んであって、まさに山盛り入っていたのだ。
「お母さん…貯金していたんだ…」
「やった!僕たちこれで住むところ探せるかも!?」
マリウスは紙幣を拾って喜んでいる。アーラは文字をじっと見つめていた。
「お母さんのじ?」
アーラがニゲルにたずねる。
「…うん、そうみたいだ」
ニゲルは落ちているお札を一つ掴んで、アーラに見せた。
「お母さん、お金をたくさん残してくれていたんだね。僕たちに…。」
でも、どうして居なくなってしまったのだろう。その疑問が大きくなっていく。そして、この不思議な箱がどんな仕組みかわからなかったが、自分の知っているお母さんが、なぜか知らない人のように感じられた。
「にいちゃん!中身を全部出そうよ」
お札を重ねながらマリウスがニゲルをみた。
「あ、うん。そうだね…箱、燃やしてって書いてあるし…」
ニゲルは戸惑いながらも箱から両手で紙幣を出し始めた。
アーラとマリウスはそれを重ねて紐でいくつかにまとめようと話し合っている。
そして、底にそろそろ到達するんじゃないかという頃、ニゲルの指に何か硬いものが当たった。
「ん?なんだろ?」
お札をかき分けてそれを探すと、茶色い袋に包まれた何かがあるのがすぐにわかった。
「にいちゃん、それ、何?」
マリウスがにじり寄ってきた。
「わかんない。開けてみる…」
袋の口をつかんで持ち上げると、ガチャリと音がする。これといってなんの特徴もない、焦げ茶色の袋だ。
カチャリ、そんな軽い音がしてすーっとフォークが奥まで入っていった。
「おぉ!兄ちゃん!!やった!!」
ニゲルは奥まで入ったフォークを右に左にひねってみるけれど、それ以上どうにもならない。
「これ、フォークをさしただけで開くのかな?」
試しに箱のふたに手を添え、上に押し上げてみる。
しかし、びくともしない。
今度は力ずくで開けようとする。
「ふんッ…ぐぅぅぅぅぅ!!あ、開かない…!」
はぁはぁと息が上がった。
本当にびくともしない。どうなっているのか。
力を精一杯こめたが、少しもフタは持ち上がらないのだ。
「ねぇねぇ、おにいちゃん!ここ、なんか書いてあるよ?」
突然アーラが箱の横を指差した。
「え?どこ??」
ニゲルがのぞこうとすると、マリウスが先に顔を出して覗き込んだ。
「あ!本当だ……ん?」
「ちょっと、マリウス見えないよ、退いて!」
「うわぁぁ!!」
マリウスの叫び声に何事かとおどろいた。ドシンと尻もちをついて床にへたり込んで、アワアワと何かを喋ろうとしている。慌ててニゲルもアーラが指差していた場所をのぞきこんだ。
「うぁぁ!な、なにこれ!?何!?」
そこにはなんと、次々刻まれていく金色の文字が、あたかも亡霊が今ここにいて、筆を持って字を描き込んでいるかのように、生々しく箱の側面に浮かび上がっていた。
ニゲルは後ずさって箱から離れた。
薄暗がりの中、文字がぼんやり光っている。
アーラだけが、興味津々で字を指でなぞっている。
「兄ちゃん!なんなのこの箱!!」
マリウスはパニックになっていて、ニゲルの後ろに隠れて背中のシャツを掴んだまま、固まっている。そして何が起きても良いようにニゲルを盾にしているようだ。
「こっちにきて!アーラ!文字に触らないで!」
ニゲルはアーラを掴んで自分のそばに引き寄せた。
何が起こるかわからない。危険だ。
アーラとマリウスと密着して、ニゲルは一度台所に戻った。
「ちょっとねぇ、マリウス!!…あれ、なんなの!?」
思わず小声になるニゲルに、マリウスはどもりながら口をなんとか動かした。
「に、ににいちゃん、こ、怖いんだけど僕!この家にお、おぉ、お化けいるの!?字が!字を!書いてる!多分誰か!」
「アーラはこわくないよ!」
もう頭がこんがらがってきた。
オイルランプを手に持ち、おそるおそる箱の方に近づく。
遠目ではまだ字が浮かび上がっているのがわかる。ぼんやり光っているからだ。
「やめようよ…怖いよ!」
マリウスはまたしてもニゲルの背中から、シャツを掴んで後ろに引っ張ってくる。
「でも、なんて書いてあるのか見なきゃ…」
しばしの間悩んでゴクンと唾を飲み込むと、ニゲルは再び寝床にある箱に近づき、文字にランプをかざした。
すると、光っていた文字は金色ではなく、黒いことがわかった。黒い文字が光って金色に見えていたのだ。ランプの明かりに吸い込まれるように光が消えると、ただの黒い文字が現れた。
それも、お母さんから学んだ字だ。目で追うとすぐに読めた。
「…中を出したら、箱は炉に入れて燃やしなさい…3人でよく考えなさい、ね。お母さんより。…え?」
これはお母さんが書いたのか。
ニゲルはハッとして、フォークが突き刺さったままの箱のふたに手をかけた。
「あっ」
フタは、あの苦労は何だったのかというくらい、あっけなく開いた。
と同時に、背中にいたマリウスとアーラが中身を覗きこんできた。
「すごい…」
箱の中。
そこには、溢れんばかりのお金が入っていた。開けた途端に、紙幣が10枚くらいはらりと落ちた。そのくらいパンパンに押し込んであって、まさに山盛り入っていたのだ。
「お母さん…貯金していたんだ…」
「やった!僕たちこれで住むところ探せるかも!?」
マリウスは紙幣を拾って喜んでいる。アーラは文字をじっと見つめていた。
「お母さんのじ?」
アーラがニゲルにたずねる。
「…うん、そうみたいだ」
ニゲルは落ちているお札を一つ掴んで、アーラに見せた。
「お母さん、お金をたくさん残してくれていたんだね。僕たちに…。」
でも、どうして居なくなってしまったのだろう。その疑問が大きくなっていく。そして、この不思議な箱がどんな仕組みかわからなかったが、自分の知っているお母さんが、なぜか知らない人のように感じられた。
「にいちゃん!中身を全部出そうよ」
お札を重ねながらマリウスがニゲルをみた。
「あ、うん。そうだね…箱、燃やしてって書いてあるし…」
ニゲルは戸惑いながらも箱から両手で紙幣を出し始めた。
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そして、底にそろそろ到達するんじゃないかという頃、ニゲルの指に何か硬いものが当たった。
「ん?なんだろ?」
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「にいちゃん、それ、何?」
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