ダゥルパイア

ミライ

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深き森の王女

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人も寄り付かない
森の奥深く

近づけばその命は無きものと思えと呼ばれる
森の奥深くには古い小さな屋敷があると言う

昔から怖い吸血鬼が住むと言われる
その屋敷で

吸血鬼の姿を見た者は誰もいない

なぜなら
その姿を一目でも見たならば
その命は無いからだ……


セレニケウス・ブラドー
この屋敷の主で
夜の王ヴァンパイア
多くの者はひれ伏し

その身体に流れる血は
彼女の為にただ静かに

吸われるのを待つのみである……


セレス
「人の横で何言ってるの?」

ナレル
「おはようございます
お嬢様……
お食事の用意が出来ております」

一人で寝るには大きすぎる
ベッドの上で不機嫌そうに
私を睨むこちらのお嬢様が

かの有名な吸血鬼
セレニケウス・ブラドー様でございます


セレス
「何作ってくれたの~?」

ナレル
「はい、本日の朝食は
シェフの気まぐれサラダと
シェフの気まぐれ卵と
シェフの気まぐれ腸詰め
でございます」

セレス
「うんうん、サラダと卵焼きとウィンナーね
最後のだけ変な言い回しだったけど
わかった」

ナレル
「では私は街まで
買い出しに行きますが
何かご入用な物はございますか?」

セレス
「いちご」

ナレル
「かしこまりました」

そして私は
お嬢様の部屋をあとにした


おっと、ご挨拶が遅れました
私はナレルと申します

この屋敷にて最後の使用人
お嬢様の全ての面倒を見させて頂いております

この身は既に亡くなっており

お嬢様の配慮で
こうして魂を留めてさせて頂いております

※お世話を続けていた為、
自然とセレスの魔力が身体に貯まり
まだまだセレスのお世話をしたいと
言う強い信念と
魔力により現世にとどまっている

セレス
「つまり私が何かしたとか
そんなの何も無いって事よ」

ナレル
「おや?お嬢様
いかがなされました?」

セレス
「風呂」

ナレル
「かしこまりました」


そうしてお風呂に向かわれるお嬢様のあとを…

セレス
「来んな!!」

ナレル
「あふん…」

私はお嬢様の衝撃波により
壁に叩きづけられました

基本肉体を持たない私に
攻撃できるのは
お嬢様だけなのです

セレス
「ほんとお前ナレーターみたいだな
1人でぶつぶつと……」

ナレル
「はい、お嬢様に頂いたこの名前は
私の宝にてございます」

お嬢様いわく
ナレーション、ナレーターと言う物があるらしく
肉体を持たず
喋る私は、それに似ているのだとか

ああ、麗しいお嬢様
感謝しても感謝しきれません!

セレス
「ナレル……」

ナレル
「はい、何でございましょう?」

セレス
「早く行け!!」

ナレル
「あはん…」

私は窓から外に殴り飛ばされました
肉体を持たない私に物理攻撃出来るのも
お嬢様だけなのです

ああ素晴らしいお嬢様
人間共はお嬢様にひれ伏すべきなのです!
※彼も元人間です
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