嘘つきは聖下のはじまり

オウラ

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国王陛下の嫁探し

そんなの決まって……………あ

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 リューゲリーナ教が主催の花嫁修行が始まって、早2ヶ月。まぁ、花嫁修行と言っても相手は既にそう言った教育を受けて来た令嬢達。故に、特にすることも無く、平和な日々が続いていると思われた。

「聖下、お助けください。ルーカス陛下は、令嬢達と会うどころか、未だに後宮に足すら踏み入れていないのです」
「はい?」
「何人かの令嬢が、陛下をお茶会に誘うなどの事をしたようですが全て断っているとの報告や、家臣達が後宮に行く事を進めても一向に向かわないとの報告を受けております。我々にはもう、どうする事も出来ませぬ」

 ………平和な日々が、続いているかと思ったが、どうやらそうでもなかったらしい。はぁと思わずため息が出てしまう。
 せっかく後宮に令嬢達を集めたと言うのにも関わらず、その気のないルーカスにどうやら王宮の家臣達は頭を悩ませているようだ。わざわざそんなことを伝えにきたユーリ宰相の顔はどこか疲れが溜まっている。……一体何があったのか。あまり想像はしたくないな。

「聖下、貴方様だけが頼りなのです」

 いや、そんなことを言われても困ります。と言うか、それ、面倒ごとを私に押し付けているだけなんじゃ

「私では、力不足ですよ」
「そんなことはありません。今回のこの計画だって我々が何度同じようなことを言っても、聞く耳を持たなかった陛下が、聖下の案だけは呑んだのです。もうこの際、王妃は選ばなくてもいいから、取り敢えずと話しても全く聞こうとしなかった陛下がですよ。」

 なにそれ、初耳なんですけれど。と言うか、あれ?それだとなんか可笑しくない?

「まったく、せめて、形だけでも取っていただけないと、自分の首を絞める羽目になると言っても聞かなかったと言うのに……聖下に言われたら、素直に従って、何を考えているのやら。だいたい、そこは違うでしょう」

 そして、なにやらブツブツとつぶやき始めるユーリ宰相。うん、もしかしてこの話を聞くに、ユーリ宰相って、ルーカスがさっさと嫁を娶らなくてもいいって考えてる?なんか、話違うくない?この前と。だって、あの時はさっさと嫁を娶らせろって話だったよね?どういうことだろうか。

「あの、ユーリ宰相?」
「え、あぁ。はい、なんでしょうか。聖下」
「なんだか、今の宰相の話を聞く限りですと今すぐ王妃を娶って欲しいって訳じゃないように聞こえるんですが」
「いえ、欲を言えば、今すぐ王妃を娶って欲しいですよ。ですが、それが無理そうですので。」

 うん、やっぱりどうやらこの前と話しが違う。一体全体、どう言うことだ?


「ユーリ宰相?なんだか、その、この前と話しが違うような気がするのですが」
「それは、陛下を焚きつける為、と言いましょうか。聖下が陛下に話せば、現状も変わると思ったのです。はぁ、さっさと告白して、婚約すればいいものを。はぁ、話を聞く方のみにもなって欲しい」

 なんだろうか、この疲労感。つまりは、騙されていたと言うことなのだろうか。そう言うことなら、そう言うことでユーリ宰相も早く言ってくれればいいのに、教えてくれないなんて意地が悪い。と言うか、なんだ、もしかして、ユーリ宰相ってルーカスの好きな人知ってるのか?え、なにそれ、気になる。

「宰相、宰相はもしかして、その陛下の想い人をご存知なのですか?私も陛下に協力したいと思ってるのですが、教えていただけなくて」
「聖下、なにをおっしゃってるんですか。そんなの決まって……………あ」

 "………あ"って、なに、今の"あ"って何なの。

「おっと、申し訳ございません、聖下。私、用事を思い出しましたので、これにて失礼いたします。」

 そう言い残すと、なぜか疾風の如くこの場をユーリ宰相は去っていった。え、なにこれ。待ってよ、宰相。いいところで去らないで。戻ってきてくれよ。
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