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さらば愛しき嫁よ
しおりを挟む私はオタクだ。某ロボットものから、美少女アニメまで、大好きだ。そして今一番はまっているのが、巷で話題の美少女アニメ。カワユイ女の子たちが、その可愛さとは真逆に魔物をズバズバと倒して行く魔法少女系のアニメ。なかなかスプラッタ、結構ギャップがやばいがなんというかそこがいい。かわゆい女の子が返り血を浴びる。はじめ見た時は製作陣に対し狂気を感じたが、今ではすっかりハマってしまった。いい仕事しやがる。
そして、今日はその放送日。2クールに入りますますその活躍に期待ができる。果たしてどんな結末になっていくのか、今からワクワクドキドキなのである。え、放送枠?もちろん深夜。そして明日は平日。でも、見るに決まってるじゃん。リアタイに見てこそだろ!!!??
少し悲し目の曲調と共にアニメのエンディングが流れる。何が起きたのか分からなかった。握りしめるスマホの画面は荒れに荒れている。どうやら画面の向こうの同志たちも、何が起こったのかわからない。否、現実を受け入れたくないのだろう。この30分間で起きたこと、それは絶対に起こってはいけないこと。
………死んでしまった、死んでしまったのだ。主人公が!!!愛すべき主人公が、我が嫁が、死んでしまったのだ!! しかも、ただ死んだのではない。スプラッタ、味方に裏切られてスプラッタである。まだまだ2クール目は始まったばかりなのにだ。なんと言う展開、今後どうすんだよ、製作陣!もう死にたい。私の嫁が!嫁がぁぁぁぁぁぁ!!
そして、あれから一睡も出来ず世が明けた。珍しく朝早くから、起きている私に翔真が驚き、心配されたが、それどころではなかった。もう、生きていけないそんな心境。
今日ぐらいは休みたかったが、同志・立花くんとこの気持ちを分け合いたい。それにリアタイ時の立花くんは私以上に荒れていた。私の様に、私以上に自暴自棄になってないか心配なのだ。
なんとか、ヨタヨタの体を引きずりながら、学校へ向かう。
はっきり言って、やる気がない。いや、いつもやる気ないけど、今日はそれ以上。
そして、それは多分立花くんも同じだった。学校につき、目があった瞬間、互いに感じ取る負のオーラ。にしても、立花くん、うっすら目の下には隈があってひどい表情だよ。せっかくのイケメンさんなのに。
まったく、我らをこんな風にさせるなんて、ほんと製作陣許すまじき。あぁ、一体私達はこの悲しみにどう向き合えばいいのだろうか。
「死んだ」
「死んだね」
放課後、立花くんと机を向かい合わせての話し合い。喜びは倍に、悲しみは半分にってよく言うけれど、普通に悲しい。同士が悲しんでいると余計悲しい。悲しいね。
嫁が死んだ悲しみを、そんな風に語り合えば語り合うほど、悲しくなって来る。しかし、それでも語れる相手がいるっていい事だなぁ。
立花くんが友達になる前は、誰にもわかってもらえなかったこの気持ち。悲しみは2倍だけど、それと同じくらい、いやそれ以上に語れる喜びがあるから……いいよね。悲しいけれど。
ふと、窓の外をみれば既に薄暗くなっていた。いけねぇ、悲しみを語り過ぎた。しかし、語ったおかげが、少し心は晴れやかに、なった様な気もする……嘘、やっぱ、なってない。
「お前ら、こんな時間まで何してんだ………と、お?立花と桃月じゃないか。珍しいな、こんな時間まで、桃月がいるなんて、どうしたんだ。しかも、そんな葬式みたいな顔をして」
ガラリと教室の扉が開いたかと思えば、担任が、そこにいた。見回りだろうか、時計をみれば、そろそろ最終下校時刻を過ぎている。
………にしても、葬式みたいか。いや、みたいではなく、これは葬式だ。愛するものをなくしたのだ。うぅ、思い出せば思い出すほど悲しい。
「思えば、今日の桃月は可笑しいぞ。いつもは授業が始まった途端寝るのに、それがなかった。それどころか、板書を取っていたな。何かあったのか?」
何かあったなんて、あるに決まってるだろ!?
「立花も元気がないようだし。本当にどうしたんだ2人とも。先生が相談によってやろうか?」
瞬間ニカッと笑う担任は、天使というか神に見えた。
「先生!!!」
「先生!!」
「お?どうした?」
「私の嫁が」
「僕の嫁が」
「「死んだんです!!!」」
はぁ?といった感じの先生の顔。私は一生忘れない。くっ!!なんだよ!親身になってくれたと思ったのに!!
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