転生少女は怠惰した生活の夢を見るか?

オウラ

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隣の席の同志くん

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 大好きな休日が終わり、大嫌いな月曜日になってしまった。昨日は、翔真に付き合わされて散々だった。未だにその疲れは癒えない。しかも、いつものように、叩き起こされた為、目覚めは最悪。まあ、翔真が去ったあと、ギリギリまで二度寝をしていたが、いつまでも寝ているわけには行かない。学校が、1日が始まるのだ。なんとか、重たい体を起こし、私はやる気のない体に鞭を打って、家を出た。














 学校に着けば、案の定、HRが既に始まりかけている。でも、心配ない、何故なら私は常に遅れているから。これはいつものことなのだ。

「今日もギリギリだな、桃月。シャキッとしろ」

 教室を入れば必ず言われる一言。そしてうむ、それは無理な願いだ。


「ガッコーに来たことを褒めてください、先生。驚くべきことに、私は小学校の時からこれまで一度も休んだことがないのですよ。」
「いつも、ギリギリだがな。あと、バカは風邪を引かないっていうしな。………流石、桃月だ」

 バカは風邪をひかない。なんだ、それは、つまり私が馬鹿だから、風邪をひかなかったから皆勤賞を取ったんだろ?的な意味か!? むきーー!!これでも成績は優秀なんだぞ!この前の全国模試なんて、153位だったんだぞ!え、微妙?何を言う。全国の高校2年生の中で153位なんだぞ!?つまり、私はとっても優秀なんだぞ!!






「まぁ、そう怒るな。今日もしっかりと来た事は褒めてやるよ。その調子で、寝ないで頑張れよ」

 ポンと出席簿で私の頭を叩き、そのまま担任は教室を後にしてしまった。っく!あの教師め!出席簿は意外と硬いんだぞ!それをわかっているのか!











「おはよう、桃月さん」

 朝から、屈辱的な対応を受け若干不機嫌気味にドスンと自分の席に着けば、隣の席の立花くんが優しく微笑みながら挨拶をしてくれた。

「おはよう、立花くん」

 立花くん、立花 健斗くん。彼、優しき隣人、立花健斗くんは、私の数少ない友人であり、いつも授業中ボーとしてたり寝ている私を起こしてくれたり(起きないけど)ノートを写させてくれたり、甘やかしてくれたりするとっても心が優しく、広いお方だ。

 おんなじように世話を焼いてくれるオカンこと翔真とは、似ているようで似ていない。翔真が鞭ならば、立花くんは飴。私が学校でダメダメなのは立花くんのせいだろう。ありがとう立花くん!!そのままの君でいてくれ。




「なんとなく嬉しくない感謝をされている気分」

 あはははと笑い合いながら立花くんと話すのはとても楽しい限りである。
 ぶっちゃけ行って彼と出会った当時は、ここまで仲良くなるとは思わなかった。でも、仲良くなれてよかったと思う。立花くんと仲良くなった理由、それはひとえに彼が私の同志だからだ。

 私は前世からオタクだった。アニメを見るのが好きだった。某ロボットものから、美少女アニメまで、とにかくアニメが好きだったのだ。そしてそれは今世でも変わらない。素晴らしきアニメ等を私は今も昔も愛している。だが、どうだろう。残念なことに、私の周りにはそこまでアニメ好きはいないのだ。見るには見るが、熱狂的ではない。幼い頃からよく私の隣で、見ている翔真でさえだ。まったくなぜ、良さがわからないのか。




 はじめは、べつにそれでもよかった。私は1人で満足していた。でも時が経つにつれ、それでは満足できなくなってしまったのだ。あぁ、分かち合いたいこの気持ち。胸から溢れんばかりのパッションを、語りたい。が語れない。常々そんな事を考えていた、そして、そんな時に出会ったのが、立花くんである。

 去年の秋頃、翔真には内緒で行った大人気アニメのイベント。なんとか手にしたチケットを手に私は、ウッキウキ、ドッキドキの気持ちで会場に向かった。例えインドア派でも、無気力でも、好きな物のためなら頑張れるのだ。その情熱を少しでも私生活に活かせ?あー無理無理。



 そして、その会場でたまたま出会った立花くん。

「あ……」
「……ども」

 と目があった時はなんとも気まずかった。知り合いが誰もいない会場で、顔見知りに会うってなんとも言えない気分。しかもこっちは、いつもの数百倍高いテンション。あー、気まずい、しかも隣の席かよ!!とはじめは思った。しかし、なんと言う事でしょう。イベント開始10分後、私達はすぐに打ち解けたのだ。まさか、ここまで話しが合うとは思わなかった。やっとのこと、語り合える仲間を見つけたのだ。そして、それはどうやら彼も、同じで、長く熱く語り合う相手を探していた模様。つまり運命!我らは運命の友。魂の友ソウルメイト!なのだ。






「あ、そうそう。桃月さん、今度あのアニメ映画化するから、見に行かない?」

 立花くんが言っているあのアニメとは今大人気の少年漫画を原作としたアニメ。若い子を中心に、とても人気のアニメだ。

「行く!!」

 行くに決まっている。というか行こうと思ってたのだ。ちょっと1人で行くのはなーと思っていたが、立花くんと行くのなら安心である。

「まぁ、もう直ぐ期末テストだから、テストがあけた後に行こうか」
「うん!!」

 テストは嫌だが、テストが終わればアニメ映画。嫌なことの先に楽しみがあるのは、頑張れる。しかも、夏休みも直ぐそこだ。あぁ、本当に楽しみだなぁ。




「……えへへへへ。本当に立花くんと会えてよかったよ」
「桃月さんって天然たらしだよねぇー」



 ニコニコと笑いあえば、今日もだるい1日が始まる。
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