4 / 22
隣の席の同志くん
しおりを挟む大好きな休日が終わり、大嫌いな月曜日になってしまった。昨日は、翔真に付き合わされて散々だった。未だにその疲れは癒えない。しかも、いつものように、叩き起こされた為、目覚めは最悪。まあ、翔真が去ったあと、ギリギリまで二度寝をしていたが、いつまでも寝ているわけには行かない。学校が、1日が始まるのだ。なんとか、重たい体を起こし、私はやる気のない体に鞭を打って、家を出た。
学校に着けば、案の定、HRが既に始まりかけている。でも、心配ない、何故なら私は常に遅れているから。これはいつものことなのだ。
「今日もギリギリだな、桃月。シャキッとしろ」
教室を入れば必ず言われる一言。そしてうむ、それは無理な願いだ。
「ガッコーに来たことを褒めてください、先生。驚くべきことに、私は小学校の時からこれまで一度も休んだことがないのですよ。」
「いつも、ギリギリだがな。あと、バカは風邪を引かないっていうしな。………流石、桃月だ」
バカは風邪をひかない。なんだ、それは、つまり私が馬鹿だから、風邪をひかなかったから皆勤賞を取ったんだろ?的な意味か!? むきーー!!これでも成績は優秀なんだぞ!この前の全国模試なんて、153位だったんだぞ!え、微妙?何を言う。全国の高校2年生の中で153位なんだぞ!?つまり、私はとっても優秀なんだぞ!!
「まぁ、そう怒るな。今日もしっかりと来た事は褒めてやるよ。その調子で、寝ないで頑張れよ」
ポンと出席簿で私の頭を叩き、そのまま担任は教室を後にしてしまった。っく!あの教師め!出席簿は意外と硬いんだぞ!それをわかっているのか!
「おはよう、桃月さん」
朝から、屈辱的な対応を受け若干不機嫌気味にドスンと自分の席に着けば、隣の席の立花くんが優しく微笑みながら挨拶をしてくれた。
「おはよう、立花くん」
立花くん、立花 健斗くん。彼、優しき隣人、立花健斗くんは、私の数少ない友人であり、いつも授業中ボーとしてたり寝ている私を起こしてくれたり(起きないけど)ノートを写させてくれたり、甘やかしてくれたりするとっても心が優しく、広いお方だ。
おんなじように世話を焼いてくれるオカンこと翔真とは、似ているようで似ていない。翔真が鞭ならば、立花くんは飴。私が学校でダメダメなのは立花くんのせいだろう。ありがとう立花くん!!そのままの君でいてくれ。
「なんとなく嬉しくない感謝をされている気分」
あはははと笑い合いながら立花くんと話すのはとても楽しい限りである。
ぶっちゃけ行って彼と出会った当時は、ここまで仲良くなるとは思わなかった。でも、仲良くなれてよかったと思う。立花くんと仲良くなった理由、それはひとえに彼が私の同志だからだ。
私は前世からオタクだった。アニメを見るのが好きだった。某ロボットものから、美少女アニメまで、とにかくアニメが好きだったのだ。そしてそれは今世でも変わらない。素晴らしきアニメ等を私は今も昔も愛している。だが、どうだろう。残念なことに、私の周りにはそこまでアニメ好きはいないのだ。見るには見るが、熱狂的ではない。幼い頃からよく私の隣で、見ている翔真でさえだ。まったくなぜ、良さがわからないのか。
はじめは、べつにそれでもよかった。私は1人で満足していた。でも時が経つにつれ、それでは満足できなくなってしまったのだ。あぁ、分かち合いたいこの気持ち。胸から溢れんばかりのパッションを、語りたい。が語れない。常々そんな事を考えていた、そして、そんな時に出会ったのが、立花くんである。
去年の秋頃、翔真には内緒で行った大人気アニメのイベント。なんとか手にしたチケットを手に私は、ウッキウキ、ドッキドキの気持ちで会場に向かった。例えインドア派でも、無気力でも、好きな物のためなら頑張れるのだ。その情熱を少しでも私生活に活かせ?あー無理無理。
そして、その会場でたまたま出会った立花くん。
「あ……」
「……ども」
と目があった時はなんとも気まずかった。知り合いが誰もいない会場で、顔見知りに会うってなんとも言えない気分。しかもこっちは、いつもの数百倍高いテンション。あー、気まずい、しかも隣の席かよ!!とはじめは思った。しかし、なんと言う事でしょう。イベント開始10分後、私達はすぐに打ち解けたのだ。まさか、ここまで話しが合うとは思わなかった。やっとのこと、語り合える仲間を見つけたのだ。そして、それはどうやら彼も、同じで、長く熱く語り合う相手を探していた模様。つまり運命!我らは運命の友。魂の友!なのだ。
「あ、そうそう。桃月さん、今度あのアニメ映画化するから、見に行かない?」
立花くんが言っているあのアニメとは今大人気の少年漫画を原作としたアニメ。若い子を中心に、とても人気のアニメだ。
「行く!!」
行くに決まっている。というか行こうと思ってたのだ。ちょっと1人で行くのはなーと思っていたが、立花くんと行くのなら安心である。
「まぁ、もう直ぐ期末テストだから、テストがあけた後に行こうか」
「うん!!」
テストは嫌だが、テストが終わればアニメ映画。嫌なことの先に楽しみがあるのは、頑張れる。しかも、夏休みも直ぐそこだ。あぁ、本当に楽しみだなぁ。
「……えへへへへ。本当に立花くんと会えてよかったよ」
「桃月さんって天然たらしだよねぇー」
ニコニコと笑いあえば、今日もだるい1日が始まる。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
転生したら4人のヤンデレ彼氏に溺愛される日々が待っていた。
aika
恋愛
主人公まゆは冴えないOL。
ある日ちょっとした事故で命を落とし転生したら・・・
4人のイケメン俳優たちと同棲するという神展開が待っていた。
それぞれタイプの違うイケメンたちに囲まれながら、
生活することになったまゆだが、彼らはまゆを溺愛するあまり
どんどんヤンデレ男になっていき・・・・
ヤンデレ、溺愛、執着、取り合い・・・♡
何でもありのドタバタ恋愛逆ハーレムコメディです。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヒロインだと言われましたが、人違いです!
みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。
って、ベタすぎなので勘弁してください。
しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。
私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。
悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました
神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。
5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。
お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。
その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。
でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。
すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……?
悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。
※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
※少し設定が緩いところがあるかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる