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それでも、メールは送ってる
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前世の私は、幸せとは言いがたい人生を送ってきた。物心ついた頃には、両親は死んでいたし、引き取られた先の親戚には散々いじめられた。奨学金と寝る間を惜しんで貯めたアルバイトのお金で大学を出たものの、就職先はいわゆるブラック企業。心身を削ったような生活は、確実に私の寿命をすり減らしていった。いや、まぁ、それが、死因ってわけじゃないけれど。……ん?いや、ちょっとまって、私って何で死んだんだっけ。いつ、死んだの?大学をでて、働いて、といった記憶はあるけど、そこから先がない。つまり、年老いて死んだわけじゃないよね?……かといって、過労死はあり得ない。だって、そこまでになる前に仕事は辞めたから。中々退職届が受理されなかったり、嫌みを言われたり、嫌がらせを受けたりと大変だったけど、それでもあの人のおかげで仕事を辞めることができた。あぁ、思えば、あのときが一番幸せだったな。あの人と一緒にいたときが………あれ?まって、あの人って誰だ。
ちゃんと、全部覚えていると思ったのに、なんか結構忘れてること多くない?……まぁ、死因なんて覚えていない方がいいし、忘れたって事は、対した事なかったのだろう。
……そもそも、なんで今更前世の事なんて思い出しているんだろうか。過去の事なんて、しかも前世の事なんて、もう意味のないものなのに……
「聞いてない」
翔馬の真剣な表情に驚いて思わず、たこさんウインナーをぽろりと落とす。
今日は、待ちに待ってないけどとうとうやって来てしまった文化祭1日目。我々のクラスの出し物が行われる日。流石に、今日は遅刻できないし、そもそも遅刻どころか早めに行かないと思って、珍しく早起き(こんな時間に初めて起きた。太陽って東から上るんだね)をして、お母さんが作ってくれた朝食に舌鼓していたというのに、いきなりなんだ。
「聞いてないって、何のこと。」
果たして、私は何か翔馬に話さなくてはならないことあったけ?……いや、特になかったよね?と思いながら皿の上に落ちてしまったたこさんウインナーを再び箸でつまみ口に運ぶ。あぁ、美味しい。流石お母さん。たこさんウインナー1つをとってもこんなに美味しく作ってくれるなんて。うん、ママすき。
「何のこと?じゃないだろ!!今日、文化祭らしいな。奏の高校は」
「え、あぁ、うん。なんだ、そんなことかぁ」
真剣なまなざしだったから、なんかもっとこう重要そうな案件だと思ったけど、たいしたことなかったわ。
「なんだ!!じゃない。なんで、教えてくれなかったんだ。」
え、むしろ教える理由なんてある?たかが、文化祭だよ。しかも公立校の。翔馬さんところみたいに、セレブ校じゃないんですよ、こちとら。一応、公立では頑張っている方だけど、なにぶんそちら様と比べると金がない。故に、君にとっては、物足りない文化祭になるんじゃないかな。
「それに!聞いたぞ。奏、お前、劇に出るらしいじゃないか」
「……っ!っゴッホ」
ご飯が気道に入りそうになる。え、え、お、お前、どこからその情報を!恥ずかしくて、お母さんにも言ってないのに
「な、なんで、知ってるの。翔馬」
「立花くんに、聞いた」
「は、はい?」
「しかも、ご丁寧に写真付きで返信が来たよ」
そういって、スマホの画面をこちらに向ける翔馬。確かに、そこには、文化祭の日程日、私たちの劇の時間帯、さらには、ご丁寧に衣装合わせしたときの写真まで。わー、いつの間にといった感じ。
てか、驚きなのが、二人が連絡を取り合っているということだ。
「い、いつの間にそんなメル友になっていたんだ。」
この前、初めて顔を合わせたときはもの凄く中が悪そうだったのに。何が、あったんだ。
「断じて違う。メル友じゃない。……奴の動向を探るために、連絡を交換したんだ」
立花君の動向を探るため?
「それに、お前が迷惑をかけていないかとか、そんな連絡を入れるためだな」
……あ、なるほど。際ですか。
「あー、糞。思い出してもムカつく。俺の知らない学校生活を知ってるってだけでも我慢ならないのに、逆に俺の知っている事を話しても特に何も反応しないあの余裕。思い出しただけで、腸が煮えくりかえる。しかも、悪い人間じゃない、むしろいい奴。思え返せば、欠点という欠点も見つからない。」
なにやら、ぶつぶつと呟く翔馬。一体どうした、翔馬。
「まぁ、いい。取りあえず、今日の文化祭楽しみにしているからな。」
「え、結局来るの…」
「なんだ、来て欲しくない理由でもあるのか?」
「い、いや、そう言う訳ではないけれど」
強いて言えば、翔馬はいい意味で目立つから嫌なんだよな。
「まぁ、例え嫌でもお前に、拒否権はない。それに、おばさんにもビデオの録画頼まれているからな。」
そういって、どこからともなくビデオカメラを取り出す翔馬。……それ、私知ってる。最新の超高いビデオカメラですやん。
「万全の状態で、お前の晴れ姿をとってやるよ。」
……え、なにその、保護者が子供の発表会を撮影するみたいなノリ。お前は、私のオカンかよ。
ちゃんと、全部覚えていると思ったのに、なんか結構忘れてること多くない?……まぁ、死因なんて覚えていない方がいいし、忘れたって事は、対した事なかったのだろう。
……そもそも、なんで今更前世の事なんて思い出しているんだろうか。過去の事なんて、しかも前世の事なんて、もう意味のないものなのに……
「聞いてない」
翔馬の真剣な表情に驚いて思わず、たこさんウインナーをぽろりと落とす。
今日は、待ちに待ってないけどとうとうやって来てしまった文化祭1日目。我々のクラスの出し物が行われる日。流石に、今日は遅刻できないし、そもそも遅刻どころか早めに行かないと思って、珍しく早起き(こんな時間に初めて起きた。太陽って東から上るんだね)をして、お母さんが作ってくれた朝食に舌鼓していたというのに、いきなりなんだ。
「聞いてないって、何のこと。」
果たして、私は何か翔馬に話さなくてはならないことあったけ?……いや、特になかったよね?と思いながら皿の上に落ちてしまったたこさんウインナーを再び箸でつまみ口に運ぶ。あぁ、美味しい。流石お母さん。たこさんウインナー1つをとってもこんなに美味しく作ってくれるなんて。うん、ママすき。
「何のこと?じゃないだろ!!今日、文化祭らしいな。奏の高校は」
「え、あぁ、うん。なんだ、そんなことかぁ」
真剣なまなざしだったから、なんかもっとこう重要そうな案件だと思ったけど、たいしたことなかったわ。
「なんだ!!じゃない。なんで、教えてくれなかったんだ。」
え、むしろ教える理由なんてある?たかが、文化祭だよ。しかも公立校の。翔馬さんところみたいに、セレブ校じゃないんですよ、こちとら。一応、公立では頑張っている方だけど、なにぶんそちら様と比べると金がない。故に、君にとっては、物足りない文化祭になるんじゃないかな。
「それに!聞いたぞ。奏、お前、劇に出るらしいじゃないか」
「……っ!っゴッホ」
ご飯が気道に入りそうになる。え、え、お、お前、どこからその情報を!恥ずかしくて、お母さんにも言ってないのに
「な、なんで、知ってるの。翔馬」
「立花くんに、聞いた」
「は、はい?」
「しかも、ご丁寧に写真付きで返信が来たよ」
そういって、スマホの画面をこちらに向ける翔馬。確かに、そこには、文化祭の日程日、私たちの劇の時間帯、さらには、ご丁寧に衣装合わせしたときの写真まで。わー、いつの間にといった感じ。
てか、驚きなのが、二人が連絡を取り合っているということだ。
「い、いつの間にそんなメル友になっていたんだ。」
この前、初めて顔を合わせたときはもの凄く中が悪そうだったのに。何が、あったんだ。
「断じて違う。メル友じゃない。……奴の動向を探るために、連絡を交換したんだ」
立花君の動向を探るため?
「それに、お前が迷惑をかけていないかとか、そんな連絡を入れるためだな」
……あ、なるほど。際ですか。
「あー、糞。思い出してもムカつく。俺の知らない学校生活を知ってるってだけでも我慢ならないのに、逆に俺の知っている事を話しても特に何も反応しないあの余裕。思い出しただけで、腸が煮えくりかえる。しかも、悪い人間じゃない、むしろいい奴。思え返せば、欠点という欠点も見つからない。」
なにやら、ぶつぶつと呟く翔馬。一体どうした、翔馬。
「まぁ、いい。取りあえず、今日の文化祭楽しみにしているからな。」
「え、結局来るの…」
「なんだ、来て欲しくない理由でもあるのか?」
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「まぁ、例え嫌でもお前に、拒否権はない。それに、おばさんにもビデオの録画頼まれているからな。」
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