22 / 36
第五話「祈りは現実の否定なのか?」
第五話「祈りは現実の否定なのか?」1
しおりを挟む
今日もまた夢の中にいる。
濃霧が晴れて、広場にいることを知る。
昨日こなたとかなたに会った広場だ。
夢の中での時間経過なんてあやふやなものだと思うが、もはや起きているリアルの時間の何割かに近い時間を夢の中で過ごしているような気がする。
ふわり、と白い影が降りてくる。
そのそばには、着物を着た祈が立っていて、これまで通りこちらを見て微笑んでいた。
「また会ったね」
リアルよりも夢の方が祈と会話している気がする。
相変わらず裁定者、燐は日傘を差したまま無言でこちらを見ている。いつも頭に乗せているカエルは今はいない。
ただ今日はその二人だけではなかった。
「かなた、さん」
「うん……」
燐の横にはかなたが昨日と同じ服装で立っていた。今のかなたはメガネをしていないから、髪型以外はこなたそっくりに見える。
「どう、して」
どうしてもこうしても、夢の中だからどうでもいいとはわかってはいるが、聞かずにはいられなかった。
「こんなところまで来ちゃった」
かなたは弱々しく、苦笑する。
「こんなところ?」
「夢の中、に、来ちゃった」
「ここはどこなの?」
「ここは、夢の世界。みんなが住んでいる夢の世界だよ」
かなたはそう言った。
ゲームを続けるとどうなのか。
こなたは身体が侵されてしまうと言った。
「私は、もう戻れないかもしれない」
霧がかなたを包むかのように、彼女の姿が霞む。
彼女の言葉に答えたのは祈だ。
「大丈夫、あなたはまだ時間がある。でも、もうすぐ」
「そう、そうなの、私はまだなの」
少し安心したかのような顔をかなたがする。
時間とは何なのか。
「ねえ、お願いがあるの」
彩花に向かい直したかなたがじっと見る。。
「こなちゃんを、助けてあげて」
「助ける?」
「こなちゃんはとても弱いから、頑張っちゃうの」
こなたが助けようとしたのは、かなたではないのか。
かなたのために、ゲームを勝ち続けようとしていた。
「こなちゃんの友達になってあげて」
「あれ、かなた、さん?」
彩花が思考に時間を取られた一瞬、かなたは広場から姿を消していた。
「まだ、彼女はここまでしかいけない」
祈が残念そうに呟いた。
「でも都合がいいかも」
祈はちらりと白い裁定者の少女を見る。
彩花も視線を移すが、少女は何も答えなかった。
最後に祈が言う。
「私も、夢で待ってる」
濃霧が晴れて、広場にいることを知る。
昨日こなたとかなたに会った広場だ。
夢の中での時間経過なんてあやふやなものだと思うが、もはや起きているリアルの時間の何割かに近い時間を夢の中で過ごしているような気がする。
ふわり、と白い影が降りてくる。
そのそばには、着物を着た祈が立っていて、これまで通りこちらを見て微笑んでいた。
「また会ったね」
リアルよりも夢の方が祈と会話している気がする。
相変わらず裁定者、燐は日傘を差したまま無言でこちらを見ている。いつも頭に乗せているカエルは今はいない。
ただ今日はその二人だけではなかった。
「かなた、さん」
「うん……」
燐の横にはかなたが昨日と同じ服装で立っていた。今のかなたはメガネをしていないから、髪型以外はこなたそっくりに見える。
「どう、して」
どうしてもこうしても、夢の中だからどうでもいいとはわかってはいるが、聞かずにはいられなかった。
「こんなところまで来ちゃった」
かなたは弱々しく、苦笑する。
「こんなところ?」
「夢の中、に、来ちゃった」
「ここはどこなの?」
「ここは、夢の世界。みんなが住んでいる夢の世界だよ」
かなたはそう言った。
ゲームを続けるとどうなのか。
こなたは身体が侵されてしまうと言った。
「私は、もう戻れないかもしれない」
霧がかなたを包むかのように、彼女の姿が霞む。
彼女の言葉に答えたのは祈だ。
「大丈夫、あなたはまだ時間がある。でも、もうすぐ」
「そう、そうなの、私はまだなの」
少し安心したかのような顔をかなたがする。
時間とは何なのか。
「ねえ、お願いがあるの」
彩花に向かい直したかなたがじっと見る。。
「こなちゃんを、助けてあげて」
「助ける?」
「こなちゃんはとても弱いから、頑張っちゃうの」
こなたが助けようとしたのは、かなたではないのか。
かなたのために、ゲームを勝ち続けようとしていた。
「こなちゃんの友達になってあげて」
「あれ、かなた、さん?」
彩花が思考に時間を取られた一瞬、かなたは広場から姿を消していた。
「まだ、彼女はここまでしかいけない」
祈が残念そうに呟いた。
「でも都合がいいかも」
祈はちらりと白い裁定者の少女を見る。
彩花も視線を移すが、少女は何も答えなかった。
最後に祈が言う。
「私も、夢で待ってる」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる