ルピナスは恋を知る

葉月庵

文字の大きさ
226 / 318

226話

しおりを挟む
コップに血を入れ終わった私達はそれを持ってオズさんとレオさんの待つ部屋へと戻っていった。部屋に入り、一言二言交わしてから、ガルムさんが切り出す。

「早速で悪いが、コレを飲んでくれ。」

「これが先程話していた準備してくるもの、ですか?……失礼ですが、何処か血の匂いがしませんか?」

「いや、これはそういう匂いがするってだけの代物だ。それだけ効果があると思ってくれていい。」

「そうですか。では、失礼して……。」

ガルムさんから血の入ったコップを受け取ったオズさんは薬を飲むかのように一気に中身を飲み干した。私からこの血について話すと体質がバレてしまうということで、アルトさんがその効果を話してくれる。

「どうやら、骨折が治るのに1時間はらしい。まぁ、昼が終わる頃には治っているだろう。」

「分かりました。こんなに上等なもの、相当お高いんでしょう。ありがとうございます。そうですね、何か、お返しをしましょう。何がいいですか?」

「そうだな……。ハルは……、うん、なさそうだな。なら、何か必要な時は声をかけよう。その時はよろしく頼む。」

良かった。アルトさん、気づいてくれた。うん、だって、欲しいものとか特に思いつかないしね。

「そういうことならば、えぇ。いつでも頼ってください。お力になりましょう。」

こうしてオズさんの怪我も私の血を飲んでくれたおかげでしばらくすれば治るだろう。私達はレオさんと一緒に、オズさんに一応まだ安静にしておくように伝えて、昼食を食べに戻ることにした。ちなみに、騎士団の方達が用意してくれたのは、ピグで作った豚汁と白米だった。

「じゃあ、僕はこれをオズさんに届けてくるよ。ハル君、改めて、さっきはありがとね。」

「いえいえ、お役に立てたようで何よりです。」

そう言ってレオさんはオズさんにと昼食を持っていった。それを見送ると、ガルムさんは用意された椅子に座り、私を膝の上へと乗せた。

「さて、俺達も昼食を食べようか。」

「おい、待て。さっき、ガルムがハルを膝に乗せていただろう。今度は俺の番だ。代わってもらおう。」

アルトさんは私をガルムさんから取り上げ、膝の上へと乗せる。

どうやってもどちらかの膝の上に座ることになってしまうんだね……。

そう思っていると、アルトさんが顔を覗き込みながら聞いてくれる。

「ハル、まずは何から食べたい?」

「そうですね……。じゃあ、カズラさんの高菜のおにぎりから頂きます。」

「そうか。……ほら、ハル。じゃあ、俺はハルのおにぎりから食べよう。」

「俺もそうするとしよう。ここに来る時から楽しみだったんだ。」

ふふっ、素直にそう言われるのは嬉しいな。……ん!カズラさんのおにぎりも美味しい!

お二人が食べ始めたのを見てから私が食べていると、もう一個目の半分以上を食べたお二人が感想を言ってくれる。

「うん。相変わらず、ハルの料理は美味いな。毎日でも食べたくなる。」

「それは俺も同意見だ。フフッ……。まぁ俺は、ハルがこっちで働いてくれる時の昼は手料理を食べているがな。」

「何っ……!?それは本当なのか!?クソッ、俺もハルの手料理を食べたいというのに。」

「だが、ガルムもハルが依頼を受ける際にはハルの手料理を食べているのだろう?トントンだ。」

「それも、そうか……。いや、騙されんぞ……!その時はアルトもハルから弁当をもらっているではないか!」

「ま、まぁ、お二人とも。今度、家でウォルトさんとシータさんにお願いして作りますから……!それに、折角温めてくれたのに、冷めてしまいます……!」

お二人が私の手料理で言い合っているのは嬉しくもあり、どこかこそばゆかった。私が手料理を今度改めて振る舞うと言うと、お二人はとても嬉しそうにしており、感情が尻尾に表れていた。

「そうか……!あ、いや、作ってくれるのは嬉しいが、ハルは大変じゃないのかい?」

「そうだ。ハルが大変な思いをするのは俺達の本意ではない。」

お二人は優しいな。でも、そんなお二人だからこそ、作りたいって思える。

「大丈夫ですよ。今度作るので、楽しみにしていてくださいね。」

「「あぁ、もちろん……!」」

また今度、お二人に手料理を振る舞おうと心に決めながら、残りのお昼の時間を過ごすのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

三日天下の聖女です!

あんど もあ
ファンタジー
平凡なアルファパレス好き女子高生の私は、いきなり異世界に聖女として召喚されてしまった。でも、明後日に瘴気を浄化する神事をやってくれたら元の場所・時間に戻してくれると言うのでちょっと安心。なら三日間、立派な聖女になりましょう! ……でも、私が邪魔な人がいるようで……。

【本編完結】落ちた先の異世界で番と言われてもわかりません

ミミナガ
BL
 この世界では落ち人(おちびと)と呼ばれる異世界人がたまに現れるが、特に珍しくもない存在だった。 14歳のイオは家族が留守中に高熱を出してそのまま永眠し、気が付くとこの世界に転生していた。そして冒険者ギルドのギルドマスターに拾われ生活する術を教わった。  それから5年、Cランク冒険者として採取を専門に細々と生計を立てていた。  ある日Sランク冒険者のオオカミ獣人と出会い、猛アピールをされる。その上自分のことを「番」だと言うのだが、人族であるイオには番の感覚がわからないので戸惑うばかり。  使命も役割もチートもない異世界転生で健気に生きていく自己肯定感低めの真面目な青年と、甘やかしてくれるハイスペック年上オオカミ獣人の話です。  ベッタベタの王道異世界転生BLを目指しました。  本編完結。番外編は不定期更新です。R-15は保険。  コメント欄に関しまして、ネタバレ配慮は特にしていませんのでネタバレ厳禁の方はご注意下さい。

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

処理中です...