229 / 318
229話 アルト視点
しおりを挟む
「さて、ようやく二人とやれるぜ!さぁ、まずはどっちが相手だ?」
「団長、落ち着いて……。まったく、子供みたいだ……。」
「いいじゃねぇか、ローラン。ずっとこれが楽しみだったんだからよ!」
ローランも大変そうだな。試合に関してはまぁ、俺が最初だろうな。さっきガルムが試合をしたばかりだし。
案の定、次の試合は俺とギルだった。
「アルトさん、頑張ってください……!応援してます……!」
「あぁ、ありがとう。ハルに応援されたからには勝ってみせるさ。」
その時、ふといい考えが脳裏をよぎる。我ながらいい考えだ。
「ハル、次の試合に勝つために、勝利の女神のキスをくれるかい?」
「えっ……!?き、キス、ですか……!?」
キスという言葉が出てきただけで、こんなにも顔を赤く染めるなんて、やはり可愛すぎる。
ハルは辺りを見回して周囲の人をキョロキョロと確認している。恥ずかしそうにアワアワとしている姿を見つめていたいが、ここは誘導してあげるのが良さそうだ。
俺は顔をハルへと近づけ、唇をトントンと触り、ここにしてほしいとアピールする。
「えっ……?あっ……、うぅ……。」
顔を赤くしながら小さな声で呻く姿に胸をときめかせていると、決意を固めたハルが体を伸ばしてチュッと軽くキスをしてくれる。
「こ、これで、どう、ですか……?」
「フフッ……、ありがとう。じゃあ、行ってくる。」
さて、これで余計負けるわけにいかなくなったな。
俺はハルの可愛らしい姿を目に焼き付けてから、試合場へと向かう。ギルの方は待ちきれなかったようで、先に準備万端といった感じだった。
俺は深呼吸をして気持ちを切り替える。
よし、いける。
「始め!」
ドンッ……!
始まりの合図と同時にお互いが間合いを詰める。
ガンッ……!
互いの大剣が勢いよくぶつかり、辺りに衝撃が走る。
「ようやく、俺と同じくらいのヤツとやれるんだ。早々にくたばるなよ!」
「こっちのセリフ、だっ……!」
一気に詰められた間合いを相手を吹き飛ばすことで元に戻す。そして、今度はこちらからそれをなくし、連撃を入れる。
ガガガッ……!ガンッ……!
「流石に全て防ぐか……。」
「ったり前よぉ!」
下か……!
振り上げを後方に飛ぶことで躱すと、ギルも飛び上がって追撃してくる。空中で剣戟を繰り出してくるため、それをいなしながらこちらからも攻めるも当たり前のように防がれ、互いに距離を取りながら地面へ降りる。
次降りたら、また交戦が始まる。なら、こちらから……!
着地のタイミングでハルも使っていた飛び道具をギルの着地点へ飛ばす。ガンッと音を立てて地面を抉り、砂煙を立てる。
そこか……!
砂煙の中で影がゆらりと揺れる。そこに向かって大きく振りかぶり振り下ろす。だが、砂煙の中の影は後ろに飛んで、すんでのところで躱していた。
これを躱すのは想定内だ。だが……!
剣を地面に叩きつけたことで、割れた地面の塊が浮かび上がる。それを剣を支柱にして蹴り飛ばし、飛び上がった影へ向かって打ち込んでいく。着地する勢いのまま剣を抜き、飛ばした塊を弾いている所に追撃を加える。
「ゼェ゙ェ゙ェ゙ィ!」
「うぐっ……!」
ギルは俺の一撃を完璧に防ぐことはできず、地面に勢いよく叩きつけられる。
よし、やっと一撃入ったか。
「っ……!」
立て直しが早い……!
シュッと俺に向かって何かが顔に向かって飛んできて、顔を逸らすことによってそれを躱す。その一瞬ギルから視線を外したのが行けなかったのだろう。気づけば、目の前まで跳んできていた。
マズイ……!
そこからまた連撃を繰り出され、四方に跳びながらいなしていく……が。
「あまい……!」
「チッ……!」
こちらもまた一撃をいなしきれず、一発入れられる。ガンッと地面に剣を突き立て、衝撃を打ち消す。
フフッ、やるじゃないか……!柄にもなく熱くなってきた……!
それは向こうも同じようで再び動き回りながらの剣の撃ち合いが始まる。この一振り一振りで勝負が決まるかもしれないと思うとゾクゾクする。この懐かしい感覚に楽しくなってくる。
感覚が冴え渡っていく中僅かな隙を見つけてはお互いに撃ち合ってを繰り返す。だが、剣戟の途中一瞬、試合を決める急所に今までで一番の隙が空いた。
見えた、そこだ……!
「っ……!?」
剣を首元へ振り払わおうとすると、俺達よりも小さな影が入り込んできて、何とかその剣を止める。
「そこまで……!おぬしら、熱中しすぎじゃ。これ以上はいかん。この試合は引き分けじゃ。」
気づけば、ギルの剣も俺の首元で止まっていた。
「なんだよ、今いいとこだったのによぉ……。」
「団長、これ以上は父さんがいても止められるか危ういんだから諦めて。」
「そういうことじゃ。まぁ、魔法に触れる前にお互い剣を止めるのは流石の実力じゃな。ほれ、会場を直すから、下がらんか。」
「すまない、アッシュの爺さん。熱中しすぎてしまった……。」
「いいんじゃ、いいんじゃ。どうせ、ハル君に良いところを見せようとしたんじゃろう?」
「まぁ、そうだな。」
はぁ……、ハルが見ている手前、勝ちたかったんだがな……。格好良いと思ってくれているだろうか……。
「団長、落ち着いて……。まったく、子供みたいだ……。」
「いいじゃねぇか、ローラン。ずっとこれが楽しみだったんだからよ!」
ローランも大変そうだな。試合に関してはまぁ、俺が最初だろうな。さっきガルムが試合をしたばかりだし。
案の定、次の試合は俺とギルだった。
「アルトさん、頑張ってください……!応援してます……!」
「あぁ、ありがとう。ハルに応援されたからには勝ってみせるさ。」
その時、ふといい考えが脳裏をよぎる。我ながらいい考えだ。
「ハル、次の試合に勝つために、勝利の女神のキスをくれるかい?」
「えっ……!?き、キス、ですか……!?」
キスという言葉が出てきただけで、こんなにも顔を赤く染めるなんて、やはり可愛すぎる。
ハルは辺りを見回して周囲の人をキョロキョロと確認している。恥ずかしそうにアワアワとしている姿を見つめていたいが、ここは誘導してあげるのが良さそうだ。
俺は顔をハルへと近づけ、唇をトントンと触り、ここにしてほしいとアピールする。
「えっ……?あっ……、うぅ……。」
顔を赤くしながら小さな声で呻く姿に胸をときめかせていると、決意を固めたハルが体を伸ばしてチュッと軽くキスをしてくれる。
「こ、これで、どう、ですか……?」
「フフッ……、ありがとう。じゃあ、行ってくる。」
さて、これで余計負けるわけにいかなくなったな。
俺はハルの可愛らしい姿を目に焼き付けてから、試合場へと向かう。ギルの方は待ちきれなかったようで、先に準備万端といった感じだった。
俺は深呼吸をして気持ちを切り替える。
よし、いける。
「始め!」
ドンッ……!
始まりの合図と同時にお互いが間合いを詰める。
ガンッ……!
互いの大剣が勢いよくぶつかり、辺りに衝撃が走る。
「ようやく、俺と同じくらいのヤツとやれるんだ。早々にくたばるなよ!」
「こっちのセリフ、だっ……!」
一気に詰められた間合いを相手を吹き飛ばすことで元に戻す。そして、今度はこちらからそれをなくし、連撃を入れる。
ガガガッ……!ガンッ……!
「流石に全て防ぐか……。」
「ったり前よぉ!」
下か……!
振り上げを後方に飛ぶことで躱すと、ギルも飛び上がって追撃してくる。空中で剣戟を繰り出してくるため、それをいなしながらこちらからも攻めるも当たり前のように防がれ、互いに距離を取りながら地面へ降りる。
次降りたら、また交戦が始まる。なら、こちらから……!
着地のタイミングでハルも使っていた飛び道具をギルの着地点へ飛ばす。ガンッと音を立てて地面を抉り、砂煙を立てる。
そこか……!
砂煙の中で影がゆらりと揺れる。そこに向かって大きく振りかぶり振り下ろす。だが、砂煙の中の影は後ろに飛んで、すんでのところで躱していた。
これを躱すのは想定内だ。だが……!
剣を地面に叩きつけたことで、割れた地面の塊が浮かび上がる。それを剣を支柱にして蹴り飛ばし、飛び上がった影へ向かって打ち込んでいく。着地する勢いのまま剣を抜き、飛ばした塊を弾いている所に追撃を加える。
「ゼェ゙ェ゙ェ゙ィ!」
「うぐっ……!」
ギルは俺の一撃を完璧に防ぐことはできず、地面に勢いよく叩きつけられる。
よし、やっと一撃入ったか。
「っ……!」
立て直しが早い……!
シュッと俺に向かって何かが顔に向かって飛んできて、顔を逸らすことによってそれを躱す。その一瞬ギルから視線を外したのが行けなかったのだろう。気づけば、目の前まで跳んできていた。
マズイ……!
そこからまた連撃を繰り出され、四方に跳びながらいなしていく……が。
「あまい……!」
「チッ……!」
こちらもまた一撃をいなしきれず、一発入れられる。ガンッと地面に剣を突き立て、衝撃を打ち消す。
フフッ、やるじゃないか……!柄にもなく熱くなってきた……!
それは向こうも同じようで再び動き回りながらの剣の撃ち合いが始まる。この一振り一振りで勝負が決まるかもしれないと思うとゾクゾクする。この懐かしい感覚に楽しくなってくる。
感覚が冴え渡っていく中僅かな隙を見つけてはお互いに撃ち合ってを繰り返す。だが、剣戟の途中一瞬、試合を決める急所に今までで一番の隙が空いた。
見えた、そこだ……!
「っ……!?」
剣を首元へ振り払わおうとすると、俺達よりも小さな影が入り込んできて、何とかその剣を止める。
「そこまで……!おぬしら、熱中しすぎじゃ。これ以上はいかん。この試合は引き分けじゃ。」
気づけば、ギルの剣も俺の首元で止まっていた。
「なんだよ、今いいとこだったのによぉ……。」
「団長、これ以上は父さんがいても止められるか危ういんだから諦めて。」
「そういうことじゃ。まぁ、魔法に触れる前にお互い剣を止めるのは流石の実力じゃな。ほれ、会場を直すから、下がらんか。」
「すまない、アッシュの爺さん。熱中しすぎてしまった……。」
「いいんじゃ、いいんじゃ。どうせ、ハル君に良いところを見せようとしたんじゃろう?」
「まぁ、そうだな。」
はぁ……、ハルが見ている手前、勝ちたかったんだがな……。格好良いと思ってくれているだろうか……。
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
三日天下の聖女です!
あんど もあ
ファンタジー
平凡なアルファパレス好き女子高生の私は、いきなり異世界に聖女として召喚されてしまった。でも、明後日に瘴気を浄化する神事をやってくれたら元の場所・時間に戻してくれると言うのでちょっと安心。なら三日間、立派な聖女になりましょう! ……でも、私が邪魔な人がいるようで……。
【本編完結】落ちた先の異世界で番と言われてもわかりません
ミミナガ
BL
この世界では落ち人(おちびと)と呼ばれる異世界人がたまに現れるが、特に珍しくもない存在だった。
14歳のイオは家族が留守中に高熱を出してそのまま永眠し、気が付くとこの世界に転生していた。そして冒険者ギルドのギルドマスターに拾われ生活する術を教わった。
それから5年、Cランク冒険者として採取を専門に細々と生計を立てていた。
ある日Sランク冒険者のオオカミ獣人と出会い、猛アピールをされる。その上自分のことを「番」だと言うのだが、人族であるイオには番の感覚がわからないので戸惑うばかり。
使命も役割もチートもない異世界転生で健気に生きていく自己肯定感低めの真面目な青年と、甘やかしてくれるハイスペック年上オオカミ獣人の話です。
ベッタベタの王道異世界転生BLを目指しました。
本編完結。番外編は不定期更新です。R-15は保険。
コメント欄に関しまして、ネタバレ配慮は特にしていませんのでネタバレ厳禁の方はご注意下さい。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる