ルピナスは恋を知る

葉月庵

文字の大きさ
230 / 318

230話 ガルム視点

しおりを挟む
ふむ……、アルトのやつは引き分けで終わったか……。相当な実力者だとは思っていたが、やはり強いな。

「次は団長とガルムさんです。双方準備してください。」

呼ばれたか。さて、アルトがハルにキスをもらっていたから、俺もしてもらうとしよう。

「ハル、俺にもアルトみたくキスをしてくれるか?そうしてくれれば、俺は頑張れる。」

「えっ……!?が、ガルムさんも、ですか……!?わ、私は勝利の女神なんかではないんですが……。」

「俺たちにとって、ハルは似たようなものだ。」

「なっ……!?」

ククッ……。頬を赤くして、なんと可愛らしい。

「わ、分かり、ました。で、では……。」

顔をズイッと出してやると、ハルが恥ずかしがりながらもきちんと唇にキスしてくれる。

「ククッ、ありがとう。じゃあ、行ってくる。」

うむ、これはいいな。キス一つでここまでやる気にさせるとは、やはり俺達にとって、ハルは勝利の女神に違いない。

ギルは連戦のようだが、本人は体力が有り余っているからと休憩は無しのようだ。

俺はいつもの剣よりも軽い稽古用の剣を握り、いつ始まっても良いように体勢を整える。

「始め!」

俺は一気に地面を蹴り、相手の背後に瞬時に回り込み、剣を振り下ろす。

「フッ……!」

「おっと!」

ガインッ……!と音を立てて剣同士がぶつかる。

「ガハハッ!速ぇな!だが、そうこなくっちゃな!」

ブンッと大剣で振り払われるため、それをかわしてから連撃を叩き込む。それもギルは見事に対応してみせた。すると、蹴りを繰り出してきたため、剣の柄で防ぎ、跳んで衝撃を打ち消す。

先のアルトとギルの戦いで分かったが、この試合は安全を最優先にしているから、早期決戦にした方がアッシュさんの審判の目に引っかかることはなさそうだ。

そう思案していると、案の定、空中に出た俺を追ってギルが追撃してくる。

やはり来るか……!

俺は隙を探しながら応戦する。ガガガッ……!と互いの剣がぶつかり合う。この速さで大剣を振れるやつを見たのはアルト以来だ。そうして、一進一退の剣戟を繰り広げ、どちらからともなく間合いを取る。

やるなら、今か……!

俺は腰から短剣を取り出し、素早く投げつけ、その後に自分もギルに向かって斬りかかる。

「ハッ!なんだ?そのあまい攻撃は!この程度で俺が怯むとでも!?」

ガインッ……!と短剣を軽々弾いた後、ガンッ……!と音を立てて俺の剣をギルが受け止める。相当な力を込めたため、相手も相応の力を入れているだろう。

フッ、それを狙っていた。

俺は剣に込める力を一気に緩め、短剣が弾かれた方向と同じく、上へと飛び上がる。

「っ……!」

ギルは一瞬だけだが、体勢を崩しそれを足で支えた。だが、俺にとってはその一瞬だけでも十分だ。

短剣を掴むようにイメージして魔法を使い、空中に固定する。そして、それを踏み台にすれば……!

ズドンッ……!と一気にギルへと魔法で勢いもさらにつけて斬りかかる。地面へとついた途端、地面が抉れ砂煙が立つ。

「チェックメイト、だな。」

ギルは対応しきれず、俺の剣はギルの首元に添えられていた。

「そこまで……!」

ローランの声がかかり、試合が終わる。俺は剣を納め、ギルに手を貸す。

「ほら、立てるか?」

「ガハハッ!やられちまっまた!流石ガルムだな!」

「言うて、ギルも後少しで対応できていただろう?」

「それでも、1本取られたことには変わらんさ。いやー、負けた、負けた!」

こうしてギルから1本取り、この試合は俺の勝ちとなった。一体どんな顔でハルが出迎えてくれるのか、楽しみでたまらない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

三日天下の聖女です!

あんど もあ
ファンタジー
平凡なアルファパレス好き女子高生の私は、いきなり異世界に聖女として召喚されてしまった。でも、明後日に瘴気を浄化する神事をやってくれたら元の場所・時間に戻してくれると言うのでちょっと安心。なら三日間、立派な聖女になりましょう! ……でも、私が邪魔な人がいるようで……。

【本編完結】落ちた先の異世界で番と言われてもわかりません

ミミナガ
BL
 この世界では落ち人(おちびと)と呼ばれる異世界人がたまに現れるが、特に珍しくもない存在だった。 14歳のイオは家族が留守中に高熱を出してそのまま永眠し、気が付くとこの世界に転生していた。そして冒険者ギルドのギルドマスターに拾われ生活する術を教わった。  それから5年、Cランク冒険者として採取を専門に細々と生計を立てていた。  ある日Sランク冒険者のオオカミ獣人と出会い、猛アピールをされる。その上自分のことを「番」だと言うのだが、人族であるイオには番の感覚がわからないので戸惑うばかり。  使命も役割もチートもない異世界転生で健気に生きていく自己肯定感低めの真面目な青年と、甘やかしてくれるハイスペック年上オオカミ獣人の話です。  ベッタベタの王道異世界転生BLを目指しました。  本編完結。番外編は不定期更新です。R-15は保険。  コメント欄に関しまして、ネタバレ配慮は特にしていませんのでネタバレ厳禁の方はご注意下さい。

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

処理中です...