ルピナスは恋を知る

葉月庵

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231話

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凄い、凄い……!ガルムさん、ギルさんに勝っちゃった……!

ガルムさんは嬉しそうに尻尾を振りながらこちらにやってくる。きっとギルさんに勝てたことが相当嬉しかったのだろう。

なんて声をかけようかな……?

なんて考えていると、ガルムさんがこちらに戻ってくる前に騎士団の方に捕まっていた。それと同時にこちらでも騎士団の方が次の試合を案内する。

「次は、ガルムさんとアルトさんの試合です。準備をしてください。」

「おっと……、もう呼ばれたか。じゃあ、ハル。行ってくるよ。そうだ、試合に行く前に、さっきと同じものをもらってもいいかい?」

えっと、さっきと同じもの……って、き、キスのこと……!?

「だ、ダメです……!今回はしてあげられません……!」

「な、何故だ……!?」

私から断られると思っていなかっただろうアルトさんは珍しく狼狽していた。その顔は絶望に近い感情をあらわにしている。

「あっ!ち、違います……!決してアルトさんにキスをするのが嫌って訳ではなくて……!ただ……、」

「ただ……?」

「その……、アルトさんだけにするのは、ガルムさんに対して不公平だと思って……。私、お二人を平等に、あ、愛したいと思って……。」

「………。」

不思議な静寂がその場を包み、私はアルトさんの顔をうかがう。

「アルト、さん……?」

「愛したい、か……。フフッ……。そうか、そうか……!分かった。なら、仕方ないな。」

アルトさんは優しく微笑んで頬にキスをしてくれる。

「なっ……!えっ……!?」

「今はこれで我慢しよう。ウォルト、ハルのこと、頼んだぞ。」

「はい、お任せください。」

そうしてアルトさんは、私が顔を赤くして困惑している間に試合へ向かってしまった。

ど、どうしよう……!あ、愛しているって、皆が見ている前で言っちゃった……!うぅ……、顔が熱い……。

「ふふっ。ハル君。愛している、だなんて自然に言葉にしていて、凄いね?」

「か、カズラさん……!からかわないでください……!」

「ふふっ、ごめんごめん。つい、ね。」

「じゃ、じゃあカズラさんとライさんはどうなんですか……!あ、愛しているってお互いに伝えないんですか……!」

「えぇ……!?お、俺にも飛び火した……!?」

「わ、私達のことはいいから……!ほ、ほら、試合、始まっちゃうよ……!?」

上手く逃げるつもりだ……!で、でも、ガルムさんとアルトさんの試合は見ていたいし……。

私は断腸の思いで試合の方に視線を向ける。それでもカズラさん達のことが気になってチラリとそちらを見ると、お互い頬を少し赤くして視線をそらしていた。
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