234 / 318
234話
しおりを挟む
「えっ……?」
番になる?誰と……?私と、王子様が……?
私が王様の言葉に混乱していると、ガルムさんが怒りを押し殺しながら話し出す。
「お言葉ですが、既にハルは俺とアルトという二人の番がおります。それなのに、番になるというのは……!」
「別にそなたに聞いてはおらん。それに、昔と違って今は番を解消させる薬もある上、前例はないが望めば王族側ではない方が複数の番を作ることも認められている。何もおかしなことはない。」
「ですが……!」
「しつこいぞ。全て本人次第だろう。そなたはこの子の話しを黙って聞いておればいい。」
「くっ……!」
ガルムさんはそこでギリッと歯を悔しそうに噛んでいた。
「ふん。……それで、どうだ?王子との番になるのは。別に悪いようにはせん。むしろ、王子の番となれば相応な待遇を用意しよう。何でも好きなものを与え、好きなようにさせることを約束しよう。悪い条件ではないであろう?」
「わ、私は……、」
「ん?」
これを断ってしまえば、私達はどうなってしまうの……?そもそも、私と番になることによるメリットは……?それに、これは当の本人である王子様は望んでいることなの……?
そんなことが頭の中で、ぐるぐると回る。
それでも、私は……!
「も、申し訳ございません……!その提案に乗ることはできません……!本当に申し訳ございません……!」
同じことを繰り返してしまうくらい私は動揺してしまっていたが、言いたいことはきちんと伝えた。
王様に頭を下げて言いたいことを伝えた後でも、嫌な汗が全身から噴き出ているような気がする。私が意見をした後から辺りが静かになったこともそれを加速させる原因となっていた。
やっぱり、王様の提案にのらないことで反感を買って、私は処されてしまうのかな……?
「……まぁ、いい。突然言われて動揺しての答えだろう。ともかく、まずは王子に会ってもらおうか。話しはそれからでも遅くはない。」
話しは終わったとばかりに王様はその身を翻す。
「用は済んだ。連絡は追ってさせるから、そなた達は心に決めておけ。余は戻る。」
王様がそう言って歩き出すと、ガルムさんを牽制していた龍人さんがいつの間にか後ろにつかえていた。そして、王様達が離れ、声も届かないほどの距離になってやっとピンと張っていた糸が切れたかのように私も含めて周りの人達は息を吐いた。
よ、良かった……。ん?良かった、のかな……?少なくとも、反感を買ってはいない気がする。
「ハル、話したいことは山々あるが、一先ず今日はもう帰ろう。ガルムもそれでいいな?」
「あぁ。……というわけで、ギル。俺達は一足先に帰らせてもらおう。」
「分かった。今日はすまんかった。まさか、王様が直々に来るとは……。ローラン、王様には連絡していないよな?」
「もちろん。ハル君の王族とのゴタゴタは父さんから聞いていたしね。」
「だよな……。まさか、誰か王様と繋がっている者が騎士団内にいるのか……?いや、まさかな……。」
そう少し考え込む仕草を見せたギルさんを見て、ガルムさんは周りを警戒しながら話しかける。
「話しはもういいか?王族がもう来ないとも限らんし、俺達は帰るぞ。」
「あぁ、すまない。後日詫びの品を送ろう。改めて本当にすまない。」
「ギル、ましてやローランも知らないのなら仕方のなかったことだろう。気にしなくて良い。ではな。試合自体は楽しかった。」
「……あぁ!こちらもいい経験になった!ありがとう!」
ギルさんはニカッとした笑顔でアルトさん、そしてガルムさんに言った。その後私の方を向くと、視線を合わせてきた。
「ハル、嫌な思いをさせてごめんな?詫びの品は好きなものを教えてくれれば、それに合わせよう。」
「あ、いえ!お気になさらず……!」
「では、甘い物を所望しよう。」
「が、ガルムさん……!」
「ガハハッ!ハルは甘い物が好きなのか!分かった、そうしよう。」
私がこんな皆さんがいる前で好きなものを公開されるなんて思っていなくて恥ずかしくって顔を赤くする。
こうして私達は乗ってきた場所に乗り込んだ。ちなみにレオさんとウィルさん、ウォルトさんはカズラさんを探しに行き、試合が中止になった旨を伝え連れてきてくれていた。
番になる?誰と……?私と、王子様が……?
私が王様の言葉に混乱していると、ガルムさんが怒りを押し殺しながら話し出す。
「お言葉ですが、既にハルは俺とアルトという二人の番がおります。それなのに、番になるというのは……!」
「別にそなたに聞いてはおらん。それに、昔と違って今は番を解消させる薬もある上、前例はないが望めば王族側ではない方が複数の番を作ることも認められている。何もおかしなことはない。」
「ですが……!」
「しつこいぞ。全て本人次第だろう。そなたはこの子の話しを黙って聞いておればいい。」
「くっ……!」
ガルムさんはそこでギリッと歯を悔しそうに噛んでいた。
「ふん。……それで、どうだ?王子との番になるのは。別に悪いようにはせん。むしろ、王子の番となれば相応な待遇を用意しよう。何でも好きなものを与え、好きなようにさせることを約束しよう。悪い条件ではないであろう?」
「わ、私は……、」
「ん?」
これを断ってしまえば、私達はどうなってしまうの……?そもそも、私と番になることによるメリットは……?それに、これは当の本人である王子様は望んでいることなの……?
そんなことが頭の中で、ぐるぐると回る。
それでも、私は……!
「も、申し訳ございません……!その提案に乗ることはできません……!本当に申し訳ございません……!」
同じことを繰り返してしまうくらい私は動揺してしまっていたが、言いたいことはきちんと伝えた。
王様に頭を下げて言いたいことを伝えた後でも、嫌な汗が全身から噴き出ているような気がする。私が意見をした後から辺りが静かになったこともそれを加速させる原因となっていた。
やっぱり、王様の提案にのらないことで反感を買って、私は処されてしまうのかな……?
「……まぁ、いい。突然言われて動揺しての答えだろう。ともかく、まずは王子に会ってもらおうか。話しはそれからでも遅くはない。」
話しは終わったとばかりに王様はその身を翻す。
「用は済んだ。連絡は追ってさせるから、そなた達は心に決めておけ。余は戻る。」
王様がそう言って歩き出すと、ガルムさんを牽制していた龍人さんがいつの間にか後ろにつかえていた。そして、王様達が離れ、声も届かないほどの距離になってやっとピンと張っていた糸が切れたかのように私も含めて周りの人達は息を吐いた。
よ、良かった……。ん?良かった、のかな……?少なくとも、反感を買ってはいない気がする。
「ハル、話したいことは山々あるが、一先ず今日はもう帰ろう。ガルムもそれでいいな?」
「あぁ。……というわけで、ギル。俺達は一足先に帰らせてもらおう。」
「分かった。今日はすまんかった。まさか、王様が直々に来るとは……。ローラン、王様には連絡していないよな?」
「もちろん。ハル君の王族とのゴタゴタは父さんから聞いていたしね。」
「だよな……。まさか、誰か王様と繋がっている者が騎士団内にいるのか……?いや、まさかな……。」
そう少し考え込む仕草を見せたギルさんを見て、ガルムさんは周りを警戒しながら話しかける。
「話しはもういいか?王族がもう来ないとも限らんし、俺達は帰るぞ。」
「あぁ、すまない。後日詫びの品を送ろう。改めて本当にすまない。」
「ギル、ましてやローランも知らないのなら仕方のなかったことだろう。気にしなくて良い。ではな。試合自体は楽しかった。」
「……あぁ!こちらもいい経験になった!ありがとう!」
ギルさんはニカッとした笑顔でアルトさん、そしてガルムさんに言った。その後私の方を向くと、視線を合わせてきた。
「ハル、嫌な思いをさせてごめんな?詫びの品は好きなものを教えてくれれば、それに合わせよう。」
「あ、いえ!お気になさらず……!」
「では、甘い物を所望しよう。」
「が、ガルムさん……!」
「ガハハッ!ハルは甘い物が好きなのか!分かった、そうしよう。」
私がこんな皆さんがいる前で好きなものを公開されるなんて思っていなくて恥ずかしくって顔を赤くする。
こうして私達は乗ってきた場所に乗り込んだ。ちなみにレオさんとウィルさん、ウォルトさんはカズラさんを探しに行き、試合が中止になった旨を伝え連れてきてくれていた。
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
S級エスパーは今日も不機嫌
ノルジャン
BL
低級ガイドの成瀬暖は、S級エスパーの篠原蓮司に嫌われている。少しでも篠原の役に立ちたいと、ガイディングしようとするが拒否される日々。ある日、所属しているギルドから解雇させられそうになり、焦った成瀬はなんとか自分の級を上げようとする。
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
【本編完結】落ちた先の異世界で番と言われてもわかりません
ミミナガ
BL
この世界では落ち人(おちびと)と呼ばれる異世界人がたまに現れるが、特に珍しくもない存在だった。
14歳のイオは家族が留守中に高熱を出してそのまま永眠し、気が付くとこの世界に転生していた。そして冒険者ギルドのギルドマスターに拾われ生活する術を教わった。
それから5年、Cランク冒険者として採取を専門に細々と生計を立てていた。
ある日Sランク冒険者のオオカミ獣人と出会い、猛アピールをされる。その上自分のことを「番」だと言うのだが、人族であるイオには番の感覚がわからないので戸惑うばかり。
使命も役割もチートもない異世界転生で健気に生きていく自己肯定感低めの真面目な青年と、甘やかしてくれるハイスペック年上オオカミ獣人の話です。
ベッタベタの王道異世界転生BLを目指しました。
本編完結。番外編は不定期更新です。R-15は保険。
コメント欄に関しまして、ネタバレ配慮は特にしていませんのでネタバレ厳禁の方はご注意下さい。
神獣様の森にて。
しゅ
BL
どこ、ここ.......?
俺は橋本 俊。
残業終わり、会社のエレベーターに乗ったはずだった。
そう。そのはずである。
いつもの日常から、急に非日常になり、日常に変わる、そんなお話。
7話完結。完結後、別のペアの話を更新致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる