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243話
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「ハル……!こちらに来たということは、行くってことでいいんだな?」
「はい……!ガルムさんとアルトさんがついていてくれますから……!」
「フフッ……、そうか。」
先程のガルムさんもそうだけど、頼られるのが嬉しいのかアルトさんも笑っていた。それを申し訳なさそうにオズさんが割って入る。
「その、歓談中申し訳ないのですが、本日はハルさんだけ、と聞いていて……。」
「「何……?」」
「ですから、ハルさんだけと……、」
「それは聞こえている。だが、それを俺達が許すと本当に思っているのか、という話だ。」
アルトさんが殺気を立てつつも落ち着いた低い声で問う。その気迫の強さに私までビクリと震えてしまった。そんな私をガルムさんは背中を支えてくれて、まるで大丈夫だと言っているようだった。
「えぇ、私も貴方方の仲は昨日の時点で理解していましたので、王のお付の者に失礼ながら進言させていただきました。その回答としては、事を荒立てたくはないため、取り敢えず王城まではついてくることを許す、と。ですが、やはりできれば……とのことでした。」
「ふむ、そうか……。では、ついていっていいんだな?」
「まぁ、そういうことになりますね。」
「……分かった。まぁ、オズができることをやってくれたことは伝わった。」
「えぇ、私としても昨日ハルさんに助けていただいた恩がありますから。では、あまりここで長居しても目立ってしまうので、中へどうぞ。」
こうして私達は近衛隊の人達が護衛してくれる馬車へと乗り込んだ。私は当然のごとくアルトさんに手を引かれ、膝の上へと座らされた。
ひ、広い……!アルトさんの持っている馬車も相当広いけど、それ以上だ……!
「ほう、きちんとした待遇だな……。やはり、手荒な真似はしたくないとでも言いたげだな。」
私がその広さに驚いていると、ガルムさんも中の設備の充実さから何か推測していた。
「失礼します。ガルムさんやアルトさんがいらっしゃるので、私達の護衛なぞ必要ないとは思いますが、大切な客人ですので、ご容赦ください。」
そう言ってオズさんもキャビンの中へと入ってくる。一人、私という小さな人がいるものの、4人というそれなりの人数が乗ってもかなり余裕があり、行儀は悪いけど寝転がることもできそうなくらいだ。そうして馬車が動き出して少しすると、何やらオズさんが何か取り出した。
「こちら、ハルさんが甘い物が好きだと聞いておりますので、道中にでもお好きにお食べください。お申し付けしてくだされば他の物も用意があるとの事です。ガルムさんやアルトさんに関しましては、お茶のご用意があるので、そちらをぜひ。」
「ふむ……、ハルの好物もリサーチ済み、か……。ますます不信感が増すな。」
アルトさんも先程から、この待遇に違和感を感じているみたいだ。ガルムさんは差し出されたものを手に取って匂いを嗅いでいる。
「取り敢えず毒はない、か……。ハル、これなら好きに食べて良さそうだ。気になるなら、食べてみていいぞ?」
「えっ……?あっ……!いえ、私は別に……!」
た、確かに少しだけ、少ーしだけ!気になってはいたけど……。
「ククッ……、おそらく城下町で作られているものだから珍しい代物だぞ?俺もあまり見ない果物が使われている。ほら、あーんだ。」
うっ……。さ、差し出されたら、食べるしかないよね……!うん……!
私は自分の中で言い訳をして、ガルムさんの手ずからその果物の乗ったお菓子を一口食べる。これが後に知ることになる、タルトと言うものらしい。
「ん……!」
美味しい……!生地自体がサクサクして優しい甘さがあるけど、上に乗っている果物の甘さを邪魔していない……!その果物自体も甘みの中に仄かな酸味もあって食べやすい……!
「フフッ……。気に入ったのなら、今度ギルに頼んで、送ってもらうとしようか。」
美味しくってついガルムさんの手から二口目を食べようと口を開きかけて、ここにいる人達の視線を集めていることに気がついた。
「あっ……!いや、その……、」
「ククッ……、別に恥ずかしがっても、ただ可愛いだけだぞ?」
「フフッ……、そうだな。俺がオズから話を聞いておくから、ハルは気にせず菓子を堪能していると良い。」
うぅ……、しまった……。つい、うっかりお菓子に夢中になってしまった……。何だか、ガルムさんとアルトさんがお菓子をよく食べさせてくれるようになってから、甘い物に目がなくなってしまった気がする……。
私は自己嫌悪に陥りつつも、残すのは残すのであれだと思い、しっかりと食べかけの1ピースを食べてしまうのだった。
「はい……!ガルムさんとアルトさんがついていてくれますから……!」
「フフッ……、そうか。」
先程のガルムさんもそうだけど、頼られるのが嬉しいのかアルトさんも笑っていた。それを申し訳なさそうにオズさんが割って入る。
「その、歓談中申し訳ないのですが、本日はハルさんだけ、と聞いていて……。」
「「何……?」」
「ですから、ハルさんだけと……、」
「それは聞こえている。だが、それを俺達が許すと本当に思っているのか、という話だ。」
アルトさんが殺気を立てつつも落ち着いた低い声で問う。その気迫の強さに私までビクリと震えてしまった。そんな私をガルムさんは背中を支えてくれて、まるで大丈夫だと言っているようだった。
「えぇ、私も貴方方の仲は昨日の時点で理解していましたので、王のお付の者に失礼ながら進言させていただきました。その回答としては、事を荒立てたくはないため、取り敢えず王城まではついてくることを許す、と。ですが、やはりできれば……とのことでした。」
「ふむ、そうか……。では、ついていっていいんだな?」
「まぁ、そういうことになりますね。」
「……分かった。まぁ、オズができることをやってくれたことは伝わった。」
「えぇ、私としても昨日ハルさんに助けていただいた恩がありますから。では、あまりここで長居しても目立ってしまうので、中へどうぞ。」
こうして私達は近衛隊の人達が護衛してくれる馬車へと乗り込んだ。私は当然のごとくアルトさんに手を引かれ、膝の上へと座らされた。
ひ、広い……!アルトさんの持っている馬車も相当広いけど、それ以上だ……!
「ほう、きちんとした待遇だな……。やはり、手荒な真似はしたくないとでも言いたげだな。」
私がその広さに驚いていると、ガルムさんも中の設備の充実さから何か推測していた。
「失礼します。ガルムさんやアルトさんがいらっしゃるので、私達の護衛なぞ必要ないとは思いますが、大切な客人ですので、ご容赦ください。」
そう言ってオズさんもキャビンの中へと入ってくる。一人、私という小さな人がいるものの、4人というそれなりの人数が乗ってもかなり余裕があり、行儀は悪いけど寝転がることもできそうなくらいだ。そうして馬車が動き出して少しすると、何やらオズさんが何か取り出した。
「こちら、ハルさんが甘い物が好きだと聞いておりますので、道中にでもお好きにお食べください。お申し付けしてくだされば他の物も用意があるとの事です。ガルムさんやアルトさんに関しましては、お茶のご用意があるので、そちらをぜひ。」
「ふむ……、ハルの好物もリサーチ済み、か……。ますます不信感が増すな。」
アルトさんも先程から、この待遇に違和感を感じているみたいだ。ガルムさんは差し出されたものを手に取って匂いを嗅いでいる。
「取り敢えず毒はない、か……。ハル、これなら好きに食べて良さそうだ。気になるなら、食べてみていいぞ?」
「えっ……?あっ……!いえ、私は別に……!」
た、確かに少しだけ、少ーしだけ!気になってはいたけど……。
「ククッ……、おそらく城下町で作られているものだから珍しい代物だぞ?俺もあまり見ない果物が使われている。ほら、あーんだ。」
うっ……。さ、差し出されたら、食べるしかないよね……!うん……!
私は自分の中で言い訳をして、ガルムさんの手ずからその果物の乗ったお菓子を一口食べる。これが後に知ることになる、タルトと言うものらしい。
「ん……!」
美味しい……!生地自体がサクサクして優しい甘さがあるけど、上に乗っている果物の甘さを邪魔していない……!その果物自体も甘みの中に仄かな酸味もあって食べやすい……!
「フフッ……。気に入ったのなら、今度ギルに頼んで、送ってもらうとしようか。」
美味しくってついガルムさんの手から二口目を食べようと口を開きかけて、ここにいる人達の視線を集めていることに気がついた。
「あっ……!いや、その……、」
「ククッ……、別に恥ずかしがっても、ただ可愛いだけだぞ?」
「フフッ……、そうだな。俺がオズから話を聞いておくから、ハルは気にせず菓子を堪能していると良い。」
うぅ……、しまった……。つい、うっかりお菓子に夢中になってしまった……。何だか、ガルムさんとアルトさんがお菓子をよく食べさせてくれるようになってから、甘い物に目がなくなってしまった気がする……。
私は自己嫌悪に陥りつつも、残すのは残すのであれだと思い、しっかりと食べかけの1ピースを食べてしまうのだった。
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