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272話
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しばらくすると、一度表の対応をしてくれていたガルムさんが戻ってくる。
「やはりというか、直接王城へ行ってハルが行けないことを伝えなくてはならないようだ。」
「そうか……。なら、今から急いで行った方がいいな。」
「嫌です……。」
私が思わず口にした言葉にお二人の視線がこちらを向く。こんなこと言ったら、お二人を困らせてしまうと分かっていても、口が止まらなかった。
「一人に、しないでください……。一人は、嫌です……。」
なんでこんなことを言ったのか自分でも分からない。私のことは気にせず行ってきて欲しい気持ちが確かにあるのに。
「そうだよな、つらいよな。大丈夫、一人にはしない。」
「あぁ、悪阻で苦しんでいるハルを一人になんてさせん。……今日は俺が城に行こう。アルトはハルの側にいてくれ。」
「それはありがたいが、ガルムもハルの側にいたいのではないのか?」
「もちろん一緒がいいに決まっている。だが、かといって王族を無視するわけにいかんだろう。」
「すまない、助かる。」
私は王城へ一人で行く方が危険な気がしていても、どうしてもアルトさんの服を掴む手を離すことができなかった。
「ハル、すぐに帰ってくるからな。ゆっくり休んでいてくれ。」
そう言ってガルムさんは私の頭を撫でてから再び部屋を出ていった。そして、この部屋には私とアルトさんのみになった。
「……すみません、アルトさん。」
「ん?何がだ?」
「その……、わがままを言ってしまいました。」
「別にこれくらいわがままの内には入らないさ。むしろ、ハルは我慢しすぎるきらいがあるから、もっと言ってほしいくらいだ。」
アルトさんにそんなことを言われてしまい、私の中でどうしようもなく、甘えたい気持ちが抑えられなくなる。
「でしたら、お願いが……。」
「なんだ?なんでも言ってご覧。」
「その……、私をギュッとしてください……。」
「フフッ……、お安いご用だ。」
アルトさんは嫌がる素振りなど見せずに、むしろ嬉しそうに横になってから私を抱きしめてくれる。いつも感じているアルトさんの体温と安心するような匂いがしてくる。確かに、気持ち悪いし体も重いがそれよりもアルトさんと密着したことにより、心が落ち着く。その状態でどのくらい経ったのか分からないが、そのうちシータさんがお粥を持ってやってきた。
「アルト様、ハル様、お粥を持ってきました。」
「ありがとう、シータ。取り敢えずそこに置いておいてくれ。」
「畏まりました。アルト様のお食事はどうしますか?」
「確か、悪阻は匂いにも敏感になっていたな……。なら、俺の分はポーションで良い。持ってきてくれるか?」
「あの……、私のことは気にしないでください。」
ここでようやく、今日初めて他者を考えた発言ができた。アルトさんとくっついているおかげで少し心の余裕ができたのかもしれない。
「つらいのはハルなんだから、気を使わなくていい。シータ、お願いできるか。」
「はい、畏まりました。少々お待ちください。」
そうしてまたシータさんが部屋を出ていく。それを見送り、アルトさんが立ち上がろうと、私から回していた腕を離す。
「あっ……、待って……、」
イヤ、行かないで……。
離れていくアルトさんに手を伸ばしながら、気づけば私はポロポロと涙を流していた。自分でもなんでここで泣いてしまうのかよく分からない。
「あれ……?なんで……?」
「大丈夫、大丈夫だ。ちょっとシータの作ってくれた粥を取るだけだ。離れたりしない。」
アルトさんはそんな私をまた抱きしめて気持ちを落ち着かせるように声をかけてくれる。結局、優しくしてくれるアルトさんにすがってしまい、涙が止まるまで抱きしめてもらっていた。
「やはりというか、直接王城へ行ってハルが行けないことを伝えなくてはならないようだ。」
「そうか……。なら、今から急いで行った方がいいな。」
「嫌です……。」
私が思わず口にした言葉にお二人の視線がこちらを向く。こんなこと言ったら、お二人を困らせてしまうと分かっていても、口が止まらなかった。
「一人に、しないでください……。一人は、嫌です……。」
なんでこんなことを言ったのか自分でも分からない。私のことは気にせず行ってきて欲しい気持ちが確かにあるのに。
「そうだよな、つらいよな。大丈夫、一人にはしない。」
「あぁ、悪阻で苦しんでいるハルを一人になんてさせん。……今日は俺が城に行こう。アルトはハルの側にいてくれ。」
「それはありがたいが、ガルムもハルの側にいたいのではないのか?」
「もちろん一緒がいいに決まっている。だが、かといって王族を無視するわけにいかんだろう。」
「すまない、助かる。」
私は王城へ一人で行く方が危険な気がしていても、どうしてもアルトさんの服を掴む手を離すことができなかった。
「ハル、すぐに帰ってくるからな。ゆっくり休んでいてくれ。」
そう言ってガルムさんは私の頭を撫でてから再び部屋を出ていった。そして、この部屋には私とアルトさんのみになった。
「……すみません、アルトさん。」
「ん?何がだ?」
「その……、わがままを言ってしまいました。」
「別にこれくらいわがままの内には入らないさ。むしろ、ハルは我慢しすぎるきらいがあるから、もっと言ってほしいくらいだ。」
アルトさんにそんなことを言われてしまい、私の中でどうしようもなく、甘えたい気持ちが抑えられなくなる。
「でしたら、お願いが……。」
「なんだ?なんでも言ってご覧。」
「その……、私をギュッとしてください……。」
「フフッ……、お安いご用だ。」
アルトさんは嫌がる素振りなど見せずに、むしろ嬉しそうに横になってから私を抱きしめてくれる。いつも感じているアルトさんの体温と安心するような匂いがしてくる。確かに、気持ち悪いし体も重いがそれよりもアルトさんと密着したことにより、心が落ち着く。その状態でどのくらい経ったのか分からないが、そのうちシータさんがお粥を持ってやってきた。
「アルト様、ハル様、お粥を持ってきました。」
「ありがとう、シータ。取り敢えずそこに置いておいてくれ。」
「畏まりました。アルト様のお食事はどうしますか?」
「確か、悪阻は匂いにも敏感になっていたな……。なら、俺の分はポーションで良い。持ってきてくれるか?」
「あの……、私のことは気にしないでください。」
ここでようやく、今日初めて他者を考えた発言ができた。アルトさんとくっついているおかげで少し心の余裕ができたのかもしれない。
「つらいのはハルなんだから、気を使わなくていい。シータ、お願いできるか。」
「はい、畏まりました。少々お待ちください。」
そうしてまたシータさんが部屋を出ていく。それを見送り、アルトさんが立ち上がろうと、私から回していた腕を離す。
「あっ……、待って……、」
イヤ、行かないで……。
離れていくアルトさんに手を伸ばしながら、気づけば私はポロポロと涙を流していた。自分でもなんでここで泣いてしまうのかよく分からない。
「あれ……?なんで……?」
「大丈夫、大丈夫だ。ちょっとシータの作ってくれた粥を取るだけだ。離れたりしない。」
アルトさんはそんな私をまた抱きしめて気持ちを落ち着かせるように声をかけてくれる。結局、優しくしてくれるアルトさんにすがってしまい、涙が止まるまで抱きしめてもらっていた。
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