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10話
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私は、巨大なオークに殺してもらえると思ったのに突然引っ張られる感覚がした。その直後、そのオークが目の前で二分割にされた。
そこで私はまたも死ねなかった事に絶望し、混乱した。いっそ自殺でもと考えたが、それも止められ、大声で私を腕に抱えた獣人に詰め寄った。
なんで、みんな邪魔するの!?私なんて死んだ方がましみたいな扱いをしておいてっ!!
そんな気持ちが胸を占め、暴れていた。気づけばその獣人の腕の温もりに涙が溢れ、すがりついて意識を手放してしまった。
二度と温もりは信じないと決めていたのに、その獣人が与えてくれる温もりに抗えなかった。
この温もりを得ることは望んでも叶わないのに、いけないことなのに……!!
目が覚めると縋り付いてしまっていた獣人の腕の中にいた。思いの外、切れ長の目をした強面の顔が近くにあり体を揺らしてしまう。そこで初めて自分に布がかけられていることに気づく。どうやら、寝ている時にかけていないくれたのだろう。
先程暴れてしまった姿を見たからか、その獣人が強張るのを感じたが、私が暴れる気配を感じなかったのか安心したようにふわりと笑った。
「起きたか。体調は大丈夫か。」
「すみません。大丈夫です。お騒がせして申し訳ありませんでした。布ありがとうございます。」
私は目を反らしてそう言った。周囲をみると先程の場所とは違う所のようだ。また、私を腕に抱えている獣人の他に二人この場にいるようだ。
どうせこの人達からも捨てられるのであれば、この温もりを忘れぬよう、もうしばらくこうしていたいな。
ふと、そう思ってしまっている自分に気づいてしまった。正直自分の弱さを認めているようで、こんなこと気づきたくなかった。
「ガルム、そろそろ休憩しよう。丁度その子も目覚めたようだしね。」
少し先を歩いていた三角の耳をピコッと立てている獣人がこちらを振り向く。
「そうだな。おまえは俺の膝の上で良いよな?」
そう言ってガルムと呼ばれる紺色の体毛の上からでも見える均整の整った筋肉と、青みがかった灰色の瞳をのぞかせた獣人はこちらに確認をとってきた。なぜ膝の上なのか分からなかったが、私には選択権はないので、とりあえず頷いておいた。
それを確認したガルムさんは手ごろな石を見つけ、そこに座った。他の二人はガルムさんと同じように石に座ったり、側にある木に寄りかかったりしていた。
かくいう私は、ガルムさんの腕の中のまま膝に座らせてもらった。
あぁ、そうか。膝にのせたのは私が逃げ出さないようにするためか。
ガルムさんの筋肉量が一番多そうに見えるが、レオさんとウィルさんも冒険者だからなのか、なかなか鍛えていそうだ。だから、とてもではないが逃げられそうにない。
その態勢に自分の中で納得し、腰を落ち着かせる。
「まずは自己紹介をしよう。まずは俺からだな。俺はガルム、狼獣人だ。このパーティーのリーダーをしている。そしてこっちの犬獣人がレオ、こっちの虎獣人がウィルだ。」
小麦色の毛なみのレオさんと、黄色と黒の縞模様のウィルさんはそれぞれ、焦げ茶色と薄い黄緑色をした瞳で笑いかけてきた。
「「よろしく」っす」
私は、その二人にお辞儀で返した。
「さて、おまえのことを教えてくれるか?」
「す、すみません。私の名前はハルと申します。種族は人間で、年齢は確か17です。」
私は周囲の反応を視界の片隅に入れながら、答えた。
「ハル君って呼んでもいいっすか?」
「だ、大丈夫です。」
「あ、僕もそう呼んでも良いかい?」
「はい……」
いちいち私なんかに許可なんてとる必要ないのに。すぐに別れて忘れるからそもそも名前なんて聞かなくてもいいのに。
「ハル、お前が何故あんな状況にあったのか教えてくれるか。」
ガルムさんが私の頭上から恐る恐るといった感じで話しかけてくる。
どう答えたものか、答えあぐねていると同解釈したのかウィルさんとレオさんは慌てだした。
「ガルムさんっ!!顔怖いっすよ!」
「うっ……」
「ごめんね。この人、こんな顔だから初対面の人、特に子供にはすぐ逃げられちゃうんだよ。」
怖い?ガルムさんが?まさか、テルさんのあの顔より全然優しげだ。
「すみません、怖いわけではないんです。ただ、私は薬の元を提供していた所に、主から引っ越すことを伝えられて馬車に乗っていただけなので……」
私はそう目の前の二人と頭上のガルムさんに聞こえるよう話した。
「へぇー!!薬作ってたんだ!!それで、ハル君は何を提供していたんだい?」
私はそれを聞かれた時ドキッとした。これを伝えてしまえば、私がカイブツだと知られてしまう。そうするとこの温かな夢のような時間が終わってしまう。
ただ、一時でも優しくしてくれたこの人達を騙すようなことはしたくなかった。たとえそれが夢から覚めてしまう行為でも。
私は覚悟を決め、それを告げる。
「私の血です。」
そこで私はまたも死ねなかった事に絶望し、混乱した。いっそ自殺でもと考えたが、それも止められ、大声で私を腕に抱えた獣人に詰め寄った。
なんで、みんな邪魔するの!?私なんて死んだ方がましみたいな扱いをしておいてっ!!
そんな気持ちが胸を占め、暴れていた。気づけばその獣人の腕の温もりに涙が溢れ、すがりついて意識を手放してしまった。
二度と温もりは信じないと決めていたのに、その獣人が与えてくれる温もりに抗えなかった。
この温もりを得ることは望んでも叶わないのに、いけないことなのに……!!
目が覚めると縋り付いてしまっていた獣人の腕の中にいた。思いの外、切れ長の目をした強面の顔が近くにあり体を揺らしてしまう。そこで初めて自分に布がかけられていることに気づく。どうやら、寝ている時にかけていないくれたのだろう。
先程暴れてしまった姿を見たからか、その獣人が強張るのを感じたが、私が暴れる気配を感じなかったのか安心したようにふわりと笑った。
「起きたか。体調は大丈夫か。」
「すみません。大丈夫です。お騒がせして申し訳ありませんでした。布ありがとうございます。」
私は目を反らしてそう言った。周囲をみると先程の場所とは違う所のようだ。また、私を腕に抱えている獣人の他に二人この場にいるようだ。
どうせこの人達からも捨てられるのであれば、この温もりを忘れぬよう、もうしばらくこうしていたいな。
ふと、そう思ってしまっている自分に気づいてしまった。正直自分の弱さを認めているようで、こんなこと気づきたくなかった。
「ガルム、そろそろ休憩しよう。丁度その子も目覚めたようだしね。」
少し先を歩いていた三角の耳をピコッと立てている獣人がこちらを振り向く。
「そうだな。おまえは俺の膝の上で良いよな?」
そう言ってガルムと呼ばれる紺色の体毛の上からでも見える均整の整った筋肉と、青みがかった灰色の瞳をのぞかせた獣人はこちらに確認をとってきた。なぜ膝の上なのか分からなかったが、私には選択権はないので、とりあえず頷いておいた。
それを確認したガルムさんは手ごろな石を見つけ、そこに座った。他の二人はガルムさんと同じように石に座ったり、側にある木に寄りかかったりしていた。
かくいう私は、ガルムさんの腕の中のまま膝に座らせてもらった。
あぁ、そうか。膝にのせたのは私が逃げ出さないようにするためか。
ガルムさんの筋肉量が一番多そうに見えるが、レオさんとウィルさんも冒険者だからなのか、なかなか鍛えていそうだ。だから、とてもではないが逃げられそうにない。
その態勢に自分の中で納得し、腰を落ち着かせる。
「まずは自己紹介をしよう。まずは俺からだな。俺はガルム、狼獣人だ。このパーティーのリーダーをしている。そしてこっちの犬獣人がレオ、こっちの虎獣人がウィルだ。」
小麦色の毛なみのレオさんと、黄色と黒の縞模様のウィルさんはそれぞれ、焦げ茶色と薄い黄緑色をした瞳で笑いかけてきた。
「「よろしく」っす」
私は、その二人にお辞儀で返した。
「さて、おまえのことを教えてくれるか?」
「す、すみません。私の名前はハルと申します。種族は人間で、年齢は確か17です。」
私は周囲の反応を視界の片隅に入れながら、答えた。
「ハル君って呼んでもいいっすか?」
「だ、大丈夫です。」
「あ、僕もそう呼んでも良いかい?」
「はい……」
いちいち私なんかに許可なんてとる必要ないのに。すぐに別れて忘れるからそもそも名前なんて聞かなくてもいいのに。
「ハル、お前が何故あんな状況にあったのか教えてくれるか。」
ガルムさんが私の頭上から恐る恐るといった感じで話しかけてくる。
どう答えたものか、答えあぐねていると同解釈したのかウィルさんとレオさんは慌てだした。
「ガルムさんっ!!顔怖いっすよ!」
「うっ……」
「ごめんね。この人、こんな顔だから初対面の人、特に子供にはすぐ逃げられちゃうんだよ。」
怖い?ガルムさんが?まさか、テルさんのあの顔より全然優しげだ。
「すみません、怖いわけではないんです。ただ、私は薬の元を提供していた所に、主から引っ越すことを伝えられて馬車に乗っていただけなので……」
私はそう目の前の二人と頭上のガルムさんに聞こえるよう話した。
「へぇー!!薬作ってたんだ!!それで、ハル君は何を提供していたんだい?」
私はそれを聞かれた時ドキッとした。これを伝えてしまえば、私がカイブツだと知られてしまう。そうするとこの温かな夢のような時間が終わってしまう。
ただ、一時でも優しくしてくれたこの人達を騙すようなことはしたくなかった。たとえそれが夢から覚めてしまう行為でも。
私は覚悟を決め、それを告げる。
「私の血です。」
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