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11話 ガルム視点
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初めてその体を腕に収め顔を見た時、酷く庇護欲をそそる奴だと思った。腰にまで届きそうな黒髪に、何もかも吸い込んでしまいそうなほど黒い瞳、その全てが俺を心の底から守りたいという欲を引き立たせた。
そして、その手の枷や、ポーションでのみ生活した者に現れるポーション痩せを起こしているのをみて何か事情があるのだろうとは思っていた。
「私の血です。」
先ほどの問いに対し、予想していた答えとは言え俺たちは言葉を失ってしまった。答えを誘導したレオでさえ、信じたくない事実に絶句していた。
「すみません、騙すような真似をして。気持ち悪いですよね。すみません。」
その言葉を言い終わるか否かといったタイミングで腕の中のハルが抜け出そうと身動いだ。
「待て、何処へ行くつもりだ。」
「離してください。」
「ダメだ。」
「お願いですから、もう放っておいて下さい……。どうせガルムさん達も拒絶するのでしょう?」
「少なくとも俺はお前を気持ち悪いだなんて思わない。ましてや、その血を利用しようとも思っていない。」
俺は離さないよう、より一層腕の中の存在を抱きしめた。
「僕も気持ち悪いとも思っていないし、拒絶したりしないよ。」
「俺もっす!」
俺に続いて二人も同意する。信頼を置いてパーティーを組んでいる二人も自分と同じ考えだと分かり今更ながらこいつらと組んで良かったと思っていた。
「二人もこう言っている。今すぐでなくともで構わない。どうしても嫌になったのなら、俺の頬を殴って逃げても良い。だから、少しでもいい、俺達を信じてくれ。」
ハルの中でどれだけ葛藤したのであろう。しばらくの間、俺の腕に力を込め震えていたが、やがて抜け出そうとする力を少し抜いた。
「ありがとう。よく頑張ったな。」
私は右手でハルの頭を包み込み、今までのことを慰めるようゆっくりと叩いてやった。想像もできないような苦しかった人生を少しでも楽にさせてやりたかったことからきた行動だった。
すると、ハルもとうに限界だったのであろう。小さな嗚咽と共に泣き出した。
ハルの年齢にしては小さい体でどれだけの苦痛を体験してきたのであろう。
長年、衣食住何不自由なく過ごしている自分では想像ができず、痛みを分かち合うことはできない。だから俺は無理に共感しようとせず、ハルが落ち着くまで背中をさすることしかできなかった。
その間二人は辺りを警戒しながらも落ち着くのを待ってくれていた。
「お見苦しいところをお見せし、申し訳ありませんでした。」
「フッ、気にするな。」
俺は腕の中で謝るハルの目元の残った涙を指でそっと拭ってやりながら言った。
「じゃあそろそろ街に戻りましょうっす!」
そうウィルが励ますかのように明るく言うと、ハルはポカンとしていた。
「……。私がついていっても大丈夫なんですか?」
人に頼ることを知らないであろうハルは少しの間悩んだ後、申し訳無さそうな顔をこちらに向けた。
「構わん。むしろ、ついてきてもらわなくては困る。」
「そう……、ですか……。では街までよろしくお願いします。」
そしてハルは俺の腕から離れようとした。だが、私は拒絶される感じではない離れ方に、ハルを離す気はなかった。
「ん?お前は俺の腕の中で移動だぞ。むしろ、その体で歩こうとしているのか?」
そう言うとハルは自身の体の問題には気付かず、キョトンとしていた。その自身の体が限界に近いことを知らない様子に俺達は溜息を同時についた。
「とりあえず、大人しく俺に抱かれていろ。」
「その方がいいね。むしろ、こうと決めた以上なかなかガルムは考えを変えないからね。諦めた方がいいよ。」
ハルに笑顔で言ったレオの発言に途中思わず首を傾げたくなったが、趣旨は変わらなかったので、とりあえず何も言わないでおこう。
隣をみれば、ウィルもレオに賛成とばかりに首を縦に振っていた。
解せぬ。
そして、その手の枷や、ポーションでのみ生活した者に現れるポーション痩せを起こしているのをみて何か事情があるのだろうとは思っていた。
「私の血です。」
先ほどの問いに対し、予想していた答えとは言え俺たちは言葉を失ってしまった。答えを誘導したレオでさえ、信じたくない事実に絶句していた。
「すみません、騙すような真似をして。気持ち悪いですよね。すみません。」
その言葉を言い終わるか否かといったタイミングで腕の中のハルが抜け出そうと身動いだ。
「待て、何処へ行くつもりだ。」
「離してください。」
「ダメだ。」
「お願いですから、もう放っておいて下さい……。どうせガルムさん達も拒絶するのでしょう?」
「少なくとも俺はお前を気持ち悪いだなんて思わない。ましてや、その血を利用しようとも思っていない。」
俺は離さないよう、より一層腕の中の存在を抱きしめた。
「僕も気持ち悪いとも思っていないし、拒絶したりしないよ。」
「俺もっす!」
俺に続いて二人も同意する。信頼を置いてパーティーを組んでいる二人も自分と同じ考えだと分かり今更ながらこいつらと組んで良かったと思っていた。
「二人もこう言っている。今すぐでなくともで構わない。どうしても嫌になったのなら、俺の頬を殴って逃げても良い。だから、少しでもいい、俺達を信じてくれ。」
ハルの中でどれだけ葛藤したのであろう。しばらくの間、俺の腕に力を込め震えていたが、やがて抜け出そうとする力を少し抜いた。
「ありがとう。よく頑張ったな。」
私は右手でハルの頭を包み込み、今までのことを慰めるようゆっくりと叩いてやった。想像もできないような苦しかった人生を少しでも楽にさせてやりたかったことからきた行動だった。
すると、ハルもとうに限界だったのであろう。小さな嗚咽と共に泣き出した。
ハルの年齢にしては小さい体でどれだけの苦痛を体験してきたのであろう。
長年、衣食住何不自由なく過ごしている自分では想像ができず、痛みを分かち合うことはできない。だから俺は無理に共感しようとせず、ハルが落ち着くまで背中をさすることしかできなかった。
その間二人は辺りを警戒しながらも落ち着くのを待ってくれていた。
「お見苦しいところをお見せし、申し訳ありませんでした。」
「フッ、気にするな。」
俺は腕の中で謝るハルの目元の残った涙を指でそっと拭ってやりながら言った。
「じゃあそろそろ街に戻りましょうっす!」
そうウィルが励ますかのように明るく言うと、ハルはポカンとしていた。
「……。私がついていっても大丈夫なんですか?」
人に頼ることを知らないであろうハルは少しの間悩んだ後、申し訳無さそうな顔をこちらに向けた。
「構わん。むしろ、ついてきてもらわなくては困る。」
「そう……、ですか……。では街までよろしくお願いします。」
そしてハルは俺の腕から離れようとした。だが、私は拒絶される感じではない離れ方に、ハルを離す気はなかった。
「ん?お前は俺の腕の中で移動だぞ。むしろ、その体で歩こうとしているのか?」
そう言うとハルは自身の体の問題には気付かず、キョトンとしていた。その自身の体が限界に近いことを知らない様子に俺達は溜息を同時についた。
「とりあえず、大人しく俺に抱かれていろ。」
「その方がいいね。むしろ、こうと決めた以上なかなかガルムは考えを変えないからね。諦めた方がいいよ。」
ハルに笑顔で言ったレオの発言に途中思わず首を傾げたくなったが、趣旨は変わらなかったので、とりあえず何も言わないでおこう。
隣をみれば、ウィルもレオに賛成とばかりに首を縦に振っていた。
解せぬ。
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