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76話
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「お、お待たせしました……。」
私は、自信がないため、そっとガルムさんの方を見る。ガルムさんは、紺色の襟付きシャツに黒のパンツというシンプルな格好をしていた。シンプルゆえに素の良さが良くないと着こせないが、顔も整っており筋肉質なガルムさんはとても似合っていた。
「良く似合っている。いつにも増して可愛いな。」
「っ///……!」
ガルムさんはフッと笑い私を褒めるが、何故かいつもより恥ずかしく思う。これから始まるデートに特別さを感じるからかも知れない。
「さて、少し移動するからこちらに来てくれ。」
「はい……。」
きっと一昨日みたいに手を繋ぐのだろう。
私はそう思い、観念して少しうつむきながら、ガルムさんに近づく。すると、スッと膝裏に腕を通されたかと思うと、一気に視界が横になった。
「!?」
「舌を噛むといけないから、口を閉じていてくれ。」
そう言ったかと思うと、グンとガルムさんが飛び上がるのを感じる。そして若干の浮遊感の後、屋根伝いに飛んでいくのが見える。今までに感じたことのない風圧に圧倒されながら、身近に感じるガルムさんの体温にドキドキしていた。
それが続くこと数分、トンッと降り立った所でゆっくりと下に降ろされ、自身の足で立つ。ゆっくりと辺りを見回すと今までいた場所とは全く違う景色が広がっていた。ガルムさん曰く、ここは特に商いが盛んなエリアだそうだ。
屋台や服屋を始め、宝石店や骨董市までもあった。見たことないものが多く、目移りしてしまう。
「どうだ?欲しいものでも見つかったか?」
「い、いえ。こういったところには来たことがなかったもので、目移りしてしまいました。」
「では、歩きながら欲しいものを探そう。」
そう言って微笑みながら差し出しされたガルムさんの手を、私はおずおずと重ねる。やはりと言うかなんというか、恋人繋ぎになっている。
私は、恥ずかしさで店を見るどころではないと、ドキドキしていたが、ふと後ろを見ると、ガルムさんの尻尾が緩やかに揺れていた。その後ガルムさんを見上げると、ただ歩いているだけなのに嬉しそうだ。
「どうした、何か見つけたか?」
私の目線に気がついたガルムさんが問いかけてきた姿がいつもより格好良く見え、いえと答え慌ててまた視線を元に戻す。
「おや、新婚さんかい?いやー、アツいねぇ。どうだい、贈り物としていっちょ寄ってみないかい?」
何、新婚さん!?確かに、こ、恋人同士ではあるけれど……!
突然横から声をかけられ、驚いたがどうやら客引きのようだ。丸っこい耳が生えているだけでは何の獣人さんか分からなかったが、尻尾をみるとタヌキの獣人さんだと思った。
「ほう、俺達が夫夫に見えると。なかなかいい目をしているじゃないか。少し見ていってやろう。」
そう言って並んでいる商品を眺め始めたガルムさんは何処か機嫌が良さそうだ。手を繋いでいるため、自然とガルムさんの横にきて商品を眺めることになった。
ここはどうやら装飾品店のようで、宝石がはめ込まれた指輪やネックレス、耳飾りなどが売られていた。宝石が付いていないものもあったが、それは意匠が凝らされており、とても綺麗だった。隣を見ると、ガルムさんも色々見ていた。
「旦那さん、こんなものはどうだい?うちの店、イチオシなんだよ。なんとこの石を相手に贈ると、一生側にいられるんだとか!新婚さんにはもってこいだろう?お一つ、どうだい!」
「ふむ、ではそれを貰おう。」
贈ると言われたため、値段が気になり、チラッと見えた値段に驚愕する。そして、通りで店主がいの一番でオススメしたのか納得する。
「だ、ダメです、ダメです……!こんなに高価なものいただけません……!」
「金なら余るほどあるから心配するな。俺がハルに贈りたいんだ。ダメか?」
どうやって断ろう……。こんな高価なものを受け取っても普段身につけるにしても怖くてできないから、ガルムさんに申し訳ないし……。せめて代替案を提示できれば……!
そうやって必死で商品を必死で目でなぞる。すると、少し奥まった所にあるネックレスに目が止まる。
「綺麗……。これ……、これがいいです……!」
改めて手にとって見ると、シンプルなデザインながらも、透き通った青みがかった灰色の宝石に目が引かれる。
この色、何処かで……。
「おぉ!奥さん、いい目をしてるねぇ!それは、贈る人の必ず貴方を守るという誓いだと言われている宝石が使われているんだよ!」
「ほう、それもいいな。ハルが気に入ったのなら、そっちにしよう。良ければ、どこが気に入ったのか聞いても良いか。」
ガルムさんは会計として店主にサラッとお金を渡していた。そして問われた時、ガルムさんの顔を改めて見て初めて、惹かれた理由に気がついた。それと同時に、惹かれた理由が理由なだけに、途端に恥ずかしくなる。
「そ、その……。この宝石の色がガルムさんの瞳の色と似ていて、惹かれた、からです……。」
「そ、そうか……その、ありがとう……。」
「ハハッ、見せつけてくれちゃってぇ、新婚さんはいいね。ほら旦那さん、奥さんに早速付けてやんな。」
「そうだな。ハル、こっちを見てくれるか。」
そうして、ネックレスを手にするガルムさんの頬は若干赤くなっていたが微笑んでいた。私は、かけやすいように頭を少し傾けると、そっとネックレスを付けてくれた。
「よく似合っている。」
「ありがとうございます……。」
私は、自信がないため、そっとガルムさんの方を見る。ガルムさんは、紺色の襟付きシャツに黒のパンツというシンプルな格好をしていた。シンプルゆえに素の良さが良くないと着こせないが、顔も整っており筋肉質なガルムさんはとても似合っていた。
「良く似合っている。いつにも増して可愛いな。」
「っ///……!」
ガルムさんはフッと笑い私を褒めるが、何故かいつもより恥ずかしく思う。これから始まるデートに特別さを感じるからかも知れない。
「さて、少し移動するからこちらに来てくれ。」
「はい……。」
きっと一昨日みたいに手を繋ぐのだろう。
私はそう思い、観念して少しうつむきながら、ガルムさんに近づく。すると、スッと膝裏に腕を通されたかと思うと、一気に視界が横になった。
「!?」
「舌を噛むといけないから、口を閉じていてくれ。」
そう言ったかと思うと、グンとガルムさんが飛び上がるのを感じる。そして若干の浮遊感の後、屋根伝いに飛んでいくのが見える。今までに感じたことのない風圧に圧倒されながら、身近に感じるガルムさんの体温にドキドキしていた。
それが続くこと数分、トンッと降り立った所でゆっくりと下に降ろされ、自身の足で立つ。ゆっくりと辺りを見回すと今までいた場所とは全く違う景色が広がっていた。ガルムさん曰く、ここは特に商いが盛んなエリアだそうだ。
屋台や服屋を始め、宝石店や骨董市までもあった。見たことないものが多く、目移りしてしまう。
「どうだ?欲しいものでも見つかったか?」
「い、いえ。こういったところには来たことがなかったもので、目移りしてしまいました。」
「では、歩きながら欲しいものを探そう。」
そう言って微笑みながら差し出しされたガルムさんの手を、私はおずおずと重ねる。やはりと言うかなんというか、恋人繋ぎになっている。
私は、恥ずかしさで店を見るどころではないと、ドキドキしていたが、ふと後ろを見ると、ガルムさんの尻尾が緩やかに揺れていた。その後ガルムさんを見上げると、ただ歩いているだけなのに嬉しそうだ。
「どうした、何か見つけたか?」
私の目線に気がついたガルムさんが問いかけてきた姿がいつもより格好良く見え、いえと答え慌ててまた視線を元に戻す。
「おや、新婚さんかい?いやー、アツいねぇ。どうだい、贈り物としていっちょ寄ってみないかい?」
何、新婚さん!?確かに、こ、恋人同士ではあるけれど……!
突然横から声をかけられ、驚いたがどうやら客引きのようだ。丸っこい耳が生えているだけでは何の獣人さんか分からなかったが、尻尾をみるとタヌキの獣人さんだと思った。
「ほう、俺達が夫夫に見えると。なかなかいい目をしているじゃないか。少し見ていってやろう。」
そう言って並んでいる商品を眺め始めたガルムさんは何処か機嫌が良さそうだ。手を繋いでいるため、自然とガルムさんの横にきて商品を眺めることになった。
ここはどうやら装飾品店のようで、宝石がはめ込まれた指輪やネックレス、耳飾りなどが売られていた。宝石が付いていないものもあったが、それは意匠が凝らされており、とても綺麗だった。隣を見ると、ガルムさんも色々見ていた。
「旦那さん、こんなものはどうだい?うちの店、イチオシなんだよ。なんとこの石を相手に贈ると、一生側にいられるんだとか!新婚さんにはもってこいだろう?お一つ、どうだい!」
「ふむ、ではそれを貰おう。」
贈ると言われたため、値段が気になり、チラッと見えた値段に驚愕する。そして、通りで店主がいの一番でオススメしたのか納得する。
「だ、ダメです、ダメです……!こんなに高価なものいただけません……!」
「金なら余るほどあるから心配するな。俺がハルに贈りたいんだ。ダメか?」
どうやって断ろう……。こんな高価なものを受け取っても普段身につけるにしても怖くてできないから、ガルムさんに申し訳ないし……。せめて代替案を提示できれば……!
そうやって必死で商品を必死で目でなぞる。すると、少し奥まった所にあるネックレスに目が止まる。
「綺麗……。これ……、これがいいです……!」
改めて手にとって見ると、シンプルなデザインながらも、透き通った青みがかった灰色の宝石に目が引かれる。
この色、何処かで……。
「おぉ!奥さん、いい目をしてるねぇ!それは、贈る人の必ず貴方を守るという誓いだと言われている宝石が使われているんだよ!」
「ほう、それもいいな。ハルが気に入ったのなら、そっちにしよう。良ければ、どこが気に入ったのか聞いても良いか。」
ガルムさんは会計として店主にサラッとお金を渡していた。そして問われた時、ガルムさんの顔を改めて見て初めて、惹かれた理由に気がついた。それと同時に、惹かれた理由が理由なだけに、途端に恥ずかしくなる。
「そ、その……。この宝石の色がガルムさんの瞳の色と似ていて、惹かれた、からです……。」
「そ、そうか……その、ありがとう……。」
「ハハッ、見せつけてくれちゃってぇ、新婚さんはいいね。ほら旦那さん、奥さんに早速付けてやんな。」
「そうだな。ハル、こっちを見てくれるか。」
そうして、ネックレスを手にするガルムさんの頬は若干赤くなっていたが微笑んでいた。私は、かけやすいように頭を少し傾けると、そっとネックレスを付けてくれた。
「よく似合っている。」
「ありがとうございます……。」
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―――『私の番には飼い主がいる』
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