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88話
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「ん?そろそろ着いたみたいだね。」
馬車が止まった音がして、アルトさんが外を見ながらそう言った。私はあれからずっとアルトさんの膝の上で最近の出来事を話していた。キャビンの扉を外から御者さんが開いてくれ、アルトさんに抱えられて外に出る。
「わぁ……。」
「ここが我が家だよ。」
そう紹介された建物はとても大きく、軽く十人は住んでいそうな佇まいだった。
「さ、荷物を置いて出かけようか。」
「あ、あの……!」
私は馬車に乗った時からの疑問を口にする。アルトさんはこちらを振り向き、続きを促すように微笑む。
「なんだい?」
「その、今日泊まりってことを知らなかったので、服とか持ってきていないんです……。」
「あぁ、それは大丈夫。俺がすでに用意しているからね。元々急遽泊まりにしたから、ハルが気にすることはないよ。」
そう言ってアルトさんはいつの間にかいなくなっていた御者さんからバッグを受け取った。
「すまないな、ウォルト。」
ん……?確かに御者さんにしてはきっちりとした服を着ているとは思ったけど……。
私の視線に気がついたのか、その御者さんは胸に手を当て、頭を下げた。
「すみません、申し遅れました。私、アルト様の身の回りのお手伝いをしております、犬獣人の執事、ウォルトと申します。」
「いえいえ、そんなご丁寧に……。は、ハルと申します……!こ、こちらこそ、よろしくお願いします……!」
御者さん改め、執事のウォルトさんは見た目通り落ち着いていて私の慌ただしい様子を見ても、ニコリと微笑んでいた。
「さて、ウォルト。俺はこれからハルとデートに行ってくる。夜には帰るから、よろしく。」
「はい、行ってらっしゃいませ。」
「さぁ、行こうか。」
そう言ってアルトさんは私に手を差し出してくる。そこにそっと手を乗せれば、優しく握って先を歩き、エスコートしてくれる。ウォルトさんの見送りが見えなくなり、街の喧騒にのまれてから、私は抱えた疑問を口にする。
「アルトさんって貴族だったんですか?大きな家もそうですが、執事さんがいるなんて驚きました。」
「いや、まぁ貴族と言われれば少し違うが、似たようなものだな。訳あって家を出た俺にウォルトはついてきてくれたんだ。」
あれ?アルトさんの顔、ここからじゃ上手く見えないけど、曇ってる……?
「いや、俺のこといいんだ。それより、デートを楽しもうじゃないか。ハル、行きたいところや欲しいものがあれば言ってくれ。」
パッと表情を変え、微笑んでこちらを向くアルトさんを見ると、さっきのが見間違いなのではないかと思える。気を取り直して辺りを見ると、色々な店が軒を連ねていた。はっきり言うと、どの店も小綺麗でおしゃれなため、私では入らない店ばかりだった。
「えっと……、その……。」
私は視線を右往左往させ、彷徨わせていた。
「ハハッ、じゃあ見て回ろうか。行こう。」
そうしてアルトさんと手を繋ぎながら歩き出した。今日初めて気づいたが、アルトさんの手はガルムさんと似ているが、少し違う。私よりも大きく、ゴツゴツして逞しい手であることは同じだが、なんというかガルムさんは覆うような感じでアルトさんは包み込むような感じだ。どちらの手も温かくて良い。
「あ、ハル。あの店に入ってみないか?」
その声にパッと顔を上げアルトさんの視線の先を見ると、ジュエリーショップのようだった。外観から既に精錬された美しさが出ており、財布的に常人では入り難い雰囲気があった。
馬車が止まった音がして、アルトさんが外を見ながらそう言った。私はあれからずっとアルトさんの膝の上で最近の出来事を話していた。キャビンの扉を外から御者さんが開いてくれ、アルトさんに抱えられて外に出る。
「わぁ……。」
「ここが我が家だよ。」
そう紹介された建物はとても大きく、軽く十人は住んでいそうな佇まいだった。
「さ、荷物を置いて出かけようか。」
「あ、あの……!」
私は馬車に乗った時からの疑問を口にする。アルトさんはこちらを振り向き、続きを促すように微笑む。
「なんだい?」
「その、今日泊まりってことを知らなかったので、服とか持ってきていないんです……。」
「あぁ、それは大丈夫。俺がすでに用意しているからね。元々急遽泊まりにしたから、ハルが気にすることはないよ。」
そう言ってアルトさんはいつの間にかいなくなっていた御者さんからバッグを受け取った。
「すまないな、ウォルト。」
ん……?確かに御者さんにしてはきっちりとした服を着ているとは思ったけど……。
私の視線に気がついたのか、その御者さんは胸に手を当て、頭を下げた。
「すみません、申し遅れました。私、アルト様の身の回りのお手伝いをしております、犬獣人の執事、ウォルトと申します。」
「いえいえ、そんなご丁寧に……。は、ハルと申します……!こ、こちらこそ、よろしくお願いします……!」
御者さん改め、執事のウォルトさんは見た目通り落ち着いていて私の慌ただしい様子を見ても、ニコリと微笑んでいた。
「さて、ウォルト。俺はこれからハルとデートに行ってくる。夜には帰るから、よろしく。」
「はい、行ってらっしゃいませ。」
「さぁ、行こうか。」
そう言ってアルトさんは私に手を差し出してくる。そこにそっと手を乗せれば、優しく握って先を歩き、エスコートしてくれる。ウォルトさんの見送りが見えなくなり、街の喧騒にのまれてから、私は抱えた疑問を口にする。
「アルトさんって貴族だったんですか?大きな家もそうですが、執事さんがいるなんて驚きました。」
「いや、まぁ貴族と言われれば少し違うが、似たようなものだな。訳あって家を出た俺にウォルトはついてきてくれたんだ。」
あれ?アルトさんの顔、ここからじゃ上手く見えないけど、曇ってる……?
「いや、俺のこといいんだ。それより、デートを楽しもうじゃないか。ハル、行きたいところや欲しいものがあれば言ってくれ。」
パッと表情を変え、微笑んでこちらを向くアルトさんを見ると、さっきのが見間違いなのではないかと思える。気を取り直して辺りを見ると、色々な店が軒を連ねていた。はっきり言うと、どの店も小綺麗でおしゃれなため、私では入らない店ばかりだった。
「えっと……、その……。」
私は視線を右往左往させ、彷徨わせていた。
「ハハッ、じゃあ見て回ろうか。行こう。」
そうしてアルトさんと手を繋ぎながら歩き出した。今日初めて気づいたが、アルトさんの手はガルムさんと似ているが、少し違う。私よりも大きく、ゴツゴツして逞しい手であることは同じだが、なんというかガルムさんは覆うような感じでアルトさんは包み込むような感じだ。どちらの手も温かくて良い。
「あ、ハル。あの店に入ってみないか?」
その声にパッと顔を上げアルトさんの視線の先を見ると、ジュエリーショップのようだった。外観から既に精錬された美しさが出ており、財布的に常人では入り難い雰囲気があった。
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