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9章 ※
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精が尽きるまで陰茎と後孔を弄られ、無理矢理飲み込まされた過剰な快楽に気を失った志貴は、翌朝、そこまで自身を追い詰めた男の腕の中で目を覚ました。
深夜を過ぎても泣きじゃくり、喘がされ続けたせいで、瞼は腫れぼったく、喉はひりつき枯れている。何より、もう一滴も出ないほど精を搾り取られた下半身の感覚は鈍く、後ろにはまだ指の感触が澱のようにわだかまっている。
そんな目に遭わせた男の腕と胸に閉じ込められていることに、志貴はしばらく気づけなかった。体のあちこちが訴えるので、惨憺たる自身の状況は感覚として把握できたが、泣き過ぎたせいで鈍く痛む頭では、その原因をすぐには思い付けなかったのだ。
ただぼんやりと、大きな手が後頭部を撫でてくるのに任せ――自分のベッドに他の誰かがいることに、初めて気がついた。
「おはよう。よく眠れたか」
「……おはよう」
掠れた喉を宥めながら、どうにか取り乱すことなく答えたのは、意地の一心からだ。
一晩かけて散々削り取られ、擦り減ってしまった自尊心の欠片をかき集めて、志貴は身を守ろうとし――同じ布団に包まる二人が、素肌を触れ合わせていることに愕然とした。精神的な守り以前に、文字通りの丸腰、丸裸だったのだ。
しかも何故か、一洋まで。
(一体、どうして……)
訊きたいことも詰りたいことも、山ほどある。しかし言葉にするのが怖い。迂闊なことを口にして、また何かされたら、と思うと言いたいことが喉に絡まるのだ。
身を固くする志貴に気づいたのか、寝乱れた髪を梳いていた一洋の手が離れていく。
「朝飯の前に風呂に入るか。寝る前に拭いてやったが、湯を浴びたいだろう」
「……イチ兄さんも客間のお風呂を使ってきたら」
羞恥心を抉られながらも冷たく答え、志貴は距離を置くように身動ぎした。眠っている間に、無意識に暖を求めて熱い肌に擦り寄っており、太腿に触れた感触で一洋も全裸であることはわかったが、その理由に触れたくはない。
しかし奇妙な間に、一洋は志貴の懸念に気がついたらしい。「お前のせいだからな」とわざとらしくため息をつく。
「気持ちよさそうに声を上げて何度も達くのを見ていたら、もらい勃ちくらいする」
「もらっ……!」
志貴の体を玩弄しながら、自身も勃起し下着を汚したと言っているのだ。
明け透けな言い草に、志貴は絶句するしかない。高潔な帝国軍人として尊敬していた幼馴染の、生々しい男としての一面を剥き出しにされ、昨夜からの変貌もあり脳が飽和してしまっていた。
「知らなかった。イチ兄さんがこんなに……」
「こんなに?」
「助平だったなんて!」
「それは光栄な称号だな」
楽しそうな笑い声を上げると、一洋は布団をめくり立ち上がった。堂々と局部をさらしたままなので、目のやり場に困った志貴は、慎しみから顔を背ける。その隙に掬うように志貴を抱き上げると、一洋はしっかりとした足取りで浴室へと歩き出した。
「離して!」
「暴れるな。あれだけ達ったら、腰が抜けて歩けないだろう」
深夜を過ぎても泣きじゃくり、喘がされ続けたせいで、瞼は腫れぼったく、喉はひりつき枯れている。何より、もう一滴も出ないほど精を搾り取られた下半身の感覚は鈍く、後ろにはまだ指の感触が澱のようにわだかまっている。
そんな目に遭わせた男の腕と胸に閉じ込められていることに、志貴はしばらく気づけなかった。体のあちこちが訴えるので、惨憺たる自身の状況は感覚として把握できたが、泣き過ぎたせいで鈍く痛む頭では、その原因をすぐには思い付けなかったのだ。
ただぼんやりと、大きな手が後頭部を撫でてくるのに任せ――自分のベッドに他の誰かがいることに、初めて気がついた。
「おはよう。よく眠れたか」
「……おはよう」
掠れた喉を宥めながら、どうにか取り乱すことなく答えたのは、意地の一心からだ。
一晩かけて散々削り取られ、擦り減ってしまった自尊心の欠片をかき集めて、志貴は身を守ろうとし――同じ布団に包まる二人が、素肌を触れ合わせていることに愕然とした。精神的な守り以前に、文字通りの丸腰、丸裸だったのだ。
しかも何故か、一洋まで。
(一体、どうして……)
訊きたいことも詰りたいことも、山ほどある。しかし言葉にするのが怖い。迂闊なことを口にして、また何かされたら、と思うと言いたいことが喉に絡まるのだ。
身を固くする志貴に気づいたのか、寝乱れた髪を梳いていた一洋の手が離れていく。
「朝飯の前に風呂に入るか。寝る前に拭いてやったが、湯を浴びたいだろう」
「……イチ兄さんも客間のお風呂を使ってきたら」
羞恥心を抉られながらも冷たく答え、志貴は距離を置くように身動ぎした。眠っている間に、無意識に暖を求めて熱い肌に擦り寄っており、太腿に触れた感触で一洋も全裸であることはわかったが、その理由に触れたくはない。
しかし奇妙な間に、一洋は志貴の懸念に気がついたらしい。「お前のせいだからな」とわざとらしくため息をつく。
「気持ちよさそうに声を上げて何度も達くのを見ていたら、もらい勃ちくらいする」
「もらっ……!」
志貴の体を玩弄しながら、自身も勃起し下着を汚したと言っているのだ。
明け透けな言い草に、志貴は絶句するしかない。高潔な帝国軍人として尊敬していた幼馴染の、生々しい男としての一面を剥き出しにされ、昨夜からの変貌もあり脳が飽和してしまっていた。
「知らなかった。イチ兄さんがこんなに……」
「こんなに?」
「助平だったなんて!」
「それは光栄な称号だな」
楽しそうな笑い声を上げると、一洋は布団をめくり立ち上がった。堂々と局部をさらしたままなので、目のやり場に困った志貴は、慎しみから顔を背ける。その隙に掬うように志貴を抱き上げると、一洋はしっかりとした足取りで浴室へと歩き出した。
「離して!」
「暴れるな。あれだけ達ったら、腰が抜けて歩けないだろう」
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