トゥモロウ・スピーチ

音羽夏生

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4章

12

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「それにしても、本気にしてなかったのに、あんなに冷たい鉄壁のガードを張り巡らしてたのか。まあ、そのおかげで、息をするように男を口説いてベッドに連れ込むのに慣れたあいつらが、あんたには指一本触れられないまま撃退されていたが。一体何をそんなに大事に守ってるんだ」
「……僕に何かあると、心配してくれる人たちがうるさいんだ。口出しされないように、身を保つことを心掛けている」
「――本当に、過保護に愛されてるんだな、志貴」

 付け入る隙など与えるつもりはない、と一線を引いたつもりが、いかにも納得したようにしみじみと頷かれ、志貴は言葉に詰まった。言い返したいのは山々だが、過保護な昔馴染みの二大巨頭がマドリードにいる上に、昼間公使館で不穏なニュースを耳にしていたのだ。
 何も言えないのが悔しくて、せめてもと上目遣いでちらりと睨んだ志貴を、「まったく、これだから……」と目元を緩めながら、テオバルドは甘く見つめる。二人の間の距離は詰めないまま、そっと手を伸ばして、志貴の顎を軽く指先で掬った。

「今ここでキスされたくなかったら、晩飯を買って大人しく帰るんだ。いい子にできたら、何もせず紳士的に玄関の前まで送ってやる」
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