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8章 ※
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長い間顧みられてこなかった志貴の欲望は、何年ぶりかに他人の熱に包まれる悦びに、呆気なく追い詰められ放出へと導かれた。
「あぁっ、……あ、あ、はぁっ……」
久しぶりの射精は、だらだらとみっともなく、間欠的に続いた。幼馴染に辱められる異常な行為に、はしたなくも体が反応し――昂奮し悦んだ証だった。
「くっ……、――ふ、うっ」
堪えようとしても、嗚咽が喉を震わせる。こんな目に遭わされるほど怒らせ、心配させてしまったのだ――兄とも思う、大切な人に。
一人前と認められたいのに、一方的に心配されるばかりの二人の関係は、結局何も変わっていない。悔し涙は快楽の涙となり、精を放つと同時に堰を切ったように眦から溢れた。
「……泣くな、苛めてるみたいだろう」
「苛めてるじゃ、ないか……ふ、ぅんっ」
慰めるように濡れた陰茎を扱かれ、吐息が乱れる。
一撫でして離れるかと思った一洋の手の動きは、しかし止まることなく熱心さを増していく。包むように握る手のひらに幹全体を、指先に裏筋を繰り返し擦られ、はしたない嬌声が喉を突く。
「ひぃっ、あぁ、……はぁっ、んっ」
与えられる快楽に靡こうとする体を引き留めようと、志貴は懸命に身を捩った。騙そうとしたことへの罰だとしても、これ以上の辱めに耐えることはできそうになかったのだ。
「お願い、もう、離してっ」
「一度では満足できないだろう」
溜め込んでいた欲望を吐き出し力を失いつつあるものに、休むことを許さないとでもいうように、淫靡な摩擦が加えられる。ぬちゅ、ちゅく、と粘りのある水音が立ち、その生々しさに、改めて自分の身に何が起こったのかを――今も起こっていることを思い知らされる。
一洋の怒りを買い、淫らな罰を受けさせられていることを。立て続けの手淫に、極めたばかりの哀れなそこを、再び追い上げられていることを。
達した直後の陰茎を弄られるのは、刺激が強すぎる。それを知らないはずはないのに、一洋は志貴の腹に散った白濁を掬い、たっぷりと手のひらに塗りつけると、敏感な先端を磨くように撫で回し始めた。
「ああっ、アッ、……や、やめっ、ひいぃ!」
末端神経をまとめて擦られるような過激な体感は、快感などという生やさしいものではなかった。がくっ、がくっ、と縛められた体が不規則に跳ねて、強過ぎる刺激に全身が赤く染まり、じわりと汗ばんでいく。
一洋の手技には、容赦がなかった。剥き出しにされ、痛々しく色づいたそこを、何度も志貴の精を塗り足しながら磨き上げる。もう取り繕うこともできず、ぼろぼろと涙を零しながら哀願しても、聞こえないとばかりに先端を握られ、指の輪で段差を強く扱かれた。
「ひあぅっ、やだ、それ、やめてっ。……来る、何か来るっ」
腰の奥から突き上げるように込み上げてくる感覚は、尿意に近い。
志貴の喉から、堪えようのない悲鳴が途切れなく迸る。それでも一洋は追い上げる手を休めない。
「離してっ、出る、出ちゃうからっ!」
「いいから、すべて吐き出してみろ」
切羽詰まった訴えは、やさしい声に無情に受け流された。
「あぁっ、……あ、あ、はぁっ……」
久しぶりの射精は、だらだらとみっともなく、間欠的に続いた。幼馴染に辱められる異常な行為に、はしたなくも体が反応し――昂奮し悦んだ証だった。
「くっ……、――ふ、うっ」
堪えようとしても、嗚咽が喉を震わせる。こんな目に遭わされるほど怒らせ、心配させてしまったのだ――兄とも思う、大切な人に。
一人前と認められたいのに、一方的に心配されるばかりの二人の関係は、結局何も変わっていない。悔し涙は快楽の涙となり、精を放つと同時に堰を切ったように眦から溢れた。
「……泣くな、苛めてるみたいだろう」
「苛めてるじゃ、ないか……ふ、ぅんっ」
慰めるように濡れた陰茎を扱かれ、吐息が乱れる。
一撫でして離れるかと思った一洋の手の動きは、しかし止まることなく熱心さを増していく。包むように握る手のひらに幹全体を、指先に裏筋を繰り返し擦られ、はしたない嬌声が喉を突く。
「ひぃっ、あぁ、……はぁっ、んっ」
与えられる快楽に靡こうとする体を引き留めようと、志貴は懸命に身を捩った。騙そうとしたことへの罰だとしても、これ以上の辱めに耐えることはできそうになかったのだ。
「お願い、もう、離してっ」
「一度では満足できないだろう」
溜め込んでいた欲望を吐き出し力を失いつつあるものに、休むことを許さないとでもいうように、淫靡な摩擦が加えられる。ぬちゅ、ちゅく、と粘りのある水音が立ち、その生々しさに、改めて自分の身に何が起こったのかを――今も起こっていることを思い知らされる。
一洋の怒りを買い、淫らな罰を受けさせられていることを。立て続けの手淫に、極めたばかりの哀れなそこを、再び追い上げられていることを。
達した直後の陰茎を弄られるのは、刺激が強すぎる。それを知らないはずはないのに、一洋は志貴の腹に散った白濁を掬い、たっぷりと手のひらに塗りつけると、敏感な先端を磨くように撫で回し始めた。
「ああっ、アッ、……や、やめっ、ひいぃ!」
末端神経をまとめて擦られるような過激な体感は、快感などという生やさしいものではなかった。がくっ、がくっ、と縛められた体が不規則に跳ねて、強過ぎる刺激に全身が赤く染まり、じわりと汗ばんでいく。
一洋の手技には、容赦がなかった。剥き出しにされ、痛々しく色づいたそこを、何度も志貴の精を塗り足しながら磨き上げる。もう取り繕うこともできず、ぼろぼろと涙を零しながら哀願しても、聞こえないとばかりに先端を握られ、指の輪で段差を強く扱かれた。
「ひあぅっ、やだ、それ、やめてっ。……来る、何か来るっ」
腰の奥から突き上げるように込み上げてくる感覚は、尿意に近い。
志貴の喉から、堪えようのない悲鳴が途切れなく迸る。それでも一洋は追い上げる手を休めない。
「離してっ、出る、出ちゃうからっ!」
「いいから、すべて吐き出してみろ」
切羽詰まった訴えは、やさしい声に無情に受け流された。
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